メカニカルMODで爆発事故の真相は?加熱式タバコ・IQOSユーザーも注目のVAPEを安全に利用する為の注意点(世永玲生)


VAPE(電子タバコ)用のMODが爆発したという残念な事件のニュースが流れてきました。
「Smok-E Mountain」というメーカーの「MOD」が爆発したという報道です。

今回はこのニュースに対する掘り下げと、VAPEを利用する際の注意点をお話させて頂きたいと思います。

今回のMODは「メカニカルMOD」

「Smok-E Mountain」はフィリピンのセブ島に本拠地を構える、VAPE用の人気メカニカルMODメーカーです。

まず「MOD」とはなに?と思う方へ簡単に解説をさせて頂きます。

MODとは、VAPEを楽しむ際、主に「18650」(18650リチウムイオン電池)と呼ばれるバッテリーを装着し、蒸気発生器に電力を供給する部位の通称なんですが、これには大きく分けて2種類の方式が存在します。

1つはテクニカルMOD。これは制御用の基盤が入っているものです。
これに対して、メカニカルMODという機械式ギミックのMODが存在します。

チューブ型のメカニカルMODの場合は、本体は実質金属製の筒で、チューブ自体をギミックとして利用し、通電させる仕組みになっています。一般的に保護回路は内蔵されていません。

テクニカルMODはショート時に電流を流すのをストップさせる機能が実装されていますが、メカニマルMODはショート時の保護回路が存在しないため、ショートしたまま使い続けると、当然非常に危険な状態を招きます。
今回の「MOD」は後者のメカニカルMODになります。

海外のVAPEフォーラムによると、爆発した破片からは「Smok-E Mountain Mech Works」のロゴが確認されていることから、メカニカルラインナップなのは確定です。

Smok-E Mountain Mech Worksのラインナップでは、BOX型のメカニカルMODも発売されていますが、今回の事故を報じたThe Guardian紙によると、使用されたMODはペン型だったということで、一般に「チューブMOD」と呼ばれるタイプだったと推定されます。

僕は、BOXにしろチューブにしろ、メカニカルMODは、事前知識と、信頼できるアドバイザーと、各種メンテナンス設備があってこその「趣味品」だと思っています。

以下ではその趣味品である「メカニカルMOD」を使う際の注意点を解説いたします。

メカニカルMODを使う際の注意点

メカニカルMODを使う際には最低限以下のガジェットが必要です。

・オームメーター
・短絡、不良チェック付きのバッテリーチャージャー

オームメーターは蒸気発生器(以下アトマイザー)でショートが発生していないかチェックする為に必要です。また、抵抗値が想定の抵抗であるかも、安全に使うためには必須のチェック項目です。

バッテリーチャージャーは、バッテリーのショート(短絡)や不良チェックのチェック機能が付いた物が必要になります。エラーが出たバッテリーは速やかに廃棄しましょう。

あと、テクニカルMODを使用する際にも、セラミック製ピンセットは必須アイテムなのですが、金属製のピンセットを使うことによる危険性はメカニカルでは格段に上がります。

そもそもビルド時の焼入れ等は、テクニカルで行うのを推奨しますし、セラミック製ピンセットを持っていない人はメカニカルは使わない方がいいでしょう。

ここまででも物凄く面倒くさそうでしょ?ですが、メカニカルMODを使う際には、これらの装備が最低限必要な上に、より安全に使うためには、更に以下の点を注意する必要があります。

・クリアロマイザーを利用しない。
・アトマイザーがショートしていないかをチェックする。
・ICRバッテリーを利用しない。
・極端な低抵抗で利用しない。

クリアロマイザーを利用しない。

まず、VAPEを楽しむには、MODをアトマイザーと接続する必要があります。

このアトマイザーですが、大きく分けて3つの種類が存在します。

・クリアロマイザー
・RTA/RDAタイプアトマイザー
・BFタイプアトマイザー

このうちクリアロマイザーについては、メカニカルMODへの接続を避けるべきです。

クリアロマイザーは蒸気発生器がカートリッジ式になっているアトマイザーで、基本的にはテクニカルMODに接続するのを前提に設計されています。

では、なぜクリアロマイザーをメカニカルMODに接続するのは避けるべきなのでしょうか?

