世界的な名声を誇るイニエスタは、国際的な市場も視野に入れているはずの楽天にとっては大きな補強だよね。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

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 元バルサのイニエスタの神戸加入が正式に発表されたね。3年契約で年俸は約32億円と言われるビッグディールのようだけど、楽天がバルサとのグローバルパートナーシップ契約で支払ったとされる約320億円と比べたら、大した投資額ではないんじゃないかな。
 
 サッカー好きの日本人は別として、イニエスタの知名度は日本全体で見ればそうでもない。逆に世界的には、かなりネームバリューのある選手だ。
 
 そう考えると、グローバルな展開をさらに強化したいはずの楽天としては、イニエスタ獲得はそれなりの宣伝効果が見込めるだろう。今回の移籍を海外メディアがどれほど大きく取り上げているかは気になるところだ。
 
 一方で、実際のピッチ上ではどうか。違和感を覚えたのは、都内で行なわれた記者会見で、登壇したのはイニエスタとオーナーの三木谷氏だったことだ。
 
 新戦力を迎え入れるセレモニーでは、社長もしくは監督が同席するのが一般的だと思うけど、そうではなかったよね。クラブとしての将来的なプロジェクトは語られた一方で、「タイトルを獲りたい」とか「ACLで優勝を目指す」といった具体的な目標が示されなかったのは少し寂しかった。

 そもそも、イニエスタのプレースタイルは、今のヴィッセルに合うのか。クラブとしてパスサッカーに移行しているようだけど、まだまだ試行錯誤中だ。ヴィッセルで躍動する姿がなかなかイメージできないのが正直なところだよ。
 
 まあ、あれだけのキャリアを持つスタープレーヤーだから、大きな期待をかけられているのは間違いない。

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 ただ、バルサでもスペイン代表でも、イニエスタの周りには彼と同じぐらい凄い選手が何人もいた。日本での新天地では、初めてそうではない環境の中でサッカーをすることになる。バルサでまず警戒されるのはメッシだ。だが、ヴィッセルではイニエスタがそういう対象になる。かなり苦労するんじゃないかな。
 
 元ブラジル代表のドゥンガがいた頃のジュビロには、名波、藤田、高原といった代表クラスの日本人選手がいた。改めて言うまでもなく、サッカーはひとりの力ではどうにもできない。今のヴィッセルで、イニエスタがストレスを感じることなく、持てる力を存分に発揮できるかどうかには一抹の不安が残る。
 
 ポドルスキでさえ、今ひとつパッとしない現状を考えれば、ヴィッセルの日本人選手たちにはもっと奮起してもらいたい。同じことは、思うように活躍できていないジョーがいるグランパスにも言えるかもしれないね。
 
 グランパスもヴィッセルも、選手の補強面ではそれなりに頑張っている。残念なのは、こういった流れを他のクラブが追随していない点だ。資金的な問題があるにせよ、リーグ全体で大型補強がもっと活発化してくれれば、とは思う。
 
 イニエスタのヴィッセル入りが、さらなる起爆剤になればいい。広告塔としての高い貢献は望めるとして、プレー面でも輝きを放ってほしいし、その結果、クラブとしてもひとつの成果を得てほしいよね。
 
 先述したドゥンガだけでなく、アントラーズの土台を築いたといっても過言ではないジーコのように、イニエスタもヴィッセルで特別な存在になってほしいと願っているよ。