インドネシア、バリ島のレポート第2回目です。(1回目はこちら

前回の記事ではバリ島のウブド(海沿いのリゾートから少し離れた山間部)で出会った美しいVeganスイーツの数々に触れましたが、スイーツだけでなく食事メニューにもたくさんの驚きがありました。あらゆるカフェやレストランにVeganメニューがあるヨガの聖地で、日本ではなかなか食べることのできない魅力的なVegan料理を知ることができました。

深いコクとパンチの効いた味! バリニーズVeganごはん

マレーシアやシンガポールなどの東南アジアではおなじみの、ココナッツミルクベースのカレーヌードル「ラクサ」。日本人にとってのラーメンと言われるほどの日常食で、ターメリックやクミンなどのスパイスを使ったスープに鶏肉やエビ、野菜が入るヌードル。まさにラーメンと同じように、地域によって特徴が異なるそうですが、ウブドで食べたラクサはVegan。春雨のように細い麺と一緒にいただくスープは、控えめな辛さのなかにうまみがたっぷりで、とっても美味しい! 食べ終わったあとの器にご飯を入れて食べたくなるほど、でした。

こちらは、Veganのハンバーガー。パテにはナツメグなどのスパイスの香りがあり、ビールが飲みたくなる!

こちらは、朝ごはんに人気の「バナナのポテトワッフル」。ワッフル生地は卵や牛乳を使わないVeganであるだけでなく、小麦粉を使わず甘いお芋を主原料にしたグルテンフリー。お芋で作ったワッフル……というと、芋団子や大学芋のような素朴な味になりそうですが、このワッフルにも何種類かのスパイスが入り、コーヒーにも合うおしゃれな味でした。

植物性食材だけでつくると、精進料理のようなあっさりした味になりがちと言われていますが、これらのVegan料理はどれもしっかりとパンチの効いた味バリニーズVegan料理のおいしさの秘密は“スパイス”にあるようです。

おいしさの秘密:歴史に培われたスパイス使い

インドネシアは他民族多文化国家。地域によって宗教や食文化はかなり異なるそうですが、バリ島在住で伝統料理の料理教室を主宰されている方のお話によると、バリ料理にはスパイスが欠かせないそうで、とくにバリニーズスパイスと呼ばれるスパイスの組み合わせは「おふくろの味」とのこと。コリアンダー、クミン、クローブ、ナツメグ、ゴマ、白コショウ、黒コショウ、キャンドルナッツ……などを配合するそうです。

さらに、生姜やにんにく、唐辛子も、日本では見かけない種類がたくさん。ひとつの料理のなかに、これだけの種類を混ぜて使うのだとか!

いくつもの種子スパイス、生姜、にんにく、唐辛子を挽いて調味料とするのがバリの伝統的な調理法だそうです。はじめにスパイスミックスを作るとは、 料理におけるスパイスの重要性を物語っていますね……!

季節の野菜をこれらのスパイスミックスと塩、パームやしの砂糖、ココナッツミルクで加えれば家庭の定番料理、野菜のお惣菜の完成とのこと。日本人にとっての胡麻和えようなものでしょうか。和食とは一風異なる甘辛で、ごはんが進む味わいでした! バリの人は1日3〜5合もの米を食べるそうで、 バリの文化は米とともにある、という話にも納得です。

わずか3日の短い滞在でしたが、 スパイスの効いたバリのVegan料理と伝統料理に、辛みだけではなく魅力的な香りとしっかりした味わいがあったことに感銘を受けました。

動物性食材をつかわないVegan料理こそ、スパイスの風味が際立ちます。長い歴史で培われたスパイス使いの妙。バリニーズVegan料理のおいしさの秘密を簡単に習得することはできませんが、野菜のおいしさを引き立てるスパイスの実力を思い知り、ワクワクが止まりません。

スパイスと呼ばれるものの多くが、植物の種や根っこ。命がうまれるエネルギーをおいしくいただく技術を一生かけて学びたいと思いました。

Vegan(ヴィーガン)とは、完全菜食。 動物性のものを一切使わないライフスタイルや、そのような食事のことをさす言葉。 本連載『TOKYO VEGAN』では、おうちでつくれるVeganレシピのほか、おいしい野菜や調味料、世界のVegan事情についてなどをゆるゆると綴っています。

次回は、東京発! キュート&デリシャスなVeganフードについてお届けします。お楽しみに!

Profile:大皿彩子 Saiko Ohsara

Alaska zwei 店主 / 株式会社さいころ食堂代表、“おいしい企画”専門のフードプランナー。Veganカフェ「Alaska zwei」の運営のほか、食に関わるブランドプロデュース、レシピ開発、空間コーディネート、イベントのトータルコーディネート等を行う。saikolo.jp