アトマイザーはネジの部分と中心のピンの間が絶縁されており、ネジの部分がネガティブ(ー)、ピンの部分がポジティブ(+)という構造になっています。

このネガティブとポジティブが同時に電池と接触するとショートするわけですが、メカニカルMOD用のアトマイザーの場合は、ポジティブピンがしっかりと飛び出しており、同時に接触しにくい仕組みになっています。

ですが、クリアロマイザーの多くはメカニカルMODでの利用を想定しておらず、このポジティブピンの背も低く、かつ調整も行えないようになっています。

ものによっては、ポジティブとネガティブがほぼ平行レベルのものがあり、これらをメカニカルMODで利用すると非常に危険です。

また、後述しますが、近年のクリアロマイザーは「爆煙」(煙が多く発生する)モデルでコイルが超低抵抗のものも多く、メカニカルを買ってみたので、昔買ったスターターキットについていたクリアロマイザーをつけてみようかな。なんてのは絶対辞めたほうが良いです。

ショートの危険性が高い、ポジティブピンの状態で、超低抵抗のアトマイザーを......なんて本当に恐ろしいことだと覚えておいてください。

クリアロマイザーがメカニカルで危険?そんなことないよ、物によるよ?なんて自信を持って言える絶対的な知識がある場合を除いて、クリアロマイザーをメカニカルで利用するのは事故のもとなので、絶対に避けるべきと考えていいでしょう。

今後VAPEの知識が深まっても、クリアロマイザーをメカニカルMODで使うことは、少なくとも僕は無いと思います。

また、RDAやRTAと呼ばれる、メカニカルMODでも利用されるタイプのRebuildableアトマイザーを使う際も、ちゃんとポジティブピンがしっかりと飛び出してるか等は、最低限注意が必要です。

また、RDAやRTAの中には、BF(Bottom-feed)と呼ばれるタイプの底面からリキッド(グリセリン)を供給するタイプのものが存在するのですが、多くのBFタイプは、通常のピンとBFピンが差し替え出来ます。

中心に穴が開いているBFピンが装着されている場合、スコンカーと呼ばれるタイプのMODを使う場合以外には決して使用してはいけません。

アトマイザーがショートしていないかをチェックする。

メカニカル用のアトマイザーは、自分でコイルを巻いて、コットンを挿し込み、ミスト発生部分をセッティングしないといけません。

その際に、先述のオームメーターが必須になります。

オームメーターはこんな感じのガジェットです。

ネジ状のスレッドにアトマイザーを差し込むことでオーム数のチェックや、ショートの確認ができます。

この際に気をつけて頂きたいのは、キャップを外した状態ではショートはしておらず、後でキャップをつけた際に、どこかしらが接触してショートというパターンがあります。

ですので、必ずキャップや吸口をつけた状態でショートチェックをしましょう。

キャップを付けた状態だと大丈夫、でも吸口を社外品の金属製の物にした場合接触してショート。みたいな事例も実際にありますので。実際に使用する状態でチェックを行いましょう。

ICRバッテリーを利用しない。

その理由は、素材が異なるIMRバッテリーやINRバッテリーに対して爆発力が高いからです。
電力供給のパワーも弱いため、まずメカニカルMOD用として販売されているバッテリーには使われていないのですが、通販等でICRをIMRやINRとして販売しているケースも報告されていますので、購入の際には、信頼できるメーカーの直販サイトで買うのが最も安全といえます。

初心者向けのスターターキットでパワーの弱いテクニカルMODでは、そのスターターキット内での使用を前提としてセットになっている場合も少なくないので、自分のバッテリーがICRなのか、IMRなのか、INRなのかをまず確認しましょう。

また、IMRやINRを使う際もVAPE用として販売されている「ニップルトップ」と呼ばれている+極が出っ張ったものを利用したほうがより安全でしょう。

経年劣化により、この出っ張り部分が凹んだ場合は、ケチらずにそのバッテリーを処分したほうが良いです。

そして、メカニカルで使用するバッテリーはバッテリーチャージャーを使い、エラーが出ていないかをしっかりと把握して使いましょう。

「Smok-E Mountain」社は今回の事故に対して、クローンバッテリーの存在を指摘したという情報もあり、繰り返しになりますが、信頼できるメーカーの直販サイトか、信頼できるショップでの購入が必須だと思います。


参考までにこの動画は、当時3600mAhまでが最高と言われてた中、4000mAhで販売されていたクローンが疑われるバッテリーから、意図的に保護回路を外してショートさせた実験映像です。

また、体積エネルギー密度が高い(400ワット時毎リットル以上)バッテリーにはPSE表示が義務付けられています。これはおおよそ2000mAhを超えるバッテリーが対象になりますので、こちらもご注意ください。

極端な低抵抗で利用しない。

ICRを使わなければ安全というわけではないということも気をつけてください。
バッテリーの許容範囲を逸脱した利用は、IMRやINRでも厳禁です。

さて、その許容範囲を逸脱した利用の代表例として「極端な低抵抗」での利用があります。

VAPEを楽しんでいる方でも「極端な低抵抗」って言われてもどれくらいから?
って思う方も多いかと思います。

僕は、0.3Ω以下での利用は基本的に避けたほうが良いと思ってますし、自分が使っているバッテリーの許容範囲が即答できるまでは、なんなら0.5Ω位で良いと思ってます。
0.5Ωでも、十分爆煙出ますしね。

18650のバッテリーは4.2Vですので、0.3Ωですと14A(アンペア)、0.5Ωですと、8.4Aです。
流れる電流は抵抗値が上がるほどに一気に低くなり、その分安全になります。

これが、0.2Ωとなりますと、一気に21A、VAPE用とされているバッテリーの中でも最大放電量が20Aのものは少なくありません。

あなたのセッティングで流れる電流は何Aですか?あなたのバッテリーの連続放電許容量は何Aですか?に即答出来ないのであれば、そもそも低抵抗にするべきではないのです。

連続放電許容量を超えて長時間利用されたバッテリーは熱を持ち危険な状態に一歩踏み出します。使っていて「熱い」と思ったら、使用をそのまま続けるべきではありません。

使ってて、あれ?充電してるはずなのにつかないぞ?なんてなったらそもそも再度パフボタンを押すべきではないのです。

知識がある人ほど、バッテリーのスペック上の連続放電と最大放電はしっかりと把握しているものですし、使用時のコンディションも気にします。

バッテリー購入はこれらの知識を得てから、信頼出来るメーカーの直販サイトで買うか、ないしはバッテリーに詳しい、信頼できるショップで購入するのをおすすめします。

疑問に感じたことに全て即答出来る位のバッテリーに対する知識を持った人のアドバイスの元、辛うじてメカニカルMODに対する検討を行うべきです。

結局、メカニカルMODは危険なのか?

さて、ここまで読んで皆さんはどう思いましたか?「非常に面倒くさそう」と思いませんでした?
この他にも、持ち運び時にはケースに入れ、バッテリーを取り外し、バッテリーはバッテリーケースにしまう。等々、気をつけないといけないことは多々ありますし、ありとあらゆることを注意してても100%安全とはいえないでしょう。

すごくめんどくさい「趣味品」なんです。特にメカニカルMODは。

現実問題、VAPEの急激な広がりにより、最初の1本がメカニカルMODという人も増えてきたり、今までも大丈夫だから今後も大丈夫だろうと、ビルド後のオームチェックをサボる人も少なくありません。

メカニカルMODは、テクニカルでビルドを1年やって、その後どうしても欲しかったら購入する。位を僕は個人的にはおすすめします。
そして、始める際には信頼できるショップ、アドバイザー、そして設備も必須です。

そもそも、安全に使うための「面倒さ」や「コスト」を許容できないのであれば、メカニカルMODは使うべきではないのです。

また、メカニカルMODの中にも、内部絶縁加工、510スレッド用アダプター付きのもありますし、ギリシャのGUS MODの様に、ヒューズ付きのメカニカルMODを販売しているメーカーもあるわけです。
これらの仕様であれば、それぞれの仕様の分だけ安全性は増します。

ですので、仮に万が一、メカニカルMODが欲しくなったとしても、最初のメカニカルはそういうのが良いと思うんですよね。
ヒューズ付きのMODを使っていれば、当然危険性は激減しますし、GUS MOD格好いいですし、ガス抜きのベントホールもしっかりあいてますし。

510スレッド用のアダプターが無く、ヒューズもついていないタイプのメカニカルMODは、コンパクトでかっこいいのは事実なんですけど、長くなるといってもせいぜい数ミリの話ですし、「ヌンチャクMOD」のようなほぼ見た目はメカニカルチューブMODのテクニカルMODも出てきてる位ですから、そちらで満足するならば、テクニカルMODをチョイスした方がいいです。

もちろん、テクニカルMODだったら100%安全だと言うわけでもなく、リチウム電池を内蔵するすべてのガジェットが保管場所や、使用方法、そして劣化時の処理等、気をつけてるに越したことは無いわけですが。

事故に合われた方には哀悼の意を表する共に、VAPEを利用する方々が、面倒くさいことをちゃんと面倒くさくしっかりやって、ちょっとでも安全にVAPEを吸えることを祈る次第です。