今や社会人の2人に1人が転職している時代。総務省の労働力調査でも2016年の転職者数は306万人。300万人台の大台に上がったとニュースになり、これからも転職人口は増加予測。

そこで、本連載では、いい転職をした女性と、悪い転職をした女性にお話を伺い、その差は何かを語っていただきました。

高宮柚子さん(仮名・34歳・東京都出身)

転職回数……2回
転職した年齢……23歳、27歳
年収の変化……200万円→480万円
学歴……中堅大学経済学部卒業

先輩の窃盗行為を指摘し、社会人いじめに遭遇

就職活動をがんばらなかったので、社員100人程度のOA機器会社に入りました。仕事内容は事務で、毎日が苦痛でした。それに、いじめも加わって、新卒で勤務した会社を半年で辞めてしまったんです。

原因は、入社3か月のときに、女性の先輩が、会社の文房具やインスタントコーヒーを自宅に持ち帰っているのを見てしまい、「それはダメだと思います」と注意したこと。それから、社内の空気は激変。事務職だったので、一日中会社にいなくてならないのに、無視されるし、微妙に足を引っ張られるし、散々でした。

同じ部の先輩は、私が話しかけると、机をバンと叩いて外に出てしまう。内勤の女性社員は8人いたのですが、全員が結託しているからどんな仕事をしていいかわからず。上司に相談したら、「先輩とうまくやるのも仕事のうちでしょ」と言われ、半年で会社を辞めました。

社会人いじめは、心だけでなく体の奥深くを傷つけていた

会社に行っているときは気持ちが張り詰めていたのですが、辞めてからは緊張の糸が緩み、体調を崩しました。帯状疱疹、半年以上の胃腸の不調、耳が聞こえなくなったり、右腕が「とびひ」(伝染性膿痂疹)になっていつまでも治らなかったり……結局、2年以上実家で静養生活をしていました。

親が飲食店経営なので、時々手伝ったりしていました。本格的に仕事をしなかったのは、やはり私には親のように人をマネージメントすることが無理だと思ったから。飲食店経営は、バイトさんのシフト、料理人との関係性、食材の仕入れ先、トレンドをおさえるなど、運営に様々なことを気を使わなくてはならないので、私にはムリだと。

いい会社、大手企業に入るのは、新卒じゃないと無理なのか……

2年間の静養期間を経て、就職しようとしても、全滅!

転職市場では、25歳くらいまでを「第二新卒」と言うケースが多いようです。前回で懲りたので、いい会社に就職しようと転職活動をしました。女性の転職に強い、大手二社に登録し、キャリアカウンセラーの人のアドバイスに従って、進めました。希望する大手の求人には条件が合わずにエントリーすらできない。提示されるのは中堅以下の企業ばかりだったので、あきらめて派遣社員になりました。

やはり事務のスキルもなく、社会人経験がない私は、「誰でも採用する」といった会社じゃないと門が開かれていなかった。今でも覚えているのは「30人規模の会社のたった1人の経理」とか「50人規模の会社の数人の総務」など、残業続きになるのは目に見えている条件の会社ばかりでした。いい会社や大手に入るのは、新卒じゃないと厳しいというのが、私の感想です。

派遣社員は楽しかったけれど、根深い差別感があった

「いつか大手に勤務するチャンスを狙うために」と派遣会社に登録。エクセルの使い方どころか、タイピングも満足にできないと伝えると、派遣会社のセミナーで、一通りの技術を学ばせてくれました。これはとてもうれしかったですね。小さな自信になったというか。

ある大手の食品関連会社に派遣され、3年間仕事をしました。会社は居心地がいいし、派遣社員だから残業はない。社員の方も紳士的だし、女性はとても親切で優しかった。派遣だからと差別されることもなかったですが、派遣社員って出世しないんですよ。どんなに仕事ができるようになっても、同じような仕事を続ける部品でしかない。

そんな毎日にもやもやした帰り、会社の近くの喫茶店で、2年目の女性の社員さん同士が、喫茶店で私について話をしているところを聞いてしまったんです。

一人が「あのハケンは、使い勝手がいいよね。一通りのことができるし」と私のことを言っており、

もう一人が、別の部に入った40代の派遣社員の方に対し「ウチの部のハケンは、全然使えね〜。交換してほしい、マジ」などと言っていたんです。

会社の人がいるかもしれない喫茶店で、20代前半の女性社員が何の疑問も持たず、派遣社員や外部の人のことを、モノのように品評している様子を聞き、だんだん空しくなってしまったんですよね。それに、派遣の品評は人に聞かれていいものだという意識も腹立たしかった。

それで、「このままではダメだ」と再び転職を決意しました。

新卒時と派遣社員時代は、「目立たないけれど、きちんとしている」という服選びにも疲弊していた。その経験が後で生きるとは思わなかったという。

大手の正社員になるには、ある意味「横入り」もアリなんじゃないかとひらめく……〜その2〜に続きます。