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売り手市場でも東大生が就職活動で気を抜けない理由

2005年10月31日12時37分 / 提供:PJ

pj
売り手市場でも東大生が就職活動で気を抜けない理由
普段は学生の体育館である御殿下記念館ジムナジウムは一日だけOBと「キャリアを考える」場に変わった(撮影:三國裕史)
やはり東大卒の2割はニート予備軍!?」でも紹介した東京大学知の創造的摩擦プロジェクトは29日、学生団体東京大学ドリームネットの協力を得て、東京大学本郷キャンパスにある御殿下記念館ジムナジウムにて第一回交流会「キャリアについて考える」を開催した。

 当日は東大の若手OB約100名と現役学生が270名余りが集まり、研究者・弁護士・官公庁・金融・商社・人材サービス・コンサル・システム・メーカー・経営者・フリーランスなど30ものテーブルに分かれ、それぞれの職業に就いている東大OBと、就職や研究者としての進学を控えた現役東大生が職業観などについて積極的に交流した。

 東大がこのように大学主導でOBと学生の交流の場を提供することは初めての試みで、大学の呼びかけによって参加したOBのひとりは「今まで大学に何かしてもらった覚えはないし、実際に卒業生同士はあまり交流がなかった。他の名門私立大のようにビジネスの世界でも同じ大学の卒業生として群れることがあまりカッコイイものだとは思っていなかった」と語る。
 
 東京大学は、国内最高峰の「リサーチ・ユニバーシティ」を自負しており、就職を希望する学生自体が少ないが、就職を希望した学部卒業生の100%、修士修了生でも99.5%が就職できており、就職が決まらない学生は極わずかだ。就職課に代わるキャリアサポート室が設置されたのは今年4月で、それまで学生は「東大卒」という自身の努力によって手に入れた学歴と本人の実力だけで進路を決めてきた。

 特に今年度は求人数が大幅に増え、完全に売り手市場であることが分かっているが、各企業人事部の採用姿勢の変化には敏感だ。例えば、ある4年生は既に国内の大企業に内定しているが「採用数が突然倍増するような企業は信用できない。東大卒というだけで選ばれたような気がする。内定はしているが、自分が本当に納得できる就職先がもっとあるのではないか」と4年生のこの時期になっても、交流会に参加する理由を漏らす。

 交流会事務局を担当するキャリアサポート室は、学部3年生と修士1年生全員にDMを出して参加を呼びかけたが、学部4年生の参加も目立ち、内定者の不安も浮き彫りにされたかたちだ。また、交流会開催にあたり、OBも各企業の人事担当者ではなく、現場の担当者を呼ぶ予定であったが、人事部も東大生がこれだけ集まる機会を無視できず、急遽上司の命令で休日出勤を余儀なくされたOBも見られた。

 全プログラムで5時間にも及んだ交流会の各テーブルでは、職種によっては就職のテクニックをOBに求める学生も見られたが、多くの学生が複数のテーブルを回り、まだ方向の決まっていない自らの進路について模索している様子が目立った。

 文系学生は、多くがある時期から一斉に就職活動一色になり、それに戸惑いながら、就職活動を始める。理系学生は、大学院への進学が普通で就職のための情報はほとんど入ってこないから、何もしない。このような特異性も東大ならではかも知れないが、それがすべての学生の進路にとって必ずしもよいとは限らない。

 特異性を持つ東大が産業界に合わせていくべきなのか、それとも、東大が新しい就職のかたちを産業界に提示していくべきなのか。交流会終了後の発表者の中には「全国から優秀な学生を集めるだけ集めておいて、大学は学生に何もしてくれていなかった」と皮肉る学生もいた。確かに親や先生が喜ぶから、と東大に入ったが、かえって選択肢が絞られてしまったのではないか、という指摘もある。

 報道では売り手市場になったかも知れないが、それは量的な意味しかないことを東大生は理解しているようだ。いつの時代も質的な売り手市場は、やってくるわけがないからだ。だから、売り手市場でも東大生は気を抜けない。自分が本当に納得するまで、就職先を探し続ける。【了】

※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 國分 裕之

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