上司からモラハラをされたら。するべき3つのこと

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セクハラ、パワハラ、モラハラ。さまざまなハラスメントが昨今叫ばれていますが、判断が難しいものでもあります。しかし、「これって、もしかして……?」と思ったら、ひとりで抱え込まずに、適切な対応をとりましょう。そこで今回は、モラハラ上司の見分け方と対策を、心理カウンセラーの小日向るり子さんに教えてもらいました。

■モラハラ上司の特徴

上司からのモラルハラスメントは、大きく以下の3つに分かれます。また、これらを複合的に行ってくる場合も。

◇口頭攻撃型

主に自分の立場が上であることを利用した発言で、相手が精神的ダメージを受ける言葉で攻撃してきます。「お前なんか部署のお荷物だ!」、「俺もみんなも迷惑している」、「そんな能力でよくうちの会社にいられるな」、「生きている価値ないぞ」など。そんなことを言われているうちに、会社で働き続けることに自信をなくし、ひどくなると、生きていることにも自信をなくしてしまう場合も……。こうした口頭攻撃をする上司は、意図的にしている場合と、自分でも自覚がないまましている場合の2通りがあります。

◇無視型

挨拶をしても無視する、自分だけ会議の参加メンバーとして呼ばれない、必要なメールを転送してこない、などのいわゆる「存在を無視する」言動です。精神的に未熟、かつ臆病な性質の人が行うモラハラのタイプで、こうした行為を完全に意図的に行ってきます。

◇プライベート介入型

個人アドレスやLINE、SNSに連絡をしてきたり、上司という立場を利用して飲み会や休日のゴルフに付き合わせたり、といったもの。「部下は上司に付き合うのが当たり前」といった固定観念が強い性格の人に多いモラハラです。また、自分自身もそうした経験を経て上司になっている場合が多いため、これがモラルハラスメントにあたるという自覚がない場合がほとんど。男性上司から女性部下にこれらを行った場合、女性側が性的に不快だと感じると「セクハラ」の概念で扱う事案になることもあります。(もちろん女性から男性に行った場合も同様です)

■モラハラへの適切な対応

「これってモラハラでは?」と思ったら、自分ひとりで抱え込まず、誰かに相談することが大切。モラハラの度合いや状況に応じて、以下のように相談者を選択しましょう。

◇対応1:同じ状況の同僚や理解のある先輩に相談

自分以外にもモラハラを受けている仲間がいたり、自分の状況を理解してくれている人がいたら、その人に相談しましょう。同僚も同じ感情で苦しんでいることがわかれば、一緒に対応方法を考えることができるため、心強くなります。

また、自分が平社員で課長のパワハラに苦しんでいる場合は、その課長と自分の中間的立場に位置する「主任」や「リーダー」といった存在の人に相談すると、課長より上の立場の人(部長など)に話をしてくれる可能性もあります。

◇対応2:総務やコンプライアンス委員会に相談

部署の人が見て見ぬふりをする、上司も相談に乗ってくれるような人がいない、といった環境でしたら、部署の枠を越えた「会社内の組織」に直接相談しましょう。社員の福利厚生や休職申請を担っている総務課、コンプライアンスを専門的に行っているところがあればそうした委員会がベストです。特に精神的にダメージが酷く、心療内科などの病院に通いはじめた場合は、なるべく早く相談してください。完全に休職に追い込まれてしまってからでは、心身の回復にも時間がかかってしまう可能性があります。

◇対応3:弁護士などの外部機関に相談

会社自体が信用できない、という場合は「外部機関」に相談しましょう。いきなり弁護士に相談することにハードルが高いと感じる場合は、都道府県の労働局や法テラス、女性同士のモラハラでしたら、各市町村が自主的に設置している男女共同参画センターや女性センターでも相談できます。

人間は仕事そのものから受けるストレスよりも、職場の人間関係で受けるストレスのほうが、心に受けるダメージは大きいと言われています。仕事が大変でも支え合える仲間や相談に乗ってくれる上司がいたら、「がんばろう」「乗り越えて成長しよう」、と思えますよね。「仕事をする」ということの本質を見誤らないためにも、モラハラには毅然とした態度で臨み、自分の心と体を守っていきましょう。

■適切な対応で自分自身を守ろう

モラハラは断定するのが難しいからこそ、なかなか相談できずに自分自身が深く傷ついてしまうことも。そうならないためにも、おかしいと感じたら、まずはまわりに相談してみてくださいね。

(監修・文:小日向るり子、文:おぜきめぐみ)

※画像はイメージです。