電子タバコは通常のタバコより臭い!?(depositphotos.com)

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 「背中まで45分」とは井上陽水が沢田研二に書き下ろした35年前の傑作シングル曲。そして今、「使用まで45分」と耳目を集めているのが、奈良県生駒市の受動喫煙対策だ。

 同市は4月1日から、職員による職務時間内の喫煙を禁止し(昼休みを除く)、喫煙後45分間のエレベーター使用も禁じた。これはエイプリルフールの冗談ではなく、45分規則は来庁者にも協力を求めている。

 同市によれば、喫煙後の呼気にも有害物質が残り、喫煙前のレベルに戻る所要時間が45分だとか。京都医科大学発の研究結果に基づいた禁止ルールとのことで、罰則は設けていない。

 同じく先月の中旬、元参議院議員にして政治評論家・筆坂秀世氏の「もう味わいたくないニコチン中毒時代の地獄の苦しみ〜四の五の言わずに禁煙するしかなかった」と題されたコラム記事(JBpress:4月18日掲載)に、こんな記述を見つけた。

 〈1年ぐらい前から電子タバコに変えていた。3種類の電子タバコを持っていた〉

咳が消え、臭気が残った

 そんな電子タバコへの転向から数カ月後、ゴルフ仲間から「変な咳をしなくなったね」と言われた筆坂氏。〈少なくとも本物のタバコよりも身体のためには良いのだな〉と思ったと綴っているが、目を引いたのはそれに続く記述だ。

 〈だが電子タバコは、どの種類もそうなのだが臭いが非常に強い。タバコ以上に、妻から臭気への苦情を聞くようになった〉

 うむ、やはりそうなのか......。一読後、そう思った。周りに電子タバコ嗜好者がいないので久しく忘れていたが、そっち系の人の車に同乗した際の独特の、それこそ鼻につく臭気は、いまでも憶えている。

 しかも当時、紙タバコから新興の電子タバコに切り替えたばかりの彼は、ハンドルを握りながら一服しつつ、半ばドヤ顔でこう言い放ったのも記憶に新しい。

 「どう? 臭わないからいいでしょう」――。

 いや、結構臭っているし、好ましくないし。

 そこでネット検索してみたら、出るわ出るわ、電子タバコの臭気問題が、さながら臭い立つほど投稿されている。なかでも今や電子タバコの代名詞的存在であり、「ニオイの少なさ」を謳う「iQOS(アイコス)」へのやり玉論が目立つ。それはむしろ、王者の臭覚、いや風格か。

 嫌煙派ならぬ嫌臭派の方々が曰く、「なんか焼き芋のニオイがする」、いやいや「アーモンド風味じゃねぇ」「てゆ〜か、ポップコーンぽくねぇ!?」。

iQOSは吹かす焼き芋か

 あるいは「iQOSのニオイ苦手」「紙タバコのほうがいい」「変なニオイする」「服にもつく」等々の実感に基づく敬遠意見は、嗜好当事者の妻や彼女(彼)と思しき方々の投稿に多い。

 興味深いのは、対する嗜好派の大半意見が「これは臭わない(はずの)電子タバコですが、それがナニか!?」的に無頓着な投稿である点――「iQOSデビューしたけど、ニオイ付かないし部屋臭くなんないし良きですね」なんていう無臭ダ見解が、その代表格だろう。

 要は電子タバコの場合、臭気をめぐる「吸う側/吸わない側」の見えない壁(嗅覚差)が、「好き/嫌い」が明確に表われる紙タバコよりも、数段高いのかもしれない。また、そのあたりが電子タバコという商品の巧妙さであり、あざとさであり、侮れなさなのかもしれない。

 焼き芋などの印象臭に代表されるニオイの原因は、iQOSホルダーの(ヒートブレードに溜まった)汚れが発生させている可能性が高いとする説がある。

 タバコ葉からニコチンを発生させる方途が、紙タバコの場合は燃やし、加熱式タバコの場合は文字どおり高温で加熱するわけだが、マナーとして「手入れ」を問われるのが後者の意外な盲点か。

 リキッド系から発生するケミカル臭(薬品臭さ)の場合も、使用するアトマイザー環境の問題という可能性以外、リキッドの配合具合が問われるようだ。なかでも甘さ控えめのさっぱり味系リキッドでケミカル臭が目立つらしい。

 自作リキッドの場合、フレーバー配分を増加すれば当然ながら味は濃いめとなるが、それも一定量を超えると味が変化して薬品臭が強くなる。とりわけ同種類のフレーバーを過剰配分するとケミカル臭が増してしまう。

 なんだか「さっぱり味」とか「濃いめ」とか聞くと、麺屋でのやりとりを連想しなくもないが......。吸ったら使用まで45分のエレベーター規則、はたして全国的な趨勢となるのやら......。

 従来派も加熱派も、煙にまけない臭気問題が新たな王手となることは間違いなさそうだ。
(文=編集部)