W杯予備登録メンバー35人が決まった。発表されていないので、詳しい顔ぶれはわからないが、誰々はメンバーに選ばれていそうだとか、その予想報道はいささか喧しく聞こえる。

 見出しの中心にいるのは本田圭佑と香川真司だ。選ばれても、選ばれなくても、日本の戦力に大きな影響はないとは、個人的見解だが、その報道の中身は大抵が半分応援的だ。長谷部誠、岡崎慎司等々、その他で注目選手として名前が挙がる選手も総じて年長選手。若手で挙がるのは、せいぜい井手口陽介ぐらいだ。

 年長選手は若手に比べて知名度が高い。サッカー選手の名前が広く全国に知れ渡るのは、日本代表としてピッチに立った瞬間だ。何といっても代表戦は視聴率が高い。W杯本大会ともなると30%超が当たり前となる。選手名はその瞬間、視聴者の脳裏に刻まれることになる。

 知名度は海外でプレーしているか否かでも大きく変わる。その動静は逐一報じられる。スポーツニュースでもコンスタントに取り上げられる。

 日本代表選手で、W杯出場経験があって、しかも海外組。この3つの条件が揃えば最強だ。メジャーな選手として認知される。日本代表には欠かせない選手というムードが出来上がる。広告価値は上昇し、商業報道的にも欠かせない選手となる。

 これに該当するのは大抵、年長だ。逆に若手、とりわけJリーグでプレーする若手は、この条件から一番遠い位置に属することになる。知名度は上がりにくい。無言の応援を受けにくい選手。広告的価値の低い選手となる。

 前にも書いたが、その流れに従えば、選手の平均年齢は恐ろしく上昇する。次の4年に影響が出る。代表チームは循環している集団だ。入り口もあれば出口もある。ベテランを無用に排除する必要はないが、W杯本大会を戦う23人を選ぶ時、若手とベテランのバランス、すなわち平均年齢は、なによりも気に留めなければならないポイントとなる。

 さらに言えば、前監督ハリルホジッチの趣向は、明らかに「国内組<海外組」だった。Jリーグでプレーする選手を必要以上に軽んじ、欧州でプレーする選手を必要以上に重用した。

 その結果、平均年齢は上昇。W杯アジア最終予選が佳境を迎えた2017年3月頃(UAE戦、タイ戦)のメンバーは約28歳だった。さすがにそれではマズいと思ったのか、最後に行った欧州遠征(マリ戦、ウクライナ戦)に臨んだ26人は、それより1歳ほど若返えっていた。しかし、もしその26人から若手ばかりを外せば、本大会時には再び、28歳を越える可能性がある。

 これは、かなり重要な話ながら、議題にはほとんど挙がらない。力が互角なら若手を使えという鉄則は、無視された中で、35人枠を巡る報道は盛り上がっている。

 ハリルホジッチ解任劇。理由は、コミュニケーションが一番のポイントだという話になっている。その結果、ハリルホジッチから名誉毀損で訴えられそうになっているらしいが、人間関係をまず先に持ち出せば、そうした事態に陥るのも仕方がない気がする。なぜもっと、サッカーそのものへの疑念、方向性の違いを全面に押し出さなかったのか。

 そして、海外組偏重も十分な理由になる。これは前々から言ってきたことだが、なぜ、絶対に負けそうもないアジアの2次予選の段階から、知名度の高い欧州組をスタメンに判で圧したように並べたのか。弱小相手に、ベストメンバーとおぼしき編成で立ち向かって行ったのか。

 そこで、畑を耕そうとしなかったのか。Jリーグで活躍している若手に目を向けなかったのか。協会サイドがメンバー選考にどれほど口を挟むことができていたか定かではないが、ハリルホジッチがそれに100%関与していたのなら、それは大きな責任問題だ。