2012年に花組芝居の俳優・堀越涼が旗揚げした演劇ユニット「あやめ十八番」。公演を重ねるごとに評判を呼び、2016年に上演された『ゲイシャパラソル』は、全ステージ完売となり、当日券を求める人たちが連日劇場に押し寄せるほどでした。公演終了後も再演を求める声が多く寄せられ、今回、満を持しての再演が決定しました。

「和」の要素にこだわる作品作り

堀越が自らの創作スタイルを「現代の古典演劇」と称しているように、その作品作りは歌舞伎、能、人形浄瑠璃など、さまざまな日本の古典芸能のエッセンスを劇中に散りばめて現代劇の中に昇華すること、そして現代人の感覚で古典芸能を再構築することの両面から行われています。その上で、すべての作品において日本人特有の感覚や美意識をテーマとしています。

現代と古典の融合だけでなく、その演出は時に和洋折衷の世界観を描き出すこともあります。また、歌舞伎の下座音楽や落語のお囃子の影響のもと、劇中音楽がすべて生演奏で行われるのも見どころのひとつです。

作品タイトルはアメリカでつけられた日本の花の名前

あやめ十八番の作品タイトルは、今まですべて花菖蒲(ハナショウブ)の品種名からつけられてきました。今回のタイトルとなる「ゲイシャパラソル」もアメリカで育成された花菖蒲の一品種です。

時は平成60年、深川芸者の柳谷・仇吉(あだきち)は、若くして"花柳界の至宝"と称されていました。彼女は、その美貌や芸で名を売ったのではなく、ただ一つ、その"本名"ゆえに花街の宝となったのでした。ところが人気絶頂の中、彼女は姿をくらまします。

なぜ人々は彼女を讃えたのでしょうか? そして、どうして姿を消したのでしょうか?

激動の時代に祭り上げられてしまった一人の芸者と、名もなき男の物語です。

演技派俳優陣が集結してのダブルキャスト上演が実現

今回の再演は、出演者が二つの組に分かれるダブルキャストで行われます。仇吉を演じるのは、あやめ十八番の二枚看板の女優である大森茉利子と金子侑加です。それぞれの組ごとに演技派の俳優陣が集結し、どちらの組も見逃せないキャスティングが実現しています。

まだ見ぬ未来の日本を、あえて和風・大正風に描いたあやめ十八番の最高傑作『ゲイシャパラソル』。座・高円寺という初演時よりも大きな劇場で、どのような花を開かせるのか。日本の梅雨を吹き飛ばす、スケールの大きなステージとなるに違いありません。

今回の再演も完売必至です。是非早めにチケットを確保して劇場に足を運びましょう。

あやめ十八番 第十回公演『ゲイシャパラソル』

6月9日(土)〜6月17日(日) 座・高円寺1

出演:大森茉利子、金子侑加、吉田能、堀越涼
小林大介、美斉津恵友、和知龍範、塩口量平、村上誠基、吉川純広 ほか

脚本・演出:堀越涼

作品の詳細は公式サイトで。

出雲 あきら(いずも・あきら)

演劇評論家。ラジオや雑誌等で多くの演劇コーナーを担当。トニー賞授賞式に21回出席している唯一の日本人。広告会社電通に勤務する会社員でもある。