羽生結弦選手(写真は2018年2月撮影)

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フィギュアスケート男子の羽生結弦選手(23)の祝賀パレードを開催した会場の路上で、一部のファンが場所取りで使用したとみられるレジャーシートなどの落し物が見つかっていたことが分かった。

ごみがほとんど路上に残っておらず、沿道に詰めかけたファンのマナーが素晴らしいと報じられていたが、落し物の実態を目にした人からは、そんな報道に疑問の声が上がっている。

椅子や毛布、レジャーシート「届けられていました」

羽生選手の祝賀パレードは2018年4月22日、仙台市中心部の大通りなどで開催。市のスポーツ振興課によると、県内外から約10万8000人が沿道に詰めかけた。会場では終了後、学生ボランティアや県、市の職員ら約1000人がビニール袋を各自3つ用意し、ごみを回収した。集まったのは、90リットル入りごみ袋6袋分。特に大きな混乱もなく、イベントは無事に終了したという。

約10万8000人が訪れたにもかかわらず、ごみ袋6袋分で済んだことに驚きの声が上がっているとして、テレビや新聞では「羽生ファン マナーもさすが」「マナー満点」などのタイトルで大きく報じた。ツイッターなどネット上でも、ファンのマナーが素晴らしいと反響を呼んだ。

市スポーツ振興課の担当者は24日夕のJ-CASTニュースの取材に「パレードの開催にあたり、ごみの持ち帰りを呼びかけていました。皆様のご協力により、想定より少なくおさまったと思います。ご協力に感謝いたします」とコメントした。

ただツイッター上では、一連の報道に疑問の声も上がっていた。仙台市在住の30代女性は23日、ツイッターで「場所取りに使った椅子、毛布、レジャーシートなどはそのまま打ち捨てられていました。ゴミとしてはカウントされず、落し物として届けられていました」と投稿。前日から会場で「場所取り」していたファンの一部に苦言を呈したのだ。

約100人超が「場所取り」

「場所取り」については、市が「安全確保のため、事前の場所取りは出来ません。テープ等で場所取りされている場合は撤去いたします」とウェブサイトで呼びかけていた。

だが、スポーツ振興課の担当者は「前日夕に『場所取りをされている方がいる』との情報が入り、現場に向かいました」。約100人超のファンが椅子やレジャーシートなどを持ち込み、「場所取り」をしていたと明かす。

「私たちも強制力を持っているわけではありません」。沿道の植栽に侵入しているファンらに移動を促し、事前の「場所取り」を禁止していると注意喚起したが、うまくいかなかったようだ。パレード当日の朝、「場所取り」の人数は約300人に増えていたという。

椅子などは「落し物」として届けられ...

一方、女性は24日夕のJ-CASTニュースの取材に「パレード当日、本部テント(インフォメーション)近くにいました。13時から14時すぎくらいまでです」と話し、「落し物は本部に届けられていました。明らかに椅子、レジャーシートなどは複数ありました」と目撃情報を明かした。先述のツイートについては、

「本部スタッフも苦労している様子を近くで見ており、気の毒に思っていましたところ、ゴミがなくマナーが良かったと賞賛されている報道を目にし、苦言を呈しました」

と振り返った。

スポーツ振興課の担当者によると、パレード終了後に回収した落し物の件数は86件(24日夕時点)にのぼる。ハンカチや傘、眼鏡、きっぷ、カードなど、小物類が大半を占め、椅子やレジャーシートなど大きなものも「1、2件」含まれていたという。

「警察に届けなければならないので、ごみとして落し物を回収するわけにはいきません。落し物は、イベントの割には少ないと思います。10万8000人もいると、眼鏡やヘアピンを落としてしまう方も出てくるでしょう」(担当者)

「場所取りしてごめんなさい」との貼り紙も

一方で、「私が見た『落し物』には、『場所取りしてごめんなさい。大阪からきたので今日は博物館に行きたいのです』と、わざわざ都合の良い言い訳を書いたプラカードがついていました」と、女性は説明した。

「ルール、マナーを守る節度あるファンもいると思いますが、今回のパレードは、特に飲食店が出店するようなイベントでもないので、ゴミが少ないのは当たり前だと思います」

としていた。