「イタリアンや中華料理などを食べ歩き、インスピレーションを湧かせている」と勝野さん

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パンのビジュアルも評判の「itokito」。店主の勝野さんは、前職で建築や広告のデザインに携わっていた。デザイナー時代に、中目黒で屈指の人気を誇ったパン店「ラ・ブランジェ・ナイーフ」(現在は世田谷区若林に移転)に出合ったのがきっかけで、パン職人を志すようになったそう。「店もパンも、かっこよくてかわいい!すべてが日本離れしている!路地裏にこんな店があったのか!」と、勝野さんは衝撃を受けた。

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もともと料理をするのが好きだったこと、一生を捧げられる職人的な仕事に就きたいと考えていたこともあり、デザイン会社を辞めてパンの道に進んだ。「ラ・ブランジェ・ナイーフ」でパン作りを、フレンチレストラン「ビストロミカミ」でフランス料理を学び、研鑽を積んだ。

「修業を始めてまず感じたのは、パン作りは重労働だということ。朝は早く、オーブンの鉄板は重く、オーブン周辺は熱い。まるで戦場にいるような気分でした。慣れるまでは辛かったです。パンの作り方を覚えていくにつれて、パンのおいしさがわかるようになり、自分の店を持ってみたいと思うようになりました」

そして2007年、大岡山に「itokito」を開業。勝野さんが目指すパンは、「見たことのないパン」「食べたことのない味」だ。「ラ・ブランジェ・ナイーフ」に出合った時の衝撃を自分も届けたいという。

勝野さんによると、パン作りとデザインの仕事は通ずるところがあるという。「広告デザイナーをしている頃は、商品がいかに魅力的にみえるかを考えてデザインしていました。パンを作っている今も、具ののせ方やジャムの塗り方などを工夫しながら、パンが美しくおいしくみえるように日々考えています」

「これからも個性あふれるパンを作りたい」と意気込む勝野さん。デザイナーからパン職人に転向した勝野さんが生みだすパンに魅かれて、「itokito」には今日も多くのパン好きが集まる。(東京ウォーカー・東京ウォーカー編集部)