Alexaを搭載するAIスピーカー「Amazon Echo」が、家庭内の会話の内容を無断で遠く離れた他人に音声データで送り付けるという、にわかに信じられない事件が起こりました。

Woman says her Amazon device recorded private conversation, sent it out to random contact | KIRO-TV

https://www.kiro7.com/news/local/woman-says-her-amazon-device-recorded-private-conversation-sent-it-out-to-random-contact/755507974

「完全なるプライバシーへの侵入だと感じたわ」と話すのは、アメリカ・ポートランド在住のダニエルさん。



ダニエルさん一家の家庭内の会話がEchoによって、知人に送り付けられたとのこと。



事件の発生を知った、Amazonのおひざ元シアトルの地元ニュース「Kiro 7」ではトップニュース扱いで事件を報じています。



Amazon本社前からの中継。「Amazonは彼女の家で起こった事実を認め、『とても稀な現象で、現在調査中だ』と答えたそうです。彼女はAlexa(Echo)を使うすべてのユーザーのために、真相を明らかにするよう求めています」



ダニエルさんにSkypeで事情を聴くニュースキャスター



ダニエルさん宅では、すべての部屋にEchoを設置して、冷暖房や電灯のON/OFFをEchoで行っていたとのこと。



「私の夫はたまに『会話を全部聞かれているかもね』とジョークを言っていました」



そんな「空想」が現実になったのは、ダニエルさんの夫の従業員からかかってきた電話でした。従業員は、「今すぐAlexa端末の電源を切って!」と伝え、ダニエルさん宅の会話の内容を記録した音声ファイルが届いたことを明らかにしたとのこと。



ダニエルさん宅のあるポートランドから、電話をかけてきた従業員の住むシアトルまでは176マイル(約280キロメートル)の距離です。



当初、「そんなことあるわけないだろう」と思ったダニエルさんの夫でしたが、従業員は「いま、フローリングについて話していたでしょ?」と、会話の内容を的中させたそうです。



「まじかよ!?」となるのも無理はありません。



会話を無断で聴かれた上に、アドレス帳に登録された知人宛に音声データを送り付けられたダニエルさんは、「プライバシーへの完全なる侵入だ」と感じ、すべてのEchoの電源を抜きました。「もう二度と使おうという気はないわ。もう信じられないもの」とのこと。



ダニエルさんはAmazonに電話して状況を説明し、回答を求めました。



「Amazonのエンジニアは、私たちに起こったことが事実だと確認し、『申し訳ありません』と話しました。30分間に15回くらい謝罪しました」



「彼は、なぜ起こったのかについて話しましたか?」「彼は『(Alexaは)私たちが何を話しているのかを推測しただけです』と言いました」



Kiro 7もAmazon本社に内容の確認を行いました。



Amazonからの回答は、「Amazonはプライバシーについてとても深刻に受け止めています。私たちは何が起こったのかを調査した結果、極めて稀な出来事だったことを確認しました。将来、同じことが起こるのを避けるように対処しています」だったとのこと。



「ダニエルさんはAmazonに対して、4台のAlexa端末の払い戻しを求めています」



◆2018/05/25 13:08追記

Echoが家庭内の会話を送信した原因について、Washington Postが解説しています。

An Amazon Echo recorded a family’s conversation, then sent it to a random person in their contacts, report says - The Washington Post

https://www.washingtonpost.com/news/the-switch/wp/2018/05/24/an-amazon-echo-recorded-a-familys-conversation-then-sent-it-to-a-random-person-in-their-contacts-report-says/

Amazonの調査によると、ダニエルさんの会話の中で「Alexa」というウェイクワードと誤認したことでAlexaが起動したとのこと。さらにAlexaは会話の中から「メッセージ送信」の命令があったと誤解して、会話を録音。ここで、Alexaはメッセージの送信先を確認する音声を発したことも分かっており、どういうわけかアドレス登録されていた従業員宛のものと判断した結果、会話を記録した音声ファイルが送信されてしまったようです。

偶然が重なり合って生じた事故だったようですが、「思わぬタイミングでAlexaが起動して話し出す」ということは起こり得るので、Amazonには偶然による不幸を予防する措置を講じてほしいところです。