写真=iStock.com/lolostock

写真拡大

頼みごとを頼みづらいと感じるのは、相手との間に距離があるときです。「人としての信頼感」を持てていないのが原因です。

さらっと頼みたいのに頼めないのは、相手に申し訳ないと思っていたり、気が引けているから。つまり、自分と同じ、対等な人間と考えていない。もちろん、相手の能力や、忙しさを考え、「自分と違う」から話が通じないと思っているのかもしれません。もしかすると、目の前の相手だけでなく、あなたに、あまねく人間に対する根本的な信頼感がない、という可能性もあります。

■相手と自分は対等か、違う存在か

他者のことを、例えば創作物に登場するゾンビを見るように、自分とは何か別の存在だと思っている。程度の差はあるかもしれませんが、だから頼みづらい。自分の考えはあんな「他者」には伝わらない――自分の中にそんな考えはありませんか。

そう考えると、他人へ何かをお願いするときに気持ちを楽にするには、みんなが「自分と同じなんだ」と、対等な存在だと思えるようになればいいわけです。ただし、そんなふうに自分の根本にある、物事の見方を変えるのは、非常に難しいことです。

ここではまず、相手が「自分とは違う存在なんだ」という思い込みを、少しずつでも直していくことから考えましょう。そこで問題になるのが「嫉妬」です。

嫉妬してしまうような「デキる人」に何かを頼むときに、「申し訳ない」と思ったり、頼みづらさを感じてしまいがち。実はこの嫉妬は、脳が発作的に起こしてしまう生理的な反応で、いくらその場で自分をコントロールしようとしても無理なのです。しかも嫉妬を抱くと、「相手には悪意があるのでは」とますます疑心暗鬼になってしまう。そうして、物を頼みづらくなる。

■「横暴」になれば、気持ちも楽になる

1つの解決策は「横暴」になることです。相手のことをまったく考慮しなければ、嫉妬もしません。頼みづらいと思うこともないでしょう。下品な人こそ出世しやすいことがビジネスにはありますが、それは無理な仕事でも他人にどんどんお願いをできるから、と言えるでしょう。しかし、横暴になりたいとは言いづらいでしょうし、横暴になった人は得てして、キャリアの中で潰されるものです。

では、どうすれば頼みづらいことを頼めるようになるか。それには、「事務的になること」がおすすめです。

「相手がどう考えるか」という感情をドライに排除して頼めば、嫉妬の発作が起きることも避けられる。自分の中で、他人に何かをお願いする方法をパターン化してしまえばいいのです。あれこれ考えるのではなく、事務的に用件を伝えることをクセとして体に覚えさせてしまえばいい。

ごちゃごちゃした感情を抜きにした「お願い」体験を重ねることで、気持ちも楽になる。「どう伝えれば相手が喜ぶか」「あの人と比べて自分なんかが……」といったモヤモヤから自由になって、自己肯定感を高める。そうすれば、相手と自分の違いに悩むこともなくなり、コミュニケーションも円滑になるのです。

----------

大嶋信頼
心理カウンセラー
米国・私立アズベリー大学心理学部卒業。『いつも「ダメなほうへいってしまう」クセを治す方法』など著書多数。

----------

(心理カウンセラー 大嶋 信頼 構成=伊藤達也)