不名誉にも1位に選ばれたのは、香港サッカー界の重鎮バイセ(左)の一撃だ。38歳の現在も香港代表として活躍するCBだ。(C)Getty Images

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 いつの時代も、サッカーにオウンゴールは付き物だ。失態を犯してしまった者は絶望の淵に立たされ、労せずしてゴールをプレゼントされた相手チームは歓喜に沸く。ピッチ上で残酷なコントラストが描かれる。
 
 その“悲劇”にあえてスポットライトを当てたのが英サッカー専門誌『Four Four Two』だ。しかもあえて「偉大で衝撃的なオウンゴール」にこだわり、お得意のランキングを発表したのである。そのトップ3を紹介しよう。
 
 3位に選ばれたのは、「鮮烈のバイシクル」だ。スイスの国内カップ、プリー・フットボールvsFCレーネンスの一戦。前者のMFアドリエン・ガルフォが、自陣エリア内で浮いたボールをクリアすべく、ジャンプ一番で豪快なオーバーヘッドを披露する。なんとそれが味方GKも呆然と見送るしかないファインゴールとなって、自陣ゴールに突き刺さってしまうのだ。

 
 続いて2位に食い込んだのは「痛すぎる顔面直撃弾」。こちらは2006年のイングランド下部リーグ、ベリー対ダーリントンのゲームで起きた事件だ。ベリーのDFクリス・ブラスがゴール前に上がった浮き球を処理しようと右足を力強く振り上げた。するとボールは彼の顔面を直撃し、そのままハイスピードでゴールマウスに吸い込まれたのだ。GKにとってはノーチャンスの一撃で、同誌は「なんとも哀れなブラスよ」と憐みの言葉を綴っている。
 
 そして1位は、香港リーグからのエントリーだ。題して「驚愕のスコルピオン!」。晨曦(スンヘイ)体育会と香港FCの試合で、前者のナイジェリア出身DFフェスタス・バイセが圧巻のOGを決める。敵のカウンターに全力で帰陣するバイセの眼前に、鋭いクロスが送られてくる。身体をくねらせてブロックを試みたバイセの驚異的なバネが、逆に仇となってしまうのだ。見事に後ろ足のカカトでインパクトされた球は、美しい放物線を描いて20メートル先の自陣ゴールへ……。オウンゴールなのが惜しいと思えるほどのスーパゴラッソだ。
 
 3ゴールとも、一度見たら絶対に忘れないセンセーショナルな一撃である。