私たちはこれまでに散々、LINEやデートのHow toを学んできた。

しかし、LINEやデートに漕ぎ着けるまでに、まずは“出会い”という最初の関門が待ち受けていることを忘れてはいないだろうか。

初対面であんなに盛り上がったはずなのに、LINEは既読スルー。仮に返事が来たとしても、いつまでたっても前に進まない。そんな経験、無いだろうか?

“出会い”を次のステップに繋げる方法を学ぶため、あなたに宿題を出していこう。

さて、今週の宿題は?




出会いはアプリで


-愛梨・28歳。職業:事務職

僕が愛梨と出会ったのは、巷で流行中のデーティングアプリだった。

これまで僕は、何十回、何百回と食事会という戦いに挑んできた。職業柄よく誘われるし、開催する側になることも多い。

しかし、結局食事会に良い出会いはないのでは?という答えに辿り着いた。

そんな時に何気なく始めたデーティングアプリで、僕はかなりタイプの女性を見つけてしまったのだ。

ロングヘアーで、色白、小顔。そして何より顔が抜群に可愛い。ギャラリーの写真を見ると旅行が好きなようで、趣味も合う。

-こんにちは!慎太郎と言います。可愛いですね!

僕は意気揚々とメッセージを送った。どうか返信がくるようにと祈りながら。

しかし残念なことに、このメッセージは既読スルーされてしまった。

ところが自分のプロフィール内のある箇所を変えた途端に、彼女から返信が来たのだ。


最初のメッセージは既読スルーだったのに。慎太郎は何を変えたのか!?


宿題1:アプリで女性から支持されやすいアイコン及びプロフィールの正解を答えよ


最初、僕は所属している野球チームの試合で勝利した時の記念写真をアイコンにしていた。

しかしちょっと男臭いかもと思い、普段のスーツ姿の写真に変え、プロフィールの内容も変えてみた。

その状態で、今一度愛梨にメッセージを送る。

-こんにちは。先日は突然のメッセージ失礼致しました。現在、大手町界隈の商社で働いている27歳です。他の方からもたくさんメッセージが来ているとは思いますが、あまりにも目を引いたのでメッセージさせていただきました。

初回の反省を活かし、だいぶ丁寧な内容を送ってみた。すると、愛梨から返信が来たのだ。

-こんにちは。愛梨です。丸の内でOLをしております。職場近いですね^^

メッセージの内容とプロフィールを変更しただけで返信が来るとは驚きだったが、結果オーライならば万々歳である。

そしてそこから、僕たちのメッセージのやり取りが始まったのだ。




何度かメッセージを送り合い、ついに会おうということになった。

メッセージ上でのやり取りはあったものの、いざ会うと緊張するものだ。

それに、相手の好みもまだ把握しきれていない状況でお店を決めるというのは、なかなか至難の技である。

愛梨のプロフィールをあらためて読み直し、顔合わせの場所はどこにしようかと考える。

-丸の内にゃんにゃんOL、四ツ谷在住、26歳一人暮らしか...。

初対面であまりかしこまった所には行きたくない。仮に失敗だった場合の出費が痛すぎるし、向こうも気張ってしまうかもしれない。

-そうだ、ランチにしよう!

夜だとつまらなかった時のリスクが大きいが、昼なら気軽に楽しめる。

もしそのまま盛り上がった場合も、2軒目は飲みではなくお茶になるだろう。至って健全である。

そして何より、女性の方も初対面でいきなり酒を飲みながらのディナーよりも、明るい時間の方が初対面の人に会うならば安心だろう。

そこで僕はカジュアルに楽しめるよう、表参道で女性に人気の、カフェのランチを予約した。

しかし、どうやら僕はその日に何か間違いを犯してしまったようだ。


デーティングアプリでマッチした相手とついに会うことに!その時、どうする?


宿題2:デーティングアプリでマッチした相手と初対面。何がNGワードだったか述べよ


「慎太郎さん...ですよね?こんにちは、初めまして」

店にやって来た愛梨を見て、僕は思わず笑みがこぼれた。

写真も可愛いけれど、実物もなかなかである。これまでもアプリで何人かの女性と会ったことがあるが、そのうち数名は写真の方がずっと良かった。

みんな美白加工のようなものをし過ぎており、実物に会った時の落胆が大きかったのだ。

しかし今回の愛梨の場合、そのようなことは全くなく、むしろ実際に会ってから更に彼女に惹かれた。

「愛梨ちゃんは写真とあまり変わらないね」

「どういう意味ですか(笑)今まで会った子たちは、そんなに違ったんですか?」

カフェのテラス席で暖かい日差しを浴びながら、初対面にも関わらず自然に話が盛り上がる。




「愛梨ちゃんは京都出身かぁ。京都、いい所だよね。去年、鴨川の床の時期に行って、ハイアットに一泊したんだ。あの風情と品は京都だからこそ醸し出せるものだよね」

「そうですね、京都は大好きな故郷です。慎太郎さんは東京出身なんですね?いいなぁ...」

お互いの出身地に仕事のこと、家族の話や最近のマイブームなど、一通り定番の話で盛り上がった後に、いよいよ本題に入った。

「愛梨ちゃんは今彼氏いないの?」
「いたらアプリなんて使わないですよ〜」

そりゃそうだ、と自分の中で納得してしまう。野暮な質問だったことを反省し、他の質問に変えてみる。

「そっか、そうだよね。前の彼氏と別れてどれくらい?」
「3ヶ月前くらいですかね...そういう慎太郎さんの方は?」

そこから僕は、自分の話をポツリポツリと話し始めた。

「好きになった子からは好かれなくてさ。どうでも良い子は寄ってくるんだけど。恋愛って難しいよね」

前の彼女の話を聞いて喜ぶ女はいないと学んでいたため、あくまでも愛梨の気に障らない程度に軽く話した。多分これは問題ないはずだ。

「慎太郎さん、モテそうなのに。アプリで、既に何人か会いました?」

「うーん、数名かな。でもダントツで愛梨ちゃんが可愛いと思う(笑)」

素直に褒め言葉を伝えると、愛梨は少し顔を赤くして恥ずかしそうにしていた。

その仕草が可愛くて、僕はやっぱり食事会よりアプリの方が良い出会いがあることを確信した。

「また今度、会ってくれるかな?僕さ、テラス席が大好きで。高輪界隈に穴場のテラス席があるから、そこ行かない?」

「いいですね〜行ってみたい!また会いましょう♡」

そう言って、僕たちはランチを終え、笑顔で別れた。

しかし、その別れは永遠の別れを意味していたようだ。

初めて顔を合わせて以来、愛梨からの連絡が途絶えてしまった。“また会おう”と言っていたはずなのに、愛梨からは何の連絡も来ないどころか、返信すらない。

-会う前は、良い感じだったのに...。

実際に会った時に、僕は何をしでかしていたのだろうか?

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愛梨が、慎太郎との初対面で違和感を覚えた点とは!?