阿部寛の役者魂に全員が最敬礼

写真拡大

 歴史小説の第一人者・小松重男氏の傑作短編集を実写映画化した「のみとり侍」が5月18日、全国327スクリーンで封切られた。主演の阿部寛をはじめ、共演の寺島しのぶ、豊川悦司、斎藤工、松重豊、メガホンをとった鶴橋康夫監督が、東京・TOHOシネマズ日比谷での舞台挨拶に出席した。

 本作は、客の飼い猫の蚤(のみ)を取り除くことに加え、「床で女性に愛をお届けする」という裏稼業“のみとり”を命じられた、越後長岡のエリート藩士・寛之進(阿部)を描く。「艶のある映画なのですが、思いっきり笑っていただける作品になりました。これは鶴橋さんにしかできない」と声高に語る阿部に対し、鶴橋監督は「これが遺作になっていいと思っているくらい」と告白。だが、まだまだ映画製作への情熱は衰えていないようで「(阿部らのために)企画書を書き始めています。またよろしくお願いします」と再タッグを誓っていた。

 阿部、斎藤、松重と身長180センチオーバーの役者が集った「のみとり侍」。鶴橋組初参加となった斎藤が「阿部さんが素晴らしいのは、役柄の心境によって、サイズ感が小柄に見える時もある。心情によって身長を自在にコントロールできるんじゃないかと思っています」と明かすと、阿部は「斎藤君と並んだ時は、身長を合わせるようにしていました(笑)」とジョークを飛ばして笑いを誘った。そして「斎藤君は、自分で監督もなさるし、その作品も素晴らしいんですが、いざ役者として現場に入ると、役者に徹する。その清らかさと潔さは素晴らしいと思った」と斎藤の才能を絶賛していた。

 「松重さんと並んだ時はちょっと背伸びをして、少しでも上にいけるようにしました」という阿部の言葉を受けた松重は「鶴橋監督には自由にやらせてもらったんです。僕も“でかいおじさん”枠で呼ばれたのかな」と告白。「この時代に、180センチを超えるおっさん3人がそろうことなんて絶対ないんですよね(笑)。面白いと思う。そういうありえない設定で遊ばさせていただきました」と充実の日々を振り返っていた。

 阿部にとって一番緊張したシーンは「山村紅葉さんとのシーン。つま先までピンと伸び切っています(笑)。あそこは見て頂けるとわかるんですが、芝居を忘れているようなところ」。寺島と豊川も「京都の撮影所に行った時に、スタッフの方々が『本当にすごかった』と騒然としていた」(寺島)、「あそこに阿部寛の役者魂を見た気がします。なんでもできちゃうんだっていう。スタッフがあれだけ喜んだシーンというのはなかなか体験したことがない。このシーンの面白さはずば抜けている」(豊川)と記憶に残っているようだ。