お金に苦労せず、幸せに生きていくことを目指すこの連載。先週のご紹介した高橋えりかさん(仮名・36歳  病院勤務)からの質問をもとに、子供の学費資金について森井じゅんさんにアドバイスをいただきます。

「結婚し、子供が生まれたので、将来のために教育資金を貯めなくてはと思っています。子供が18歳になるまでと考ていますが、どのくらい貯めたらいのかもよくわかっていません。また、学資保険やジュニアNISAなど候補はあるのですが、どれを選ぶか考えるときのポイントを教えてください」

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学資保険のメリットとは

相談者さんは、お子さんの大学費用を準備したいと考えており、学資保険などを検討中とのこと。

学資保険とは、子供の教育資金の確保を目的とした保険です。学資保険に加入すると、毎月保険料を支払います。基本的に、10年〜20年に渡る月々の支払が終わり、満期を迎え、満期保険金を受け取ります。つまり、加入時に決めたタイミングで、まとまった金額を受け取ることができるものです。

それでは、学資保険のメリットを見てみましょう。

メリット1

学資保険のひとつめのメリットは、保険機能。万が一の備えにもなる、という特長です。

学資保険は「保険」としての機能を持っています。万が一、契約者である親が死亡した場合や高度障害になってしまった場合などに、以降の保険料の支払いが免除されます。一方、満期時の保険金や一時金など、加入時に決めたタイミングで、保険金を予定どおりに受け取ることができます。

メリット2

2つめのメリットは、貯蓄機能です。

学費に限らず、まとまった金額の貯蓄をする場合、長期的にコツコツ貯めていくことが有効です。学資保険の保険料は基本的に毎月口座から引き落とされます。つまり「先取り貯金」の効果があり、貯金が苦手な人・お金の管理が得意でない人でも自動的に教育資金にお金を回すことができるのです。

メリット3

3つめのメリットは、投資商品としての価値です。一般的に、学資保険の受け取る保険金の総額は、支払った保険料の総額よりも多くなります。支払う保険料の総額に対して将来受け取れるお金の総額がどれくらいか、というのを表した数字を「返戻率」といいますが、返戻率が100%を超えていれば、お金が増えて戻ってくることになります。例えば、保険料を総額で100万円支払ったとして、受け取る一時金や満期保険金が110万円であれば110%です。そのため、学資保険を選ぶときには、返戻率を比較する人が多いです。

また、学資保険は生命保険料控除の対象になります。そのため、それほど大きくはありませんが節税効果もあり、これもメリットに数えられるでしょう。

学資保険のメリットは別の保険や投資商品などで カバーできることも

学資保険にはメリットがありますが、これらのメリットがあるから絶対に学資保険に入るべきとは言いきれません。なぜなら、これらのメリットを享受するためには、必ずしも学資保険である必要はなく、他の保険や投資商品でも可能だからです。

まず保険機能について。学資保険は、保険の中では保障は手厚いとは言えません。その他の生命保険の方が、個々のリスクに対応できるケースも少なくありません。また学資保険の特約で、保険の充実を考えるのは注意が必要です。

学資保険では、オプションでさまざまな特約をつけることができます。例えば、「契約者である親が死亡した場合等に、子供が毎年一定金額を一定期間受け取ることができる」といった育英年金特約や、「子供の入院などに給付金を受け取ることができる」といった医療保険特約等です。しかし、こうした特約を付加することで、受け取る保険金の金額が減少し、いわゆる元本割れを起こすこともあります。他の保険に単独で加入する方がよいケースもあります。

また、既に生命保険等に入っていたり、公的保険でカバーできる部分など、しっかりと確認する必要があります。

次に、貯蓄機能についてです。

そもそも、お金に色はありません。学資保険はお金に教育資金というラベルを張り、色をつけるのが目的であるとも言えます。他の方法で、自分自身が教育資金として分離して準備できればそれでいいとも考えられるのです。

さらに学資保険を投資としての商品と考えると、学資保険よりもリターンの大きいものは、他にもたくさんあります。

学資保険のデメリットとリスク

ここで、学資保険のデメリット・リスクを紹介しておきましょう。

まずひとつめは、インフレリスクです。

学資保険は、経済環境が変わっても契約時のシミュレーション通りに保険金を受け取ることができます。しかし、お金の価値が変わった場合にはどうなるでしょう。同じお金で買えたはずのものが買えなくなることを「インフレ」と言いますが、保険金受取時に手にした金額の価値が下がってしまう可能性があるのです。これがインフレリスクです。

