お金に苦労せず、幸せに生きていくことを目指すこの連載。今回の相談は前回に引き続き、並木きょう子さん(仮名・38歳  病院勤務)からの質問です。

「11月3日に出産しました、給付金などは6か月以降にもらえるとのことで、今はもらえていないのですが、6か月後に6か月分をまとめてもらえるものなのでしょうか。また、4月に保育園が見つからない場合、1年半ないし2年まで育児休暇を取ろうと思っています。その場合、総額でいくらもらえますか? 

もうひとつ、わからないことがあります。育児休業給付金についてです。これは、出産手当とはちがうものなのでしょうか。両方もらうことはできますか?ちなみに、勤務していたころの月給は残業代込みで額面で45万円くらいでした。交通費は月に3万円支給されていました。どうぞよろしくお願いいたします」

先週は一般的に「産休」といわれる期間の手当金について、基本のポイントを森井じゅんさんに教えていただきました。今回は、育児休業給付金について、知っておくべきことを紹介してもらいます。

☆☆☆

育児休業給付金を受けられる一定の要件とは

産休に続いて多くの方が取得するのが育児休業、「育休」です。産休は出産にかかる休業、育休は子供を養育するために取得できる休業です。

「産前産後休業」は労働基準法で定められているものです。一方、「育児休業」については育児・介護休業法により定められています。育児・介護休業法は、労働者の仕事と育児や介護を両立できるように支援するための法律で、条件を満たしていれば、申請により休業を与えることを会社側に義務付けるものです。

産休と同じく、育休中の賃金については、法律上会社側に支払いの義務はありません。一方、産休について出産手当金があるように、一定の要件を満たす場合には、育休期間に対応する育児休業給付金を受けることができます。

一定の要件とは、「原則的に、育児休業を開始した日前の2年間のうち、雇用保険の被保険者期間が12か月以上あること」。なお、この12か月に満たない場合でも、上の子の育児休業や本人の疾病等がある場合は、給付を受ける事ができる場合があります。

また、いわゆる正社員だけでなく、派遣社員や契約社員といった期間雇用であっても、同一事業主で1年以上働いている等の要件を満たす場合には受給可能です。そして、男女関係なく、さらに子供が養子の場合であっても育児休業を取得することができます。一方、育児休業を取得しない、つまり妊娠中または産休中に退職するといった場合には給付は受けられません。また、育児休業中に受け取る賃金が一定以上ある場合には、給付が受けられない、又は減額されることがあります。

政府としても父親の育児休業取得を促しており、父親と母親がそろって育児休業を取得する場合の優遇などもありますが、今回は、お母さんとなる相談者さん自身のご相談ですので、産後の女性の育児休業給付金を中心にお話ししましょう。

育児休業給付金に必要な手続きは?

育児休業給付金はご自身で手続きをすることもできますが、出産手当金同様、多くの会社では育児休業給付金の手続きを代行してくれます。その場合、育児休業開始日から起算して4か月を経過する日の属する月の末日までに申請を行なう必要があります。一方、ご自身で手続きを行なう場合には、申請期限は育児休業開始日の翌日から起算して10日以内、つまり出産後、8週間は産後休暇、その後10日以内に申請を行なう必要があります。

いずれにしても、ご自身が育児休業給付金の対象となるかなどについて、まずは勤務先の会社に確認してみましょう。

ちなみに、出産手当金は健康保険から受け取ることができるものですが、育児休業給付金は雇用保険から受け取るものです。自分が雇用保険に加入しているかどうかなど不明な点がある、またはご自身で手続きをしたい場合には、ハローワークに問い合わせてみましょう。

育休の期間は「最長2歳まで」に制度が拡大

育児休業期間は、原則として子が1歳に達するまで。保育所に入れない等の場合には、子が1歳6か月に達するまで延長できます。

さらに、法律の改正により、平成29年10月から制度が拡大されました。1歳6か月に達した時点で、保育所に入れない等の場合に再度申出することにより、育児休業期間を「最長2歳まで」延長できるようになったのです。そして、それに合わせ、育児休業給付の最大受給可能期間が延長されました。

また、独自に育児休業を延長したり、その他の福利厚生を手厚くしている会社もあります。しかし、会社の制度により2年以上の育休を取得する場合でも、育児休業給付金の給付は現状2年が最長です。

育児給付金はいくらもらえる?免除される税金も

ざっくりとした目安として、育児休業開始後6か月間は育休前の給料の額面金額の67%、6か月経過後は50%が支給額となります。ちなみに、ひと月あたりの支給の上限は、最初の6か月が28万6,023円、下限は4万6,431円です。(6か月経過後の上限額は21万3,450円、下限額は3万4,650円です。相談者さんの場合、お給料が額面で40万円くらいだった、とのことですね。育児休業開始後6か月間はおよそ月給の67%ですので、給付額はひと月27万円弱です。その後、最大1年半にわたり、月20万円ほどの受給が可能です。出産手当金とは別に、育児休業給付金として、最大520万円ほど受け取ることができる計算です。

とはいえ、「6か月間は3分の2、それから先は半分になってしまうと考えると不安になる」という声も聞きます。しかし、実際には、社会保険料は手続をすれば免除されますし、育児休業給付金には所得税もかかりません。基本的に住民税だけがかかることになります。

これをもとに、具体的に育休前の手取りと比べて、どれくらいになるか考えてみましょう。相談者さんの月給、約40万円でざっくり試算してみると……。育児休業前は、健康保険料と厚生年金、雇用保険あわせて6万円弱のほか、所得税1万円強、住民税2万円弱が差し引かれて、約31万円の手取りとなっていたのではないでしょうか。

一方、育児休業給付金を同様に考えてみましょう。先ほど触れたように、相談者さんのケースであれば、育児休業開始後6か月間はおよそ月給の67%ですので、27万円弱の受給額と考えられます。そこから負担しなくてはならないのは住民税2万円弱だけになるので、25万円程手元に残ることになります。

つまり、手取りベースで考えると、育休前の8割程度を受け取ることができるのです。6か月経過後は、およそ18万円、約6割です。もらえる金額が減っても、天引き額も減るので、手取りで比較すると印象が少し変わりませんか?

育児給付金の給付は2か月に1回

受給のスケジュールですが、育児休業給付金は、2か月に1度振り込まれます。ただし、会社側の手続きの進捗等により、手続きに時間がかかるケースも少なくありません。たとえば、育児休業開始から4か月程度経過してから会社が申請を行なえば、育休開始後5〜6か月かかることもあります。手続き等のスケジュールを会社に確認しておくとよいでしょう。

また、もし、これらの期限内に申請ができなくても、給付金の時効は2年となっており、育児休業給付金対象期間の翌日から2年間申請は可能です。しかし、状況の変化等によっては受給までに長期間を要したり受給できないこともあります。申請期限内に支給申請を行うようにしましょうね。

上記でも紹介したように、会社独自に手厚い福利厚生がある場合もあります。お勤めの会社にどんな制度があるのか、ご自身がその制度の利用が可能なのか、しっかり確認しましょう。そして、育児休業給付金のような公的な制度がカバーしてくれる範囲をきちんと把握し、不安を取り除いてくださいね。

仕事をしながら安心して子育てできる支援は、最大限に利用したい。



■賢人のまとめ
育児給付金は「原則的に、育児休業を開始した日前の2年間のうち、雇用保険の被保険者期間が12か月以上あること」を条件に、雇用保険加入者が受けられる給付金です。制度の拡大により、子が最長2歳まで給付がうけられます。社会保険料や所得税がかからないため、手取りベースで考えると、6か月間は育休前の8割程度、以降は約6割を受け取ることができます。一般的に勤務先の会社が手続きを代行してくれますが、不明な点がある、またはご自身で手続きをしたい場合には、ハローワークに問い合わせてみましょう。

■プロフィール

女子マネーの達人 森井じゅん

1980年生まれ。高校を中退後、大検を取得。レイクランド大学ジャパンキャンパスを経てネバダ州立リノ大学に留学。留学中はカジノの経理部で日常経理を担当。

一女を出産し帰国後、シングルマザーとして子育てをしながら公認会計士資格を取得。平成26年に森井会計事務所を開設し、税務申告業務及びコンサル業務を行なっている。