「違約金 全額負担」のキャンペーンも展開中

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 野田聖子総務大臣は4月27日の記者会見で、大手携帯キャリアのいわゆる「4年縛り」と称する、携帯電話契約の利用期間拘束について、「4年縛りでは契約前説明を対象とする、消費者保護(ルールに関する)ガイドラインの改正の手続きを進める」と語った。
 総務省では2016年3月に「実質ゼロ円」販売を禁止した「電気通信事業法の消費者保護ルールに関するガイドライン」を策定して、同年11月に3キャリアに行政指導を実施している。今回、「2年縛り」や「4年縛り」にもメスが入る。

 野田総務大臣のコメントは、総務省が4月20日に実施した「モバイル市場の公正競争促進に関する検討会」の後に作成した報告書(27日公表)を受けたもの。

 「4年縛り」は、端末代金を4年間の割賦払いにして、2年間たった後に同一キャリア内で機種変更をして同一プランに加入しつづける場合に限って、それまで使っていた端末の残り半分の割賦残債を免除したり、ポイントを付与したりする施策。他社のサービスに乗り換える際は、残債を支払わなければならず、消費者が自由にサービスを変更できないことが問題視されている。

 野田総務大臣は「利用者が安く端末を買うメリットはあるが、(2年後に)不要と思っていた代金を支払わなければならず事業者を変更しづらい」と、利用期間が拘束される点を指摘した。

 総務省では「4年縛り」は従来からある「2年縛り」の延長線で派生したものとみており、17年7月以降に、免除される残債が高額になったり、48回(4年間)割賦払いと組み合わせた施策が拡大したとみている。

 報告書では「2年縛り」についても、利用者が24か月分の通信料よりも多い金額を支払わなければならない仕組みそのものに問題があるとする。具体的には、2年間の契約期間中に途中解約した場合、9500円の違約金が課せられる点や、2年間の契約満了直後の2か月間のうちに解約するか、期間拘束のない料金プランに変更しなければ、自動的に2年間の期間拘束が更新される点である。

 さらに、2年間の契約を終了して他社のサービスに乗り換える際、24か月目までに解約して違約金を支払うか、25か月目か26か月目に解約し、解約した月の、日割り計算されない月額料金を支払うかしか選択肢がないのも問題としている。

 こうした政府の動きを知ってか知らずか、ゴールデンウィーク前半、都内のソフトバンクの販売代理店は店頭で、他社から乗り換える際の違約金を全額負担するキャンペーンを実施していた。違約金を負担することで他社からのスイッチングをスムーズにさせる狙いは、裏を返せば、違約金があるがゆえに他社のサービスに切り替えにくいことを、事業者自らが認めるような内容のキャンペーンだ。

 利用期間の拘束をめぐっては、4月13日に公正取引委員会が有識者の意見交換会を開催するなど、総務省と歩調を合わせている。それでも行政とキャリアのいたちごっこは、まだしばらく続くのだろうか。(BCN・細田 立圭志)