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『言論江湖』モスクワ五輪ボイコットの真相

【PJ 2005年11月01日】− だれが、なぜ、どのようにして、日本のモスクワ五輪(1980年)ボイコットを決定したのだろうか。25年前のその真相が何者かによって封印され、そして闇へと葬られようとしている。1979年12月、旧ソ連が突如としてアフガニスタンに軍事侵攻した。これに抗議するため、米国のジミー・カーター大統領が翌1980年1月にボイコットの方針を米オリンピック委員会に伝えると同時に、西側諸国にも追従するよう求めた。翌2月早々、日本政府は米国の意向におもねる方針を決めた。日本オリンピック委員会(JOC)は一時、独自に大会参加への姿勢を示したものの、結局5月のJOC総会でボイコットを決めた。賛成派29対反対派13だった。

 米国に追従したのは、西ドイツや韓国など約50カ国・地域に達した。一方、仏や伊など欧州諸国の多くが参加し、特に英国は政府の反対を押し切って、英国オリンピック協会(BOA)が独自に選手を参加させた。英国のパブリック(市民)やジャーナリストも、参加を後押ししたことはいうまでもない。翻って日本では、マスコミはボイコット問題を追求するどころか、強硬な米国の態度に対して、あきらめの論調をにじますことさえあった。

 記者が拙著の『「スポーツジャーナリスト」という仕事」(出版文化社) を今年4月に上梓すると、著名なオリンピック評論家の伊藤公さんから手紙を頂いた。拙著で示したように、伊藤さんも日本のスポーツ・ジャーナリズムのふがいなさを嘆いておられた。伊藤さんは日本体育協会で長年、広報や国際事業の職務にあたり、1991年に退職して以来、オリンピック評論家として活躍しておられる。お会いして話を伺うと、モスクワ五輪ボイコットの内幕をつづった原稿があるという。その原稿は出版を目的に、伊藤さんご自身が14年前執筆したものだ。実は、伊藤さんはモスクワ五輪参加の是非をめぐって、日本体育協会の担当者として東京とモスクワの間を行き来した人物。

 1992年にある出版社から出版する予定だったが、政治的な圧力がかかり、出版を断念せざるを得なくなってしまった。今年70歳になった伊藤さんから「歴史的事実を正しく伝えたい。モスクワ五輪ボイコットの問題は忘れかけられている。紆余屈曲があったが、これを機に完全に総括したい」と記者への話があった。原稿を一読すると、記者が新聞や雑誌などで読んだことのない、ボイコットの真相に迫る内容であることが分かった。記者や記者の友人が出版社を何件かあたったのだが、25年前の話ということもあり、出版には至らなかった。

 そこで、伊藤さんにPJに登録していただき、今回、「モスクワ五輪ボイコットの真相」 (ブログはこちら) という題目で、毎日連載していただくことにしました。PJニュース初の長期連載になります。「モスクワ五輪ボイコット」という史実があることは忘れてはなりません。新聞紙面では最近、日本のオリンピック招致の話題でにぎわっていますが、果たして無批判にオリンピック招致を是認してよいものなのでしょうか。オリンピックという巨大スポーツ・イベントが「本当にパブリックのものであるか」という点も、伊藤さんの原稿を読んで考えていただけたらと思います。読者の皆様方も、よろしく応援お願いいたします。【了】
※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 小田 光康【 東京都 】
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