iPhoneの売り上げは好調だった(写真:REUTERS/Stephen Lam)

5月1日に発表したアップルの2018年度第2四半期(1〜3月期)の決算は、アナリストなどの市場予測を上回り、売り上げ、営業利益ともに第2四半期としては過去最高を記録した。

好調決算の背景にはウエアラブル製品(Apple Watch)の伸びやApple Musicなどサービス事業の好調もあるが、主事業であるハードウエア、とりわけiPhoneの好調がもっとも大きな要因だ。

iPhone Xは好調を維持した

もともとの市場予測では、サービス事業やウエアラブル製品の売り上げが伸びるものの、収益全体に占める割合が多いiPhoneは苦戦するとみられていた。新たな軸での進化を狙ったiPhone Xが新しい製品に素早く食いつくアーリーアダプター層への普及が一巡した後に伸び悩むことで、全体としては厳しい決算になるとみられていた。

しかし、予想通りにサービス事業やウエアラブル製品の売り上げが伸長する一方、苦戦が予想されていたiPhone Xも好調だった。ティム・クックCEOの説明によると発売以降、すべての週においてもっとも売れたiPhoneとなったという。

高価なiPhone Xは発売直後こそ注目を集めたものの、アーリーアダプター層に一巡した後、販売比率が下がるとの予想が優勢だったが、良い意味でそうした悲観的な期待を裏切った。総販売台数そのものも伸びているが、加えてより高付加価値の高いiPhone X比率が下がらなかったことで、前年比でiPhone全体の平均単価も上がった。

iPhone事業への懸念が広がっていた理由は、買い替えサイクルの長期化に加え、中国においてOPPOやVIVOといった高付加価値線を狙ったライバルとの衝突が発生しているためだった。しかし、この点においても「中国と日本で約20%成長した」(クックCEO)としており、懸念を払拭する決算だったと言える。

苦戦が続いていた中国市場へのカンフル剤に

iPhone Xの投入は、アップルの全売り上げのうち62%を占めるiPhoneシリーズ全体の平均単価を高めるとともに、日本のようにiPhone比率が極めて高い市場における買い替え需要を喚起し、ここ数年は苦戦が続いていた中国市場へのカンフル剤にもなった。

ただし、筆者は継続的な成長に向けた決め手には欠けていると考えている。iPhone向け部品への依存度が高い日本企業への影響に関しては慎重な評価が必要になりそうだ。今後さらに伸びていくかと言えば、市場開拓の余地が大きいわけではない。さまざまな制約の中でも進化を続けてきたiPhoneシリーズに対し、1つの飛躍ともいえる新たなステップとなったiPhone Xの成功によってハードウエアの”可能性”を広げてたが、過度の期待は禁物だ。

特に、今回の”iPhone好調”によって部品メーカーなどの業績も好調なのではないか、と結びつけるのは危険だ。

iPhoneのモデル数が少なかった時代とは異なり、現在は画面サイズの違いや製品シリーズの違いによって調達部品のバリエーションが増えている。iPhoneシリーズ全体の需要が予想の範囲内だったとしても、売れているシリーズの内訳が変化すれば笑うメーカーと泣くメーカーが生まれる。

アップルへの依存度が高い部品メーカーの業績は、iPhoneの好調という背景があったとしても、楽観視できない。特にディスプレイに関しては、サイズの違いに加え、iPhone XだけがOLEDを採用するなど、ディスプレイ方式の違いもあるため、アップルによる生産調整の影響を受けやすい。

アップル自身の業績に目線を戻すと、iPhone以外の事業領域でどう成長戦略を描けるのか?がもっとも大きな課題だろう。この点について、クックCEOはサービス事業の強化が功を奏していると話している。

サービス部門の売り上げもハードウエアと連動

インターネットに接続されているアップル製品は13億台を超えている。そうした、これまでにアップルが販売し、現時点でネットに接続されているデバイス向けにサービス事業を展開することで、ハードウエア販売とは別の成長軸を作るのがアップルの戦略である。

今回の決算ではApple Music、AppStore、iCloud、Apple Payの売り上げが31%増加したことや、Apple Watch series 3を中心とするウエアラブル製品の売り上げが好調だったことをアップル自身は強く訴えている。とくにサービス関連の売り上げは96億ドルとなりiPad部門の2倍以上の規模に成長した。

しかし、サービス部門の売り上げは自社製ハードウエアの普及台数によって変化し、サービスの質がハードウエアの売り上げに影響する強い依存関係がある。今年はAppStoreやApple Musicの改善、決済サービスの普及などに努めた結果、大幅な成長を果たすことができたが、サービス自身の拡充をどこまで続けられるかというと大いに疑問だ。

スマートフォン市場の緩やかな減速に対しては十分に対応できているが、さらなる成長持続を狙うためには、回復の兆しが見えつつあるiPadなどハードウエアデバイスにおけるいっそうの成長が必要である。