ラジオ体操の伝道師で、整形外科医・スポーツドクターの中村格子先生。「肩こり&腰痛対策」を教えていただいた前編に引き続き、後編ではラジオ体操が美容やメンタルにも効果があることを、くびれ復活&ぽっこり解消の体操などとともに教えていただきましょう。

代官山のDr. KAKUKOスポーツクリニックには、さまざまな不調や悩みを抱えた人が救いを求めて集まります。不快や不調は体だけにとどまらず、メンタルにまで及んでいる人が少なからずいるそうです。

運動と呼吸でメンタルは安定する

image via Shutterstock

「ある30代の女性は、腰が痛くて来院されたのですが、心もふさぎ込んでいる状態でした。まったく運動をしない人で、体脂肪率も高い。運動をおすすめしてもやりたくないと言うし、診察のたびに涙を流してしまうほどメンタルが不安定でした。1〜2年かかりましたが、痛みをとる運動から始めて、徐々に段階をふんで体を動かす楽しさを感じてもらい、最後は自発的に何かをやってみようという前向きな気持ちになって卒業していきました」(中村先生、以下同)

体を動かすことで、心もよい状態になるんですね。更年期障害の影響か、日々イライラして周囲に当たり散らしていた中年女性のケースでは、運動を始めて3年くらい経つと、別人のように穏やかに変わったそうです。運動とともに、呼吸と姿勢が大切だという中村先生。呼吸がメンタルに影響を与えるというのは、どういうことでしょうか。

正しい姿勢でしっかり呼吸をするだけで腹筋効果も

「呼吸をするときに空気をたっぷり吸って、横隔膜がしっかり動くと副交感神経を刺激するので精神的に安定してきますし、横隔膜を大きく動かすと、それに伴い胸郭(胸骨や肋骨など)も大きく動くので、心肺機能を高めることもできます。横隔膜を動かすために、まずやるべきは正しい姿勢をとることです。鼻から息を吸って口から吐くときに、1番空気が入るポジション、つまり1番胸郭が動くところがよい姿勢。背中を丸めてみたり、反ってみたりして、自分にとって1番よい姿勢を探してみてください」

呼吸をすると、横隔膜と一緒に骨盤底筋や腹横筋というお腹をへこませる筋肉も動くので、正しい姿勢でしっかり呼吸をすれば、体幹が安定してお腹ぽっこりも防げるそうです。姿勢を正して呼吸を意識するだけで腹筋効果があるとは。これは、試さずにはいられません。

「ラジオ体操やストレッチは、動きと呼吸を連動させたほうが効果を期待できますラジオ体操は『伸びるときに吸う、曲げるときに吐く』を意識して動くと、動きに連動して横隔膜を刺激するので、この体操がより有意義なものになります。ストレッチは『伸ばすときに吐く』ようにすると、ぐぐっと伸びることを実感できると思います」

ラジオ体操第1が制定されたのは昭和26年のこと。「国民の半数以上を占める女子(母性)の健康は大切である」という観点から、女性の好みや体に配慮して、疲労回復や美容にも効果があるようにと工夫し、プログラムが組まれています。今回は多くの女性の悩みである「くびれ復活&ぽっこり解消」に効く運動を、ラジオ体操第1のなかからピックアップ。ストレッチ、正しい座り方とともに中村先生に解説していただきます。

「ウエストのくびれ復活&お腹ぽっこり解消」に効く!

【ラジオ体操】

●くびれ復活(第1-7番目:体をねじる運動)

遠心力に負けず、体の軸を意識して上体だけを回すようにすると、腹斜筋が引き締まります。かかとはつけたまま、ひざを固定することを意識して。

1.足を開いて立ったら、上体だけをねじって、でんでん太鼓のように腕を体に巻きつける。
2.でんでん太鼓のように腕を体に巻きつける。
3.腕を斜め上に振り上げる。左右の手がバラバラにならないよう注意して。目線は後ろの指先。

●ぽっこり解消(第1-2番目:腕を振って脚を曲げ伸ばす運動)

左右のかかとをつけたまま上げて、ひざの曲げ伸ばしをするバレエやダンスのような動き。お尻に力を入れると体幹を鍛える効果も。※第1-12番目も同じ動き。

1.腕を体の前で交差させるのと同時に、トンとかかとを上げる。
2.腕を横に振りながら、ひざを曲げて左右に開く。かかとは上げたまま。
3. ひざを伸ばし、腕を肩の高さまで上げる。かかとは上げたまま。
4.腕を下ろしながら、一瞬だけかかとを下ろす。

【ストレッチ】

●くびれ復活(わき腹ストレッチ)

大きく縦に伸ばしてから月の弧を描くようにわき腹を伸ばす。腹斜筋を刺激して、くびれを生みます。

1.背筋を伸ばして立ち、右脚を前に出して左脚とクロスさせる。
2.右腕を耳に添わせ、息を吐きながら右わき腹を伸ばす。左右の脚を入れ替え反対側も同様に。

●ぽっこり解消(背筋とお腹を伸ばすストレッチ)

猫背や腰の反りすぎは、お腹ぽっこりの原因に。腕は耳の横。上に伸びるときに、首が前に出ないよう注意しましょう。

1.腕はまっすぐ耳の横に。このときかかとはつけたまま。
2.かかとを上げて、高く遠くに伸びるイメージで。

【正しい姿勢(座り方)】

あごを引いて、耳、肩、ウエストの真ん中、座骨が一直線になっているイメージ。腰を反りすぎたり、猫背になって骨盤が後傾するのはダメ。呼吸をして、1番空気を吸い込める姿勢が正しい姿勢です。

正しい姿勢と呼吸、そして1日3分のラジオ体操。これだけで体のラインは変わってきます。薄着の季節になる前に、今日から始めてみませんか?

中村格子(なかむら・かくこ)

整形外科医師、医学博士・スポーツドクター、Dr. KAKUKO スポーツクリニック院長、横浜市立大学客員教授、よこはま健康づくり広報大使。「健康であることは美しい」をモットーに整形外科医・スポーツドクターとして各種競技の日本代表選手をはじめとしたトップアスリートを支える傍ら、スポーツと医療の架け橋としてより多くの人の健康で美しい人生をサポートすべく自身のクリニックのほか、テレビ・雑誌などのメディアでも多数活動。また著書「大人のラジオ体操」はシリーズ累計82万部を超えるベストロングセラーとなっている。

『DVD付き もっとスゴイ!大人のラジオ体操 決定版』(講談社)美しい動きの第1とダイナミックな動きの第2。続けるほど体が整い、若々しく疲れにくい体になるラジオ体操をわかりやすく紹介。正しい動きと呼吸で行えば、さらに効果はアップします!

写真 / 内山めぐみ 取材・文 / 山本千尋