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もくじ

ー 3.2ℓ直6か5.9ℓV12か
ー 0-97km/h加速は5秒台
ー アストン マーティンDB7の中古車 購入時の注意点
ー 専門家の意見を聞いてみる
ー 知っておくべきこと
ー いくら払うべき?
ー 掘り出し物を発見

3.2ℓ直6か5.9ℓV12か

DB7はいまやトヨタiQベースのアストン製高級小型モデルであるシグネットよりも安価に購入する事ができる。例えば、2011年下期登録のナンバーを付けた走行距離8万3700kmのシグネットが2万4890ポンド(371万円)のプライスタグを掲げる一方で、走行距離11万kmの1996年前期登録DB7 3.2クーペの価格はわずか19995ポンド(298万円)である。

この値段はiQ豪華版どころか、フォード・フォーカスの新車よりも安いのだ。しかし、DB7にも個体によっては高額な出費を伴うトラブルが発生するリスクはある。最初期であれば既に23年前のモデルであり(生産期間は1994年-2004年)、ボディやシャシーの腐食はそれほど珍しいものではないが、何故か初期モデルの方が後に生産された車両よりも優れた防錆が施されている。

エンジンとギアボックスの冷却系には故障が発生しやすく、タイミングチェーンのテンショナーにトラブルが発生した場合、エンジン本体にまで影響が及ぶ。エアコンもまた不具合が多く、修理にはダッシュボードの取外しが必要なため修理コストは高額になる。

こういったポイントについては「購入時の注意点」で詳しく紹介するが、購入を決める前に各部のチェックを行うとともに、なるべく多くの車両を比較することをお勧めする。DB7の組立工程は手作業が多く、その品質と防錆の状態は個体によって大きく異なるからだ。

価格については、状態が良く平均的な走行距離の3.2モデルであれば3万ポンド(448万円)程度、より新しい同じような状態の5.9モデルの場合には約4万ポンド(597万円)程度となる。つまりエンジンは2種類あり、i6として知られるイートン製スーパーチャージャー付の340psを発生するジャガー製3.2ℓ 直列6気筒と、426psのフォード・コスワース製5.9ℓ V12が存在する。

0-97km/h加速は5秒台

近頃は大排気量モデルを先に発売するのが通例となっているが、DB7は3.2ℓでデビューし、1999年に5.9ℓへとエンジン排気量が拡大されている。DB7のアクセルペダルを床まで踏み込むようなことはしないかも知れないが、どちらのエンジンでも0-97km/h加速は5秒台半ばだ。

V12エンジンを積んだモデルにはDB7ヴァンテージという名が与えられている。このモデルにはエンジン同様より強力なブレーキが搭載されているが、Trinity Engineering (trinityaston.co.uk)のような専門ショップに頼めば、3.2ℓモデルにも同じブレーキを取りつけることもできる。他にもVで始まる名前を与えられたモデルとしては、1996年に登場したヴォランテ・コンバーチブルがある。このモデルにはクーペよりも固められたボディと、ソフトなサスペンションが組み合わされていた。

このサスペンション・セッティングは、シリーズ2として知られる1996年半ば以降に生産された3.2クーペにも採用されていた。メカニズムの多くはベースとなったジャガーXJSと共通だが、iQとシグネットの関係のように、同じように見える箇所などほとんどない。

デビュー当初からDB7は真のアストンとして認められており、多くが期待したほどのドライバーズカーではなかったかも知れないが、アストンを名乗るに相応しいクラシックでパワフル、そして美しいモデルである。そして、2002年に登場した441psのエンジンとマニュアル・トランスミッションを搭載したより切れ味鋭い限定モデルのDB7ヴァンテージGTにより、その評価はさらに確実なものとなった(ATのGTAに積まれたエンジンの出力は426psのままである)。

2003年上期登録のナンバーを付けた走行距離8万kmのGTAが4万9000ポンド(731万円)で売りに出されている。iQを持ち出すまでもなく、どちらがより優れたクルマかは明らかだろう。

アストン マーティンDB7の中古車 購入時の注意点

ボディ

リア側ホイールアーチに近い側のサイドシルに腐食が発生し易い。フロント・フットウェルは運転席側、助手席側とも錆に弱い。フロント側ダンパーの後ろとフロントサスペンションのアッパーマウント部に錆が発生する。

