「抗菌グッズ」の驚くべきメカニズム 生活用品のすごい技術

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 普段の生活で我々がよく使う「便利なモノ」には、それぞれに「便利さの理由」がある。しかし我々は、その“なるほど”のメカニズムを知らないままでいることが多い。この春刊行された『雑学科学読本 身のまわりのすごい技術大百科』(KADOKAWA)は、ふだんよく目にし、時には触れる「モノ」について、それに関わる“すごい技術”を図解で紹介する一冊だ。

 今回の記事では、我々の生活にすっかり普及した感のある「抗菌グッズ」について、そもそもこの「抗菌」というしくみがどのように作られ、どういうふうに効いているのか、いくつかの図版を交えながら簡単に説明しよう。

■「抗菌グッズ」は本当に効いているのか?

 抗菌グッズがすっかり普及した。サニタリー用品、衣類、文具など、身のまわりのほとんどを抗菌グッズで揃えられるほど品数は豊富だが、そもそも本当に菌の繁殖を抑える力があるのだろうか。

 抗菌に類する言葉に「殺菌」「滅菌」「除菌」がある。これらには菌を積極的に殺すという意味がある一方で、「抗菌」の意味は少し異なる。

 経済産業省「抗菌加工製品ガイドライン」によると、「抗菌加工した当該製品の表面における細菌の増殖を抑制すること」を「抗菌」と定義している。したがって、「抗菌」と表示されていても、殺菌や滅菌の効果は期待できない。「菌が繁殖しにくい」という効果を期待した製品なのである。

 抗菌グッズは、抗菌作用のある物質を素材に練り込んだり、化学反応で結合させたりすることで製造されている。「抗菌剤」を用いる方法と金属を用いる方法が有名だ。抗菌剤は細菌の生命機能を乱したり破壊したりするもので、茶の成分のカテキンが有名である。

 金属を用いる方法では、銅や銀、チタンがよく利用される。細菌にこれらの金属を嫌う性質があるからだ。実際、10円玉から病気が感染したという話は聞かない。この性質を活かして、金属を直接に利用したり、その化合物やイオンを散りばめたりして抗菌作用を引き出すのである。

 先述のように、抗菌とは「菌が繁殖しにくい」こと。しかし、さまざまな消費者センターがテストし、いくつかの製品は眉唾物であるという結果も得られている。そこで、業界が自主的な基準を作り、その基準に合致した抗菌作用を持つものにマークを付与している。繊維ではSEKマーク、繊維以外ではSIAAマークである。

 最近では、一部の抗菌剤が有害であるという話も出ている。抗菌ブームは「不潔恐怖症」と呼ばれる現代人のヒステリーの現れともいわれる。あまり神経質になって抗菌グッズで身を固めると、かえって体によくない結果を及ぼすかもしれないので注意しなければならない。

『雑学科学読本 身のまわりのすごい技術大百科』
涌井良幸・涌井貞美/KADOKAWA

コドモもオトナもタメになる「モノのしくみ」の話――身近にある「便利なモノ」には、それぞれに「便利さの理由」があるが、我々自身、それをよく知らぬままに日々生活している。本書は、家電からハイテク機器、文房具まで、日ごろよく目にしているモノを下支えする“すごい技術”を、イラスト図版とともに解説する一冊!