2018年の「第9回 教育ITソリューションEXPO(EDIX)」で講演を行った、東京都小金井市立前原小学校校長の松田孝氏(左)と情報通信総合研究所 特別研究員の平井聡一郎氏(右)

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 2018年5月18日、東京ビッグサイトで行われた「第9回 教育ITソリューションEXPO(EDIX)」において、東京都小金井市立前原小学校校長の松田孝氏と、情報通信総合研究所 特別研究員の平井聡一郎氏が「学びNEXT」特別講演を行った。

 90分の講演だったところ、示唆に富んだユーモアや会場参加型企画が盛り込まれたことで、約10分を過ぎたのちに閉幕。ハイレベルでも、まったくの白地からでも聴講できる時間が設けられた。

“ヤバい”と“ヤバい”のカオス…松田孝校長

 松田校長による講演テーマは、「AI・IoT時代に向けた、これからのプログラミング授業」。松田校長は東京都公立小学校教諭や指導主事を経て、調布市立小学校校長や多摩市立小学校校長を勤めた。その後、2016年4月から東京都小金井市立前原小学校校長に就任。多摩市での校長時代から本格的なプログラミング教育に乗り出し、現在の小金井市立前原小学校では最先端のプログラミング教材・環境を取り入れた教育を展開している。

 講演では、プログラミング教育の今を「“ヤバい”と“ヤバい”のカオス」と表現。子どもの言葉を借りるならば、2020年からのプログラミング必修化を前に、教育現場は良い意味での「ヤバい」と、悪い意味での「ヤバい」が同居した環境にあり、依然としてとまどう教師も多いことを指摘した。

 しかしながら、学習指導要領に示されたプログラミング教育の開始はすぐ目の前に迫っている。とまどう教育関係者に向け、松田校長は前原小学校での実践例を提示した。

 松田校長が目指す教育は、「STEM」教育に「Art(アート)」と「Sports(スポーツ、身体性)」を足した「STEAMS」。示された例は、アーテックのロボット用基板「Studuino(スタディーノ)」や「IchigoJam(イチゴジャム)」、RoBoHoNなどを用い、子どもたちが積極的に学ぶ姿。今後はmicro:bit(マイクロビット)を活用した「どろけい」を、縦割り学年で開催するという、学びと遊びを掛け合わせた取組みの実施も予定しているという。

 大人も驚くほど柔軟に対応し、笑顔で学ぶ姿がスライドに映し出されると、松田校長は「本当にいい表情ですよね」と感嘆する。プログラミング教育の意義については、「プログラミングには子どものこういった表情を引き出す力がある」とし、「こんな表情を見られるなら、教員は嬉しい」とコメント。「思いっきり、大胆に」、先生も子どもと一緒になって「コンピテンシー(活用・探求)ベースの『学び』を楽しむ」ように勧めた。

 松田校長は、プログラミングとは「思いをダイナミックに表現する新しいメディア」だと表現。来場者に向け、「デジタルテクノロジーをど真ん中」においた教育実践改革を呼びかけた。

残り22か月、つべこべ言わずやってみろ…平井聡一郎氏

 「コンピテンシーベース」「ラズパイでマイクラ」「CS(コンピュータサイエンス)」「プロセッサ」「アンプラグドプログラミング」「フィジカルコンピューティング」「パーセプトロン」…いずれもプログラミング教育を学ぼうと、情報収集にあたっている教育関係者は聞いたことのある言葉。実際に、EDIXの展示会場でも、配布リーフレットやパネルなどで多々目にした。

 しかし、これらの言葉は先述のとおり、すでにプログラミング教育への一歩を踏み出しているか、授業や課外授業に取り入れ、実践研究校などに選ばれている“ちょっと進んだ”学校にならわかる、という内容。実はまだ何も用意していない、始めていない、という学校は、一体何から始めたらよいのだろうか。平井氏は、そういった「これからプログラミングを始める」という、未スタートの学校関係者・教師に向けた講演を行った。