インターネットが発明されたのは20世紀後半になってからであり、インターネットの元となった概念であるタイムシェアリングシステムは、1960年代に「複数のコンピューターをメインフレームにつないで処理を高速化しよう」という発想から誕生しました。ところが、「インドの政治家が『インターネットを発明したのは古代のインド人である』と主張した」と話題になっています。

Ancient India Invented the Internet, a Politician Claims - The Atlantic

https://www.theatlantic.com/technology/archive/2018/04/india-ancient-internet/558725/

インターネットはメインフレームに複数のコンピューターをつなぎ、処理を高速化しようという試みとしてアメリカ人によって発明され、イギリス人やフランス人によって複数のコンピューター同士をつなぐ研究が進められました。しかし、インドのトリプラ州知事を務めるビブラブ・クマール・デブ氏は、「インド人の技術は古代から非常に発展して洗練されており、マハーバーラタの時代からインターネットと衛星通信システムを持っていた」と主張したそうです。

マハーバーラタは世界の始まりから古代インドの大戦争について語られた、インドの国民的な叙事詩です。デブ氏によると、マハーバーラタに描かれた王が自軍の戦闘状況をリアルタイムで把握することができたのは、古代のヒンドゥー教徒が作ったインターネットシステムによるものだとのこと。

インドのソーシャルメディアではデブ氏の発言を受けて、最初はデブ氏に対する不信感を募らせる発言が沸き起こったものの、次第に嘲笑的な論調が増えてきたとのこと。「ソーシャルメディアがトリプラ州知事の『インターネットマハーバーラタ起源説』に反応」「親愛なるトリプラ州知事よ、あなたは正しい。インターネットはマハーバーラタの時代に起こったのである」といったさまざまな反応がネットを中心に寄せられ、RedditのユーザーであるCuriousNoobKidさんは「古代インド人のトレント技術」と題したネタ画像を投稿しました。



デブ氏は現インド首相であるナレンドラ・モディ政権与党の、インド人民党の政治家です。インド人民党は穏健なヒンドゥー教至上主義を掲げる政党であり、キリスト教やイスラム教に対し「インドの価値観に合致しない」として批判を繰り返す一方、政教分離やカースト解消には積極的な側面も持っているとのこと。

「全てのインド人は『インドは世界で最も優れた国である』という共通認識を持つべきであり、私は他の国々になかった技術を昔のインドが持っていたことを誇りに思う」とデブ氏は述べており、インド人が自らの文化と歴史をより誇りに思うべきだと主張しています。