国内メジャー初戦は最終日最終組全員にスロープレーの警告が…(撮影:佐々木啓)

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大激戦となったシーズン最初の公式戦、ワールドレディスサロンパスカップ。申ジエ(韓国)が最終日17番の第2打でスーパーショットを放ち、イーグルを奪い逆転優勝。元世界ランクナンバー1の貫録を見せつけた。
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だが、その裏側で後味の悪さを残したのが、スロープレーでの警告劇だ。優勝争いを繰り広げる申、鈴木愛、イ・ジョンウン6(韓国)の3人がいる最終組が、途中、警告を受けていたのだ。井上奈都子競技委員長が説明する。「最終組は前半から遅れ気味で、前の組と開いたり追いついたりしていました。途中、前の前の組が遅れた影響で追いつきましたが、9番でまた前の組と1ホール以上開いてしまったので、10番ティグラウンドで(注意を促す)イエローカードを出しました。後半は競技委員が同行して計測していたところ、3人それぞれ(規定をオーバーする)バッドタイムがありました。申さんは12番の4打目、鈴木さんは13番の2打目となるファーストパット、イさんは14番3打目です。ですから、誰か1人ということではなく、3人それぞれに警告を出しています」。
今年から厳しくなった日本女子プロゴルフ協会(LPGA)のプレーのペースに関するガイドラインでは、著しい遅れが見られたときにイエローカードを提示し、計測の可能性があることを選手に伝える。1打当たりに使用可能な時間は昨年までの50秒から40秒(その組の中で最初にストロークする選手は従来通り50秒)に短縮。これを越えるとバッドタイムとみなす。バッドタイム1回目で警告、2回目で1罰打、3回目で2罰打、4回目で失格となる。
今回は、3人とも1回の警告のみにとどまったが、プレーのペースとしては本当に時間内だったのだろうか?罰打に当たるまでの選手はいなかったのか。実は、ここに“グレーゾーン”が存在する。
「トラブルショットや強風、グリーンが硬いなどのコンディションの違いなど、四角四面ではなく考慮することがあります。そこは言葉にして説明できない現場判断です」(井上競技委員長)という部分だ。確かに、コンディションやトラブルの度合い、優勝争いなどの局面で考慮の余地があるのは仕方なく、個々を考慮するのは“世界基準”。だから、LPGAの規定にも「特別な事情がないのに下記定義(スタート時の前の組との間隔が著しく開いた場合など)に該当する場合、その組はアウトオブポジション(その組が進行上の正しい位置から外れた状態)とみなされ〜」とある。この特別な事情についても「例えば時間を要したルーリング・紛失球・アンプレヤブル・誤球などをいう」とある。しかし、特別な場合、というのは忖度(そんたく)が生まれる余地もあるということでもある。
『スロープレー』という言葉には2種類の意味がある。1つは、規則6-7『不当な遅延』を意味するもの、つまり罰打の可能性を含む規則違反となるもの。もう1つは、ガイドラインには抵触しないが、周囲を不快にしたり、迷惑をかけるもの、いわゆるマナー違反にあたるもだ。
今回の最終組は、ガイドラインには抵触したが、ペナルティ(罰打)を受けるまでには至らないと競技委員会に判断されたということだが、それにしては、最後まで優勝争いを繰り広げた2人のコメントには天と地ほどの違いがあった。
「3人ともあまりにも慎重になって遅くなってしまった。競技委員が来たことで自分たちがそう(遅い)とわかってペースを上げた。それを知らせてくれたから(警告による)心の動揺はなかったです」と、笑顔のまま話した勝者、申。それに対して、敗者となった鈴木は悔しさをにじませた。「走らされるとは思っていなかった。申ジエさんが遅かったので、気持ちよくはプレーできていないです。もうちょっと速くプレーしていただければ(自分の)時間を使えたのに」。勝負の世界に生きる限り、敗者の言葉が負け惜しみに聞こえてしまうことをわかった上で、言葉を選びながらだが、ハッキリと非難している。
「スロープレーヤー」のレッテルを張られた選手は、ツアーに何人もいる。だが、今回同様、罰打が下されない限りは、それが“矯正”されることはない。ルールを作った以上、的確に運用していくことが何よりも大切だ。配慮と忖度(そんたく)は表裏一体。理由をきちんと説明できれば配慮だが、言葉にできないのでは忖度(そんたく)といわれても仕方ない。
かつて米国女子ツアーでは、ツアーを牽引する人気者、ナンシー・ロペス(米国)にスロープレーの裁定を下し、罰打を与えたことでその後のスロープレー対策に大きな効果をもたらしたことがある。ロペスがスケープゴートになった、といい換えることもできるが、影響力は絶大だった。
優勝争いの真っただ中に、スロープレーで罰打にまで至る裁定を下すのは勇気のいることではある。だが、ルールを厳しくしても、その適用に忖度(そんたく)が伴うのでは、絵に描いた餅。世界的にも、プレー時間を減らし、ゴルフを普及させるためのルール変更が2019年に行われるという流れにある。すべてのゴルファーの手本となるプロのプレーのスピードについても、本人たちの自覚を促したい。
今回は罰打にまで至るルール違反の選手はいなかった。これが競技委員会の判断だ。ただ、グレーゾーンに関してはこの限りではない。ルール適用をより厳しくすること、つまりグレーゾーンを限りなく狭くし、説明できるようにすること。それが、ツアーでのスロープレー撲滅のカギとなるのは間違いない。(文・小川淳子)
<ゴルフ情報ALBA.Net>

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