わずか1年でポルティモネンセを去るのか。中島の去就に注目が集まっている。(C)Getty Images

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 この夏の移籍市場を賑わす存在となりそうだ。
 
 2017-18シーズンのポルトガル・リーグで一躍ブレイクを果たし、スターダムを駆け上がった中島翔哉。入団1年目ながら10得点・12アシストをマークし、いまやポルティモネンセの押しも押されもしない攻撃の中軸だ。FC東京からの完全移籍が早々に発表され、いまや複数の強豪クラブが引き抜きを画策している。
 
 そんななか、ポルティモネンセの強化部門でトップを務めるロブソン・ポンテ氏が自身のインスタグラムを更新して私見を述べた。かつて浦和レッズでプレーし、2007年にはJリーグMVPに輝いたあのレジェンドである。2年前に同クラブのテクニカルディレクターに就任した同氏は、まず今回の中島の落選についてこう持論を展開した。
 
「なぜナカジマが落選したのか理解できないよ。ニシノ監督は明らかに間違っている。35年間サッカーをしてきたけど、信じがたいコメントだ。『ナカジマはポリバレントではない』なんてね。彼は4つのポジションでプレーして、10得点・12アシスト。アシスト数はチームトップで、リーグ全体では4番目だ。しかもリーグのベストイレブンにも選ばれているんだよ」

 
 ポンテTDはそこまで記して、中島がどれだけ欧州で評価されているのかを示すため、正式オファーを出してきた6クラブの名前を明かした。
 
「現在オフィシャルなオファーが届いているのは6つのクラブ(パリ・サンジェルマン、ポルト、ベンフィカ、スポルティング、シャフタール、ガラタサライ)。加えて10以上のクラブが興味を示しているんだ」
 
 これまでボルシア・ドルトムントやヴォルフスブルクなどのドイツ勢やアトレティコ・マドリー、サウサンプトンなどさまざまなクラブが候補に挙がっていたが、強化責任者が明示した6つの名前にはやはりリアリティーがある。しかもトーマス・トゥヘル新政権が誕生したばかりのパリSGは、一度も候補リストに挙がってこなかった。この世界屈指のメガクラブであれば、ポルティモネンセが設定したとされる2000万ユーロ(約26億円)の違約金も難なく支払えるだろうか。
 
 ポンテ氏の怒りは収まらず、こう綴って投稿を締めくくっている。
 
「ミスター・ニシノは本当にナカジマのパフォ―マンスと価値を理解しているのだろうか。なんという不正確さだろう。日本のファンの100パーセントがワールドカップでナカジマを観たいと思っている。そのことが分かっているのだろうか」

 
 実際に西野監督には国内外のファンから批判が殺到したわけだが、5月21日の日本代表始動日に行なわれた囲み取材で、“ポリバレント発言”の真意を説明した。
 
「先日言った“ポリバレント”というのは、複数のポジションをこなせるということ。これは間違いなく、本当に大事なことなので、本大会に向けてそういう選手が必要なんですが、ただ、全員がポリバレントでなければならないと言ったわけではない。もちろん、スペシャルな選手もいます。ただ、ポリバレントを要求している中で、複数のポジションで素晴らしいパフォーマンスを出している選手がいたので、その選手(中島)に関しては決してポリバレントがないから外したというわけではなくて、競争の中で、選択肢の中で選ぶことができなかったんです」
 
 FIFAに提出済みの予備登録メンバー35名に中島は入っているかもしれず、まだ最終登録23名に食い込む可能性はゼロではないだろう。