理系学生が選ぶ「就職人気ランキング」TOP10

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3月に法政大学で行われた学内企業説明会。就職人気ランキング1位の明治グループの会場には、多くの学生がつめかけていた(撮影:梅谷秀司)

企業は今、理系人材を確保することに躍起だ。

業務のAI(人工知能)化やビッグデータの有効活用が叫ばれ、高度なICT(情報通信技術)が求められる中、そうした分野に強い理系人材を求める動きが活発化している。


1日でも早く採用したいという思いは強い。文化放送キャリアパートナーズ就職情報研究所が実施した学生アンケート調査によると、4月上旬時点の内定取得率は文系学生25.9%に対し、理系学生は33.9%。このデータからも企業が「まず理系学生に内定を出す」状況がうかがえる。

では、そんな企業に人気の理系の学生が、逆に注目している会社はどこなのか――。

4月20日配信の「学生2万人が選ぶ『就職人気ランキング 』 300社」で、就活生が行きたいと考えている上位300社を掲載し、その後も男女別など属性別のランキングを作成している。今回は対象を理系学生に絞った、「就職人気ランキング・理系学生版」の上位100社を紹介したい。

理系学生は争奪戦の様相を見せる

このランキングは、文化放送キャリアパートナーズ就職情報研究所が実施した、「就活ブランドランキング調査」を基にしたもので、調査対象者は、同社の就職サイト「ブンナビ!」に登録している、現在就職活動中(2019年春卒業・修了予定)の大学生や大学院生だ。調査期間は就活の前半戦の時期にあたる、2017年10月1日から2018年3月31日までの半年間。ランキング表に2019年卒・前半の総合順位と、昨年の同じ時期に調査した(2018年卒の)理系順位を掲載している。

1位は明治グループ(明治・Meiji Seika ファルマ)理系の人気ランキングでは3年連続でトップとなっている。

食品メーカーは理系の人気が集まりやすい。BtoCの代表格として、学生になじみがあるだけでなく、リケ女(理系女子)の人気も高いからだ。さらに明治グループはお菓子や乳業だけでなく、Meiji Seika ファルマで医薬品も展開している。そうした幅広いビジネスモデルが学生の人気を集めている要因といえるだろう。

2位には住友林業が入った。昨年も3位で理系ランキングの上位の常連だ。林業が発祥で、木材・建材のほかに、住宅建設や販売も展開する。海外売上高比率も2割超と高い。建設業の区分に入るが、こちらも多様なビジネス展開が理系学生の人気の的になっているかもしれない。

3位は味の素、4位はロッテと、食品メーカーが続く。食品はそれ以外にも9位森永製菓、10位森永乳業、12位カゴメ、13位キユーピーと、上位にランクインしている。食品はトップ10に5社が入った格好である。ロッテが昨年の理系順位19位から4位にジャンプアップしているように、昨年から順位を上げているところが多い。食品人気がさらに高まっている印象だ。

トップ10のうち5社が食品業界

総合1位の全日本空輸(ANA)は、理系では5位となった。昨年の理系順位12位から順位をあげており、文系だけでなく理系にも人気が広がっている印象だ。エアラインでは7位の日本航空(JAL)も順位を上げている。

6位にはNTT系のシステム・インテグレーター(SI)であるNTTデータが入った。IT関連やシステム開発といった企業では、19位のSCSK、23位伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)などが上位に。14位の日立製作所は家電や重電のイメージが強いが、社会インフラや情報・通信システムでもトップクラスの企業で、さまざまな分野の学生が志望していると思われる。

昨年から大きく順位を上げたのは、玩具やゲーム、アミューズメント商品などを手掛ける、バンダイナムコホールディングス傘下の2社。8位のバンダイナムコエンターテインメントは昨年理系順位33位から、11位のバンダイは昨年同171位からそれぞれ大きく順位を上げた。それ以外でもエンターテインメント系は昨年より人気となっている。一方で、コンサルやシンクタンク系といった企業は、昨年ほどの人気にはなっていないのが現状だ。

2月21日の配信記事「理系採用数が多い企業トップ100ランキング」で、理系採用数428人ともっとも採用数が多かった本田技研工業(ホンダ)は、理系学生の就職人気ランキングでは53位、採用数が3番目だったデンソーは80位にランクインしている。



調査について
調査方法:文化放送キャリアパートナーズ運営の就職サイト「ブンナビ!」上でのWebアンケート、文化放送キャリアパートナーズ主催の就職イベント会場での紙アンケート、文化放送キャリアパートナーズ就職雑誌の同送ハガキアンケート
※投票者1人が最大5票を有し、志望企業を5社まで選択する形式
調査期間:2017年10月1日〜2018年3月31日
回答数:19888(うち男子7716、女子12172/文系16460、理系3428)
総得票数: 66386票 
※男女比を1:1にするため、男子得票数に1.577501296を掛けたポイント制とした
「就職」を重視する学生は、「企業イメージ(企業価値)」よりも「仕事イメージ(仕事価値)」に重点を置くとの仮説の下、ランキングを算出。就職者誘引度は学生が企業イメージと仕事イメージのどちらを企業選択時に重視したかという回答によって算出。企業イメージのみで投票した場合は就職者誘引度ゼロ、仕事イメージのみで投票した場合は100とし、得票平均値を就職誘引度としている。総得票数×就職者誘引度=就職ブランド力とし、就職ブランド力を基にランキングを計算。社名はアンケート上の名称で、1採用窓口=1社名を基準にしている。グループで採用が一本化されている場合は「○○グループ」等で表記