もうひとつは、金利上昇リスクです。

金利学資保険は、長期固定金利での運用が大前提です。現在は非常に低い金利が続いていますが、今後の金利の動きはわかりません。子供が生まれてすぐに学資保険に加入すれば、契約期間は20年近くにもなります。現在の超低金利時に加入し、たとえ契約期間中に金利が上昇しても、その超低金利で長期固定運用となるのです。他で運用すればよかった、儲け損なった、という可能性があります。

倒産リスクもあります。

検討している保険会社が倒産する、という想像は難しいかもしれません。しかし、実際に過去に保険会社が倒産している事例は少なくありません。銀行の預金であれば、1000万円とその利息までは預金保険機構により補償されますが、保険における補償は限定的なものになります。

そして、学資保険で一番大きなリスクは解約リスクでしょう。

学資保険は途中解約すると一気に返戻率が低くなり、ほとんどの場合、元本割れとなります。解約となってしまっては、貯蓄としても投資としても保険としても価値は毀損します。

人生何があるか分かりません。子供が増えたり、転職など諸々の理由で、すぐにお金が必要になることがあります。さまざまな理由で、学資保険を解約してしまい、結局マイナスになってしまったというケースは少なくありません。そして、「元本割れした返戻金に呆然とした」という声も……。

学資保険を選ぶときのポイント

上でも触れましたが、お金に色はありません。「子供の教育資金」とひと言で言っても、 学資保険だけが教育資金の準備方法ではないのです。学資保険に近い効果が得られるような構成も考えてみましょう。例えば、投資商品としてのリスクは少し上がりますが、解約リスクやインフレリスクの小さいジュニアNISAで教育資金を運用し、生命保険でリスクに対応する、といった方法もひとつです。いずれにしても、人それぞれベストは異なり、数えきれないほどのパターンがあるのです。

子供が生まれたら、「まず学資保険」というイメージがある方もいるかもしれません。しかし、そのリスク・リターンをしっかり検討してから加入を決めて下さいね。

そして、学資保険の加入を考えるのであれば、子供の教育資金が「いつ・どのくらい」必要になるかを予測し、それに見合ったものを検討してください。保険金の受け取りを教育資金の負担が重くなるタイミングに設定することで、高額になりがちな教育資金・進学費用等をカバーしたいと学資保険を検討する方も少なくありません。そして、負担が重くなるタイミングとして、相談者さんが心配されているような大学進学が注目されることが多いです。

しかし、受け取り方法は満期一括だけではありません。小学校、中学や高校への進学のタイミングで、入学時の祝い金といった名目の一時金を受け取ることができるものもあります。

また、学資保険の金額設定には十分注意して下さい。できるだけ多く教育資金に回したいという親心はわかりますが、途中解約になってしまっては、非常にもったいないです。

子供の将来は大学進学だけではありません。子供と生きていく中で、もっと他に一緒に経験したいこと経験させてあげたいこともできるかもしれません。その時に学資保険の支払いで身動きができなってしまうのは苦しいです。

将来を長期のスパンで考え、今後の人生の様々な変化を考慮したうえで、学資保険に出せる・出し続けられる「可能な範囲」をしっかり考えてみて下さい。

途中解約したら損してしまう、満期までが長い保険。よさそうだから入っておこう!だと、あとあと苦しむことになるやも……。



■賢人のまとめ
子供の学費を貯めたいと考えたときに、候補にあがることの多い学資保険。学資保険にはメリットだけでなく、デメリットやリスクもあります。学資保険以外の自分にベストな方法も検討してみましょう。子供の将来は大学進学だけではありません。教育資金の準備を考える際には、将来を長期のスパンで考え、今後の人生の様々な変化を考慮した上で、慎重に検討してください。

■プロフィール

女子マネーの達人 森井じゅん

1980年生まれ。高校を中退後、大検を取得。レイクランド大学ジャパンキャンパスを経てネバダ州立リノ大学に留学。留学中はカジノの経理部で日常経理を担当。

一女を出産し帰国後、シングルマザーとして子育てをしながら公認会計士資格を取得。平成26年に森井会計事務所を開設し、税務申告業務及びコンサル業務を行なっている。