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●ハンバーグをなぜ売るのか

カッパ・クリエイトは4月27日より、かっぱ寿司全店で、粗引きビーフを100%使用した「かっぱのハンバーグ」を発売する。大手回転寿司では初の試みとし、発表会も行なうなど高い期待を込めた一品だ。回転寿司屋でハンバーグを売る理由を探ると、かっぱ寿司の目指す方向性も見えてくる。

○なぜハンバーグを売るのか

かっぱ寿司は、デミグラスソースを使った「デミグラハンバーグ」と溶けたチーズを絡めながら食べる「とろっとチーズハンバーグ」を販売する。価格はいずれも税別390円。今年2月に6店舗でテスト販売をしたところ、結果が良好だったことから、全店での販売に踏み切る。

牛尾好智マーケティング部長によると「1店舗あたり1日10食程度を想定していたが、実際には20食ほど出た。30食ほど売れた店舗もある」とし、かなり反応はいいようだ。

とはいえ、そもそも、なぜ回転寿司屋がハンバーグを売るのだろうか。牛尾氏は「ファミレスの一番の武器がハンバーグ。シャリもデミグラスソースも酸味があるので、味の面からもケンカはしない。意外にいけるんです。ハンバーグを取り入れてファミリー層の来店につなげたい」と包み隠さず話す。

かっぱ寿司で子供向けのサイドメニューといえば、これまでフライドポテトが代表格だった。ほかにもとり唐揚げやナゲット(ツナゲット)などもあるが、子供向けのメニューを拡充して、ファミリー層を呼び込みたいという気持ちがあったようだ。そのため、ゴールデンウィークを迎える、このタイミングでの発売するという。

オペレーションの面でも、店舗で温めるだけの簡単調理となり、現場の負担も少ない。現状の見通しでも客単価が上がることが見込まれるとしている。

●ハンバーグの販売が意味すること

○ハンバーグが象徴するもの

ハンバーグの販売は、こうしたファミリー層の取り込みが表向きの理由だが、実は、ある考えの象徴的な商品とも言える。ハンバーグの販売は、かっぱ寿司が重視する価値観にもつながっていくからだ。

「回転寿司は"楽しい"から来るところ。そこが原点。それを今、見直しているところ。おいしさだけじゃないところを会社で定義しようとしている」(牛尾氏)。

かっぱ寿司では昨年から「食べホー」という食べ放題を始めたが、それは寿司をたくさん食べて積み上げる楽しさがあるからだ。ハンバーグも同様。ファミリーの誰もが回転寿司を楽しむためのメニューのひとつだ。

こうした考えをもとに、少し変わったメニューを取り入れたり、キャンペーンを展開していこうとしているのが今のかっぱ寿司の姿なのだ。今回の取り組みを見る限り、ファミリーレストランと回転寿司の境界線をさらに曖昧にしていくものになるのかもしれない。

ちなみに、肝心のハンバーグの味については、かなりの自信があるようだ。澄川浩太代表取締役専務によれば「本来なら倍の値段で出すほどの品質」であるとし、390円で販売するのはかなりチャレンジングな取り組みのようだ。自信のハンバーグはファミリーの来店を促し、回転寿司の定義を変えるきっかけになるかもしれない。