料理好きの間ではおなじみの「野菜ジュース」を使った裏ワザレシピ。

野菜ジュースはカレーやパスタ、ラタトゥイユなどさまざまな料理に活用することができ、美味しいだけでなく時短にもなってお財布にも優しいという、なんともありがたいアイテムです。人気レシピ投稿サイト「クックパッド」にも多くの野菜ジュースを使ったレシピが投稿されています。

そんな野菜ジュースを使った料理について、先月、なんとも興味深い調査結果が発表されました。野菜ジュースを使った料理は「生野菜料理」にも勝る――というのです。

生野菜、トマト缶、野菜ジュースで比較

調査を行ったのは、味覚や香りを科学的な指標で評価している「味香り戦略研究所」(東京都中央区)です。同研究所は「生野菜」「トマト缶」「野菜ジュース」(40種以上の野菜を使ったもの/約30種の野菜を使ったもの)を用意し、それぞれを使った「ミネストローネ」を作り、味覚センサーで分析。どの程度、味に違いが出るかを検証しました。

まず、それぞれの「味のバランス(酸味、苦み、苦みの後味)」をみてみると、中でも調和が取れていたのが「トマト缶」「野菜ジュース(40種以上)」の2つで、「野菜ジュース(約30種)」は酸味が際立ち、「生野菜」は苦みが強く出てしまっていました。

トマト缶や多品種の野菜ジュースを用いると、誰でも簡単に味のバランスを整えられると言えそうです。「野菜を摂るなら生が一番!」と思いがちですが、この結果を見る限り、意外と味のバランスを取ることが難しいことがうかがえます。

野菜ジュースは甘味も強い

さらに調査では「甘味」についても検証。甘味は料理のおいしさの土台となる大切な要素です。その結果、最も甘味が強かったのが「野菜ジュース(40種以上)」。次に「野菜ジュース(約30種)」、「トマト缶」となりました。

「トマト缶を使った場合、甘味不足を補うためにコンソメなどの旨味要素を加えたり、味のボディ感を増すために塩を多く入れたりして、味を調えているものと思います。けれど素材の味が不足している状態で味を調えてしまうと、濃い味を嗜好したり、塩分過多になったりなど、日々の健康に影響が出ることも考えられます」

こう指摘するのは、研究所の菅慎太郎氏。なるほど、味のバランスの悪さを別の味で補ったり誤魔化したりするのは、あまりいいことではないのですね。

「もともと味のバランスの取れた野菜ジュースは、そのまま飲むだけでなく、多くの野菜を摂りたいというニーズをかなえながら、いろいろな料理のベースとなる"出汁"のようにも活用できると考えます。特に多品種の野菜ジュースのバランスのよさは特筆すべき特徴です」(菅氏)

野菜ジュースを使ったレシピは「時短」「節約」といった部分が注目されがちですが、実は「出汁」のような役割も果たしてくれる優秀調味料でもあるようです。おうちごはんの際は是非試してみてくださいね。