元恋人に酸を浴びせられ、安楽死を選んだ男性(画像は『Metro 2018年4月19日付「Man died at euthanasia clinic after ‘jealous girlfriend threw acid at him’」(Picture: SWNS)』のスクリーンショット)

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5年間交際した恋人に去られた後、嫉妬に狂った女は酸を浴びせた。2015年9月に起こった英ブリストルでの事件の公判がこのほど行われたが、酸攻撃により重度の火傷を負い、全身麻痺になってしまった男性はベルギーでの安楽死を選び、2017年1月に自らその命を絶った。英メディア『BBC News』『The Guardian』『Metro』などが伝えている。

ブリストルの西イングランド大学ファッション学科の聴講生だった南アフリカ国籍のベルリナー・ウォレス(49歳 一部報道では48歳とも)は、建設業界で働いていたエンジニアのオランダ人マーク=ヴァン・ドンゲンさん(29歳)と知り合い、5年間交際していた。

しかしウォレスがうつ病を患い自殺をほのめかすようになり、マークさんは一緒に暮らしていたものの新しい恋人と交際するようになった。するとウォレスは「刺し殺してやる。自殺してやる」などとマークさんを脅迫する素振りを見せ始めた。マークさんは職場の同僚にも攻撃的になったウォレスから脅されていると話していたようだ。嫉妬に狂ったウォレスは2015年9月2日に硫酸を購入し、アパートのキッチンに隠していた。

すでに新しい恋人と住むためにウォレスさんのもとから去っていたマークさんだったが9月22日の6時頃、ウォレスにはっきりと別れを告げるため同居していたアパートを訪れた。ウォレスは深夜3時頃、そのまま寝てしまったマークさんの寝室へ。そして彼を起こして笑いながら「あんたが私のものにならないのなら、誰のものにもさせないわ」と言い、マークさんの顔めがけてガラスのコップに入った硫酸を浴びせたのだ。マークさんは激