専門誌では読めない雑学コラム
木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第152回

 この記事が出る頃は、ゴールデンウィーク直前で、個人的には北海道ゴルフツアーの準備で忙しくしていると思います。

 新緑の北海道ゴルフは楽しいですよ。何しろ、全面洋芝の高級リゾートプレーですから。じゃあ、スコアも期待しちゃう? と思うでしょ。ところが、これが全然ダメなのです。

 最近、私が考えたのは「リゾートゴルフ叩く説」というやつです。

 ちなみに、3月には沖縄のカヌチャリゾートなどに行って3ラウンドしましたが、これが3つとも90台のスコア。100叩きはなかったけど、ハーフ50超えが3回……って、毎回じゃん。前半叩いて、後半焦って、超真剣にプレーをして帳尻を合わせた次第です。

 それにしても、なんでリゾートゴルフでは叩いてしまうのか?

 今回は、その謎に迫ってみたいと思います。

 まず、リゾートコースは風光明媚ですよね。景色が驚くほど素晴らしい。

 沖縄方面なら、南国の植物が生い茂り、その先にはエメラルド色の海が望めたりします。さらに頭上には、白い雲が浮かぶ青い空が広がっていて、そんな状況下にいるだけでうっとり。ゴルフどころじゃなくなるのです。

 すでに、頭の中では「スコアは二の次」になっています。南の島の高級リゾートでゴルフができる幸せ理論も頭の中を支配し、プレー前から満足度120%に達していますしね。

 満足度という観点からすれば、マスターズの会場となるオーガスタ・ナショナルGCが究極じゃないですか。

 小鳥がさえずり、きれいな花が咲き乱れる天国みたいなゴルフ場――”遥かなるオーガスタ”にようやく来ることできました! となったら、誰でも気分が高揚するんじゃないですか。ただのギャラリーであっても、気分はパトロンですかね。

 今年のマスターズ初日、昨年の覇者セルヒオ・ガルシア(スペイン)が15番ホールで13打も叩く姿を見るにつけ、アマチュアゴルファーの心理としては「憧れるけど、ラウンドするのは怖い」ってなりますよね。

 もちろん、誘われてラウンドできる機会に恵まれたら、”清水の舞台から飛び降りる”つもりでプレーしますけど。でもまあ、結構シビアでしょうね。前進4打ティーとかないですし……。我々がラウンドしたら、毎ホール”魔物”に会うのですから、”やくそう”を多めに持っていかないと……って、ドラクエかよ〜。

 そんなわけで、憧れのリゾートコースは案外難しいのです。

 ロケーションがいいのは、池やクリークが多いということです。加えて、リゾート特有の芝の植生が、思ったようなプレーをさせてくれません。

 沖縄なら、草が太くて芝に負けてしまうことがあります。茎も長いので、打ったときに絡みついてきます。さらに、コースに点在しているガジュマルという木の枝や根が四方八方に伸びていて、とても厄介です。

 究極なのは、グリーン上。高麗芝やティフトン、バミューダなど、難しい芝生が多く、曲がり具合が読みづらいのです。

 そうした芝生事情は、北海道のコースも同様です。

 こちらは、すべて洋芝になっているコースが多いです。洋芝は草が絡んできたり、あるいは”突っかかる”感覚になったりする場合が多く、フェアウェーをキープしても打つのが難しいです。

 さらに、ラフが伸びている場合は、出すだけで精一杯。あと、北国なので、芝の生育がまばらで、芝が薄いところもあって、これがまた厄介なのです。

 また、気持ちの部分においても、「リゾートに来た!」とハイテンションになっているので、戦略上の読みは甘くなります。

 例えば、池越えまでの距離190ヤードなんて、スプーンがまぐれ当たりしないと越えない距離です。でも、すでに”リゾート気分”で冷静さを失っていますから、「ここは記念だから」とスプーンをマン振り。その結果、チョロしてボテボテのゴロになったりして……。ボールを失わなくてよかったですね、となるのが関の山でしょう。

 こうして、リゾートゴルフでは叩いてしまうことが多いのです。

 けど、叩いたからといって、まったくめげないのがリゾートゴルフのいいところ。しょげている間もなく、すぐさま夜の”19番ホール”が始まります。

 プールサイドでタヒチアンショーを見たり、あるいは夜の繁華街に繰り出して暴れまくったり……。そうして、自分が叩いたことなど、ケロッと忘れてしまいます。

 さらに翌朝、すごくいい気分で目覚めて、またゴルフを開始。「さあ〜、今日も叩くぞ〜!」って、それ開き直りですか。

 ほんと、リゾートっていいなぁ。いくら叩いても、精神的に落ち込みませんから。


リゾート地では気持ちが浮ついて、ゴルフに集中できないのかもしれませんね...

 翻(ひるがえ)って、古いコースや手作りコースも叩く説があるのですが、それはどうしてでしょう?

 以前、小樽カントリー倶楽部の旧コース(※)に行ったことがあるのですが、すごく叩きました。距離はさほどないのですが、フェアウェーがうねりまくっていて、ボールが思った方向に飛びませんでした。
※1928年創設。北海道最古のゴルフコースと言われる。

 我々は通常、きれいに整備されたフェアウェーでゴルフをしています。これは、メンテナンススタッフがフェアウェーの芝を何センチにと、きれいに刈り込んでくれているからです。

 例えて言うと、レースの前日、新聞紙を床に敷いてVゾーンをきれいにお手入れしているレースクイーンみたいなものですか。最近は、まったくツルツルの子もいるそうですが、それじゃあ、ゴルフはできません……って、そこはコースじゃないから。

 それが、古いコースになると、ゴルフ発祥当時の面影というか、簡単に言うと芝は伸び放題、ほったらかしに近い状態です。Vゾーンの管理を怠っているレースクイーンは出場できませんよぉ〜……って、それもまた違う話だから。

 古いコースが管理を怠っているのは、むしろ、そのほうがゴルフの始まりの頃みたいで、「味わい深い」となるからです。

 昔のコースはすべて人力で作っていました。フェアウェーも勝手にうねっており、毎回さまざまなライと向かい合わねばなりません。

 そのうえ、グリーンがほんと小さい。なおかつ、難易度を上げるためか、申し合わせたかのように砲台グリーンになっています。だから、なかなかナイスオンしないのです。

 昔のゴルフ場設計は「懲罰型」と言って、グリーンになかなか乗らないことをよしとする風潮がありました。そもそも表現が「罰」ですから。ドストエフスキーですか?って。とにかく、攻略に失敗したら、自ずと叩くように作っていたのです。

 というわけで、昔の手作りのコースはリゾートゴルフ場と同様、結構難しいという話です。古いコースは先人の知恵に敬服し、悪いことはしていないけど、素直に”罰”を受けましょう。

 そして、きれいなリゾートコースについては、「美しきものにはトゲがある」と理解されたし、ですかね。

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木村和久(きむら・かずひさ)
1959年6月19日生まれ。宮城県出身。株式をはじめ、恋愛や遊びなど、トレンドを読み解くコラムニストとして活躍。ゴルフ歴も長く、『週刊パーゴルフ』『月刊ゴルフダイジェスト』などの専門誌で連載を持つ。

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