今月23日、大腸がんのために死去した元プロ野球選手で広島カープに所属した衣笠祥雄氏。2215試合連続出場という不滅の記録を持ち、ファンからは「鉄人」と呼ばれ、愛された。

29日放送、日本テレビ「Going! Sports&News」では、現役時代に衣笠氏と幾度も対戦した元巨人・西本聖氏がVTRで登場。衣笠氏の野球人生を語るに欠かせない、1979年8月1日の広島対巨人戦での出来事についてコメントした。

この日、1122試合目の連続出場となった衣笠氏は、西本氏との対戦で背中にデッドボールを当てられ、肩甲骨骨折というケガを負ってしまう。バッターボックスの上で倒れて動けない衣笠氏を見て、誰もが連続出場は途切れるものと思った。

現在61歳になった西本氏は、この時を「とんでもないことになってしまったなと。頭が真っ白になりました」と振り返るも、この投球で乱闘騒ぎに発展したことから、衣笠氏は「大丈夫だ。お前は危ないからベンチに帰れ」とまず対戦相手の西本氏を心配したという。

すると、その翌日、衣笠氏は代打で登場。江川卓氏と対戦して三球三振に終わるも、ケガを感じさせない三度のフルスイングを見せた。

西本氏は「最初のスイングはファンのため。2つ目のスイングは自分のため。3つ目は西本君のため」という衣笠氏の言葉を紹介すると、「この言葉に驚きというか。自分の名前が出るとは思ってないですから。心配しなくていいと。俺はこんなに(バットを)振れるんだから」としみじみ。

ここでも西本氏が自責の念に駆られることのないよう気遣った衣笠氏。「あの言葉が僕の野球人生を変えていってくれた」という西本氏は、「すごく感謝しています」と亡き鉄人に謝辞を述べた。