今季メジャー初戦は、ツアー通算20勝目を挙げた谷口徹が勝負強さを見せ付けた一戦となった。最終日、トータル6アンダーで首位に並んだ藤本佳則とのプレーオフは、2ホール目でバーディを奪取した谷口の勝利で幕を閉じた。「谷口選手の“凄み”を完璧に見せた試合でした」と、JGTOのコースセッティング・アドバイザーを務める田島創志は語る。
男泣き…!6年ぶりの優勝カップを手にした谷口徹
■谷口徹が見せ付けた“凄み”
「谷口選手は、もともと技術も秀でている。でも、それを勝負どころで出し切る力が本当にすごい。それが一番の強さだと思います」。最終日は、強い雨と風に悩まされたが、谷口はそれに動じることなく抜群の集中力を発揮。「16番ではまだ2打差があって、迷いがあったと思います。それが、17番になって“これを入れないと負ける”と思って腹をくくったように見えました」。
首位の藤本と2打差で迎えた17番。藤本がボギーを叩いたのに対し、谷口が5メートルほどをねじ込んでパーセーブ。1打差に迫った最終18番ホールでは、ここでも5メートルのバーディパットを沈めて勝負をプレーオフに持ち込んだ。勝敗が決したのは、プレーオフの2ホール目。再び5メートルのバーディパットを沈めて勝利を掴んだ。「 “凄み”というんでしょうか。勝負どころの、“これを入れなければいけない、寄せなければいけない”という集中力が出ていました」。ここぞというときの勝負強さが勝敗を分けた。
■ゴルフ巧者が生き残った、メジャーらしいセッティング
もちろん、谷口の強さはそれだけではない。熟練した経験と技術によるマネジメント力が光った。「今回のセッティングは、マネジメント力がキーワード」だと語った田島。「房総カントリー倶楽部最大の特徴は、グリーンの真ん中が高くて、左右が低くなっていること」。これによりグリーンで球を止めづらくなるため、球をどこに置くかの緻密な計算が必要になる。「グリーンのセンターに乗っただけだと、下りのパットが残ってしまう。だったらピンサイドを狙って上りのアプローチを残したらいい、など。ショット力よりも、マネジメント力が求められたと思います」。
大会4日間のスタッツを見ると、谷口のドライビングディスタンスは273.38ヤードで58位。これに対し、平均パット数は1.7111回・9位タイ、パーオン率が62.5パーセント・17位タイとなっている。「谷口選手は、基本的にはパッティングをベースにゴルフを組み立てています。どこに打ったら次のパッティングが入るのか、頭をフル回転させています」。飛距離のアドバンテージよりも“ゴルフ巧者”が優るセッティングとなった。
■ベテラン優勝の陰で粘りを見せた20代
上位の面々を見ると、谷口と優勝争いを繰り広げた藤本をはじめ、稲森佑貴、星野陸也、堀川未来夢など20代の選手が入っている。「若手の選手もタフなセッティングに慣れてきて、自分のゴルフができるようになってきています」。初優勝に期待がかかる選手として田島が挙げたのが、「星野選手や、堀川選手、30代ですが上井邦裕選手もそうですね。ゴルフがうまいだけでなく、試合中の雰囲気が出てきていると思います」と、試合中に谷口が見せた“凄み”に通ずるものを垣間見た。
■模索を続ける石川遼
若手選手に期待がかかる一方で、復活が望まれるのは石川遼。初日を首位と4打差・4位タイで終えたが、2日目から左右に曲がるショットの不調に悩まされ、トータル3オーバー・34位タイで大会を終えた。「自分が納得するショットを打てることが一番で、それが結果として残るかどうかはまた別の話だと思います」。調整中のスイングでは、本大会のセッティングに対応しきれず。「本大会のセッティングでは、ティショットを立ちづらくしたり、向きづらいホールがありました。その中で追い求めるスイングをやりにいった結果、うまくいかなかった。ゴールは見えているけれど、どう進んでいくべきかを試している段階だと思います」。
解説・田島創志(たじま・そうし)/1976年9月25日生まれ。ツアー通算1勝。2000年にプロ転向し、03年『久光製薬KBCオーガスタ』で初日から首位を守り、完全優勝。青木功JGTO(日本ゴルフツアー機構)体制では、トーナメント管理委員会 コースセッティング・アドバイザーを務める
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