弁護士・柳原桑子先生が堅実女子のお悩みに答える本連載。今回の相談者は、藤村真理子さん(仮名・39歳・銀行勤務)。

「1年前に、埼玉県内にある実家の土地を譲ってもらい、念願の一戸建てを建てました。女1人が住むには十分の狭小住宅で、有名な建築家に依頼し、思い通りの家を建てて、とても気に入っています。ローンは30年残っていますが、頑張って返そうと思っています。

今回、質問したいのは、庭に植えた木についてです。私はイギリス風の庭が憧れだったので、私が納得できるガーデニング会社を回って、実際に庭も観て、打ち合わせを重ねて、デザインや植栽する木、花についても厳選しました。

どうしてもこだわったのは、建物のバルコニーに向かい、外壁にワイヤーをとりつけ、そこにジャスミンを蔦わせることです。このジャスミンを植える日に、庭の担当者の方が「この植物、赤い花がすごくかわいいから、ジャスミンに合うと思います。まだ日本では珍しいからおしゃれですよ。たまたま私が持っているので差し上げますよ、一緒に植えますか?」と聞かれ、ハイと答えてしまいました。この植物の値段は、請求書には入っていませんでした。

最初は良かったのですが、しかし、夏が過ぎた頃から、この植物がぐんぐん成長し、幹も根っこも太くなり、花壇のレンガを破り、家の土台部分にひびが入るくらいになっています。春になると、気持ちが悪い形の真っ赤な花が咲いて、掃除が大変です。しかも、この花は変な臭いがするのです。

先日、ガーデニング会社に苦情を言ったら、「スタッフが辞めたのでどうしょうもできない」と言われました。そのスタッフの連絡先を聞いたら「個人情報なので教えられない」と。

私は、この木を処分してくれることと、家の修理代をガーデニング会社に請求したいのですが、どのようにすればいいでしょうか」

弁護士・柳原桑子先生の回答は……!?

あなたは「ガーデニング会社」と外構工事の請負契約を締結したので、契約当事者は元・従業員個人ではなく、当該の「ガーデニング会社」になります。

「ガーデニング会社」の従業員だった者から、植物の植栽を勧められ、無償で植えてもらった植物が、結果的に工事物等を破損させるような植物だったということですが、植栽も請負契約の一貫であり,その素材を提供したのは、「ガーデニング会社」であったわけですから、花壇や家の土台を破損させるに至ったということは、工事契約の内容に適合しないものとして、追加の工事や損害賠償請求等の担保責任を会社に対し追求できると思われます。(これは民法636条によるものです)。

この場合の担保責任は、注文者がその不適合を知った時から、1年間とする期間制限があります。しかし、引き渡し時に請負人(この場合、ガーデニング会社)が不適合を知っていたこと、または重大な過失によって知らなかったときは、期間制限は適用されません(民法637条)。

本件は、法的な期間を経過してしまっているなどの問題は特段なさそうですが、そもそも契約内容ではなかった植物の植栽を勧めたということに関し、当該植物の性質を把握していなかったようでありますから、「ガーデニング会社」側の重大な過失も認められる可能性もあります。

気になるのは「ガーデニング会社」が、元・従業員が行なったことだからどうしようもできないという姿勢であること。つまり、元・従業員が「ガーデニング会社」の仕事を実施する中で、問題の当該植物の植栽を勧めて植えたわけですが、その事実関係について「ガーデニング会社」として把握していないとすれば、肝心な事実関係について認識が相違してしまい、交渉が難航する恐れがあります。

「ガーデニング会社」の元・従業員だった者が、当該植栽を勧めて、持ち込んで植えたものであることを立証できるかどうかがポイントになりそうだと思います。

その点も含め、また「ガーデニング会社」が無責任な対応ならば、弁護士に相談して、どうしていくか検討してはどうでしょうか。

英国風庭園に咲くその花は、赤黒く、見方によってはおしゃれだという。しかしツンとした臭いが強く、虫も寄ってきて掃除も大変。気が付いたときは手が付けられない程大きくなっていたという。



■賢人のまとめ
事実関係の認識をガーデニング会社と共有し、弁護士を交えて話し合うことが突破口となりそうです。

■プロフィール

法律の賢人 柳原桑子

第二東京弁護士会所属 柳原法律事務所代表。弁護士。

東京都生まれ、明治大学法学部卒業。「思い切って相談してよかった」とトラブルに悩む人の多くから信頼を得ている。離婚問題、相続問題などを手がける。『スッキリ解決 後悔しない 離婚手続がよくわかる本』(池田書店)など著書多数。

柳原法律事務所http://www.yanagihara-law.com/