政令指定都市の幸福ランキングは、浜松市がトップになった(写真:yuta / PIXTA)

『全47都道府県幸福度ランキング2018年版』(寺島実郎:監修、日本総合研究所:編)が東洋経済新報社より刊行された(5月25日発売)。各自治体・メディアが注目する「総合ランキング」についての解説を転載し、紹介する。都道府県ランキングに続き、今回は政令指定都市ランキングをお届けする。

さいたま市を抜き浜松市がトップに

全47指標の総合ランキングでは、政令指定都市20市中、浜松市が1位となった。

浜松市は財政健全度や合計特殊出生率が1位など、自治体としての基本的なポテンシャルが高いことに加え、古くからのものづくり産業の集積など、安定した雇用環境も有している。また、健康分野や生活分野も上位3位内と高順位で、健全な市民生活を送ることができる環境も整っており、総合ランキングでさいたま市を抜きトップとなった。


2位はさいたま市であり、人口増加率や所得など、基本指標が1位で、浜松市と同様幸福度の高い地域づくりを進めるための基本的な力を有している。前回と比べて、仕事分野の順位を若干落としたことが影響し、2016 年版の1位から順位を一つ落とした。

総合3位は川崎市であり、雇用領域、企業領域ともトップクラスで、仕事分野では1位である。これまでも京浜工業地帯の中核工業都市として発達してきたが、近年は市内に拠点を持つ大企業の知的財産を中小企業に提供する「川崎モデル」の展開や、先進技術の研究開発拠点の形成など、全国の注目を集める取り組みを推進している。

以下では、基本指標と 5 分野のランキングについて解説する。

(1)基本指標ランキング

1位がさいたま市、2位が川崎市、3位が浜松市の順になっている。さいたま市は、「勤労者世帯可処分所得」が政令指定都市の中でも群を抜いて高く、経済的に恵まれた環境であり、結果として、「人口増加率」や「財政健全度」がトップ5という順位にも結び付いているものと考えられる。
一方で、20位は大阪市、19位は神戸市、18位は北九州市となっている。
大阪市、神戸市は「勤労者世帯可処分所得」や「自殺死亡者数」の順位が低く、北九州市は「選挙投票率」や「財政健全度」の順位が低くなっている。

基本指標は、人口動態や所得、財政健全度など、都市の持続可能性や住民生活の根幹 を支える要素を表すものであり、今回、基本指標ランキングの上位3市が総合ランキングでも上位3市になっているように、都市の土台づくりが重要である。各都市が抱える課題 等を的確に捉え、それぞれの状況に即した総合的かつ体系的な対策を講じることが求められる。

仙台市はダントツの「健康都市」

(2)健康分野ランキング─ 盤石の仙台市

1位が仙台市、2位が浜松市、3位が千葉市の順になっており、2016年版から上位3市に変動はない。

1位を維持している仙台市の「健康診査受診率」については、3位以下と 10%以上の差がついており、政令指定都市中、断トツであるとともに、「生活習慣病による死亡者数」と「平均寿命」も上位に位置しており、病気の予防に対する仙台市の住民意識の高さがうかがえる。

一方で、20位は大阪市、19位は北九州市、18位は堺市となっている。
今後、大都市においても急速に進展する超高齢化社会を見据えると、人々の幸福を左右する要素として、これまで以上に健康の重要性が増すとともに、医療・介護制度を持続可能なものとするためにも、住民の健康づくりに対する意識の向上が求められる。

(3)文化分野ランキング─ 国際的な都市が上位に

1位が京都市、2位が大阪市、3位が横浜市の順になっている。京都市は、神社仏閣など日本を代表する多くの文化財を有する国際観光都市としての 高い知名度を活かし、「『学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動』を行う NPO認証数」、「姉妹都市提携数」、「国際会議外国人参加者数」といった指標が 2016年版から引き続き1位となっており、インバウンドが増加している近年において、文化都市としての価値が高まっている。2位の大阪市も「外国人住民数」が1位であり、国際色豊かな都市が上位になっている。

一方で、20位は相模原市、19位は新潟市、18位は熊本市となっている。人口減少局面に入り、今後、異次元の高齢化を迎える我が国においては、各都市圏の中枢都市である政令指定都市が、その魅力を国内外に積極的に発信し、観光立国を実現するための牽引役となることが求められる。

(4)仕事分野ランキング─ 基幹産業が大きな柱に

1位が川崎市、2位が名古屋市、3位が広島市の順になっている。川崎市は、「若者完全失業率」や「正規雇用者比率」、「女性の労働力人口比率」が1位に位置するなど、雇用環境が整っていることに加えて、「製造業労働生産性」でも1位であり、雇用領域、企業領域ともに強みを有している。上位3市においては、我が国の基幹 産業である重工業、自動車産業が、地域産業の大きな柱のひとつとなっている。

一方で、20位は札幌市、19位は北九州市、18位は相模原市となっている。

地方創生を実現するためには骨太で力強い産業を創造し、企業等の誘致も行うことで安定した雇用の場を確保するとともに、高齢者や女性、障碍者を含めたすべての人が活躍できる環境整備が求められる。

新潟市は「持ち家比率」が1位

(5)生活分野ランキング─ 中部地方が上位に

1位が新潟市、2位が静岡市、3位が浜松市の順になっている。新潟市は、「持ち家比率」が1位、「一人暮らし高齢者率」が2位など、個人(家族)領 域の全指標において上位に位置している。なお、上位3市は個人(家族)領域の上位3市と同じ顔ぶれであり、家族のつながり、支え合いを大事にする市が生活分野の上位市といえる。

一方で、20位は大阪市、19位は福岡市、18位は京都市となっており、文化分野の上位市が生活分野では下位となっている。

住民意識やライフスタイルの変化、価値観の多様化は、さまざまな地域から多くの人々が集まる大都市においてこそより顕著であり、複雑・多様化する地域課題に対応するため、家族や地域社会のつながりと支え合いを深める取り組みがより一層求められる。

(6)教育分野ランキング─ 学校教育、社会教育両方が整備

1位が京都市、2位が新潟市、3位が広島市の順になっている。京都市は、「大学進学率」、「教員一人あたり児童生徒数」1位をはじめとした、学校領域の指標の順位がいずれも高いことに加えて、「社会教育費」1位、「図書館・博物館等施 設数」も3位と、子どもに対する教育のみならず、生涯を通じた教育環境がしっかりと整備されている。

一方で、20位は相模原市、19位は大阪市、18位は横浜市となっている。
大学等の高等教育機関が集積する政令指定都市において、将来の我が国を支える人材の育成に力を入れるとともに、若者から高齢者に至るすべての世代の社会参画や多世代 交流を促す社会教育・生涯学習の場の確保を推進することが求められる。