エンジン

i6エンジンの場合、エグゾースト・マニホールドのクラック、エンジンオイルとギアボックス冷却液漏れが無いことを要確認。V12の場合にはコイルの不具合によるミスファイアと、インジェクター異常による低速走行時における燃料供給過多に注意が必要。V12エンジンはラジエーターのサーモスタットに故障が多く、オーバーヒートの原因となる。

さらにV12エンジンでは冷却システムがオーバーホールを受けているかも要確認。オリジナルのホースは内部から劣化が進行する。i6エンジンに搭載されているイートン製スーパーチャージャーから異音がする場合、オイルとクーラントが交換されているか要確認。タイミングチェーンからの異音はテンショナーの故障が原因。

トランスミッション

i6エンジンの場合、ギアボックス配線がボディとギアボックスとの摩擦により変速トラブルを発生させる。V12エンジンではクーラントがギアボックス内に浸入し故障の原因となる。

インテリア

ダッシュボード裏のエアコン・エバポレーターが故障しやすく、修理には高額なコストがかかる。パワーウインドウのモーターとレギュレータ双方が故障しやすく、修理には部品代1500ポンド(22万円)と工賃が必要。シートの調整用ラッチが壊れていないか要確認。

サスペンションとブレーキ

V12モデルのブレーキは強力だがメンテナンスにはコストが掛かる。エンジン排気量にかかわらず、左側に蛇行する傾向があり、対処には専門家によるアライメント調整が必要。フロントのトップマウント・ブッシュが摩耗しやすい。

専門家の意見を聞いてみる

マット・フランクリン(マクガーク・パフォーマンス・カーズ)

「『アストン マーティンDB9かDB7のどちらを買うべきか?』などというのは訊くまでも無いことです。この2つは全く違う存在であり、こういった質問をする人は、一度両方を運転してみれば、おそらくより新しくすべてにおいて優れているDB9を選ぶことになるはずです」

「その代わり、DB7を欲しいという人のほとんどは最初から購入を決めています。その理由は、ルックスやこのクルマがアストンの新たな幕開けを告げる存在だったからとか、30000ポンド(448万円)以下でも状態の良い車両を見つけることができるからなど様々です。数が少ないMTモデルの価格は上昇傾向にあります」

「将来的な値上がりを考えれば、GTAやケズウィックといった限定モデルがお勧めです。しかし、走行距離が16万kmを超えている個体には手を出さない方が無難です」

知っておくべきこと

DB7に完ぺきな保護を与えたいと思うなら、アストン マーティンが提供する車齢15年までのモデルに対するプレミアムと、15年以上のモデルに対するクラシックの2つの保証サービスがある。

いくら払うべき?

1万9000〜2万4999ポンド(283万〜373万円)

初期の3.2クーペで、車歴のハッキリした走行距離9万7000kmから14万5000kmの個体か、走行距離16万km以上のモデルが多く発見できる。初期の5.9モデルを見つけられる可能性もある。

2万5000〜2万7999ポンド(373万〜418万円)

走行距離11万km程度の5.9モデルと、より走行距離の少ない3.2を見つけ出すことができる。

2万8000〜32999ポンド(418万〜492万円)

走行距離8万km程度の状態の良い3.2クーペが選べる。

3万3000〜3万6999ポンド(492万〜552万円)

高年式の状態の良い5.9クーペ、初期の3.2ヴォランテ(33000ポンド)、さらにはV12 GTAも候補に入る。

3万7000〜4万5999ポンド(552万〜686万円)

さらに多くのヴォランテと状態の良い5.9クーペが選べる。

掘り出し物を発見

アストン マーティン3.2クーペ 登録1995年 走行11万km 価格24995ポンド(373万円)

ディーラーと専門ショップによる22枚にわたるメンテナンス記録簿付きであり、過去12年間はワンオーナーのもとで保有されていた、非常に丁寧に扱われていたと思われる車両。18インチのGTホイールにオプションの強化サスペンションとスポーツ・エグゾーストを装着。さらに希少な5速マニュアル・トランスミッションのモデルだ。