フォトコールでのスパイク・リー監督
 - Pascal Le Segretain / Getty Images

写真拡大

 映画『ドゥ・ザ・ライト・シング』や『マルコムX』などで人種問題に鋭く切り込んできたスパイク・リー監督が現地時間15日、第71回カンヌ国際映画祭で公式会見を行い、冒頭約6分にわたってドナルド・トランプ米大統領やアメリカ、そして世界の現状を放送禁止用語連発で批判した。

 リー監督の新作は、コンペティション部門に出品されている『ブラッククランズマン(原題) / BlacKkKlansman』。実話を基に、白人至上主義団体クー・クラックス・クラン(KKK)に潜入した黒人警官とユダヤ人警官の姿を、軽妙な掛け合いで笑わせながらパワフルに描いた。二人が装ったのは同一人物で、電話でのやり取りを担当する黒人警官にはデンゼル・ワシントンの息子であるジョン・デヴィッド・ワシントン、実際にメンバーに会うユダヤ人警官には『スター・ウォーズ』シリーズで悪役カイロ・レンを演じているアダム・ドライヴァーがふんした。

 本作には、昨年8月に米バージニア州シャーロッツビルで起きた、白人至上主義者が反人種差別デモに車で突っ込み、ヘザー・ヘイヤーさんを殺害した事件の映像が使われている。リー監督によると、事件発生当時、すでに映画は完成していたものの、この映像で映画を締めくくる必要があると強く感じて、ヘザーさんの母親に許可をもらったという。

 リー監督は、この事件でKKK、極右主義者、ネオナチをすぐに非難しなかったトランプ大統領を「マザーファッカー」と呼びながら強く批判。映画は1970年代初期を舞台にしているが、「歴史物を現代とつなげることがストーリーテラーの仕事」と語るだけあって、トランプ大統領の発言を想起させるセリフがうまい具合にちりばめられており、ここで描かれているのはまさに現代なのだと感じさせる。アメリカは民主主義の偉大な国とする声にも、「そんなのはクソ。アメリカは原住民の虐殺と奴隷制でできた国だ。それが歴史に織り込まれている」とばっさりだった。

 ただ本作はアメリカだけに限った話ではないといい、「リーダーが、人々の倫理的な意思決定の方向性に影響を与える。極右的なことはアメリカだけでなく、世界で起きていること。俺たちは目を覚まさないといけない。沈黙していることはできない。これは黒人に限ったことでなく、皆の問題なんだ。だからこの映画は俺にとって、人々の目を覚ますための映画だ。今、ウソが真実かのように声高に叫ばれている」と力を込め、「汚い言葉を使ったことをどうか許してほしい。でも、こんなクソみたいなことが起きていれば、口汚くもなるものだ。ありがとう」と締めくくった。(編集部・市川遥)

第71回カンヌ国際映画祭は現地時間19日まで開催