小林よしのり氏(2014年撮影)

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辞職にいたった福田淳一・前財務事務次官のセクハラ疑惑問題で、「#MeToo」と書いた紙を掲げるなどして同省や政府に抗議を続ける野党議員に対し、漫画家の小林よしのり氏が「野党って本当にダメだわ!」と苦言を呈した。

「反政権」の立場を表明している小林氏だが、今回に関しては麻生太郎財務相に「同情」を示している。

「麻生大臣を見直した」と高く評価

小林氏は2018年4月24日にブログを更新し、「麻生大臣を見直した」「麻生大臣は質悪の世論に負けずによく踏ん張っている。安倍政権を一刻も早く倒したいわしでも、麻生大臣には同情する」と、いきなり擁護した。また、

「『週刊誌の報道だけで』という言い分は正しい。『週刊誌の報道だけで』官僚トップを処分するのは理解できない」

と麻生氏の対応を評価している。

福田前次官は、女性記者にセクハラ発言を連発していたと週刊新潮に報じられた後、麻生氏に辞任を申し出た。麻生氏は24日の会見で、この日の閣議の承認を受けて福田氏が辞職したことを発表したが、懲戒処分は留保した。処分は同省で事実関係を調査したうえで決めるとし、「週刊誌報道だけでセクハラを認定して処分するのはいかがなものか。はめられて訴えられたのではないかなどと、いろいろな意見が世の中にある」と、被害者の話を聞きたい考えを示していた。

翻って、小林氏のブログでは野党を糾弾する言葉が並ぶ。野党6党の議員約20人は20日、米国のセクハラ告発運動にならって「#MeToo」の紙を掲げながら財務省を訪問し、同省の対応に抗議。同省への野党合同ヒアリングでは、監督責任をとって麻生氏は辞任するよう要求した。だが小林氏は、

「野党の議員たちは最悪だ。『Me too』運動のマネしてはしゃいでいるが、これでまた野党の『反対のための反対』体質が露呈されてしまって、与党の支持率を押し上げてしまうだろう。若者たちが、あんな幼稚な連中には政権を任せられないと思ってしまうのはやむを得ない」

と批判した。

「セクハラ問題は質が悪い。特に一般的な会社のセクハラではなくて、ジャーナリズムの取材方法の問題だから最悪だ」として、

「野党って本当にダメだわ!」

とストレートな言葉をぶつけている。

「当事者が現れない主張を『いるいる詐欺』と呼んでいる」

小林氏の矛先はマスコミにも向いた。福田氏のセクハラ被害者は「テレビ朝日の女性社員」であると、テレ朝自身が19日未明に発表している。しかし小林氏は、

「被害者の存在が不明のままで、特定の男を加害者認定して、罰を与えるなんて、あり得ない話だ」

と、具体的に誰なのかが明かされないことに批判的だ。さらには「当事者が現れない主張を『いるいる詐欺』と呼んでいる」と揶揄した。

小林氏は、「デーブスペクターが言っているが、欧米ではセクハラを訴える被害者は名乗り出るのが『Me too』運動らしい」と、22日放送の「サンデー・ジャポン」(TBS系)でデーブさんが述べた話を引き、「そりゃそうだろうな。隠れていては『Me too』にならないからな」と同調している。

テレ朝は、セクハラの事実を報道すれば被害者本人が特定され、二次被害が生じるおそれがあることを理由に、女性社員の訴えを退けたと明かしていた。この点も小林氏は、

「名乗り出たら偏見に晒されるなどと、報道機関が被害者を隠していること自体が、本当にこのセクハラ問題の本質を明らかにされては困るからだと、わしは疑っている」

と疑問を呈した。

また、これと対比して「伊藤詩織さんを見よ!」と引き合いに出した。ジャーナリストの伊藤詩織さんは、元TBSワシントン支局長の山口敬之氏から性的暴行を受けたとして顔と実名を出して訴えを続けており、「だからわしは伊藤さんの主張を全面的に信じるのだ」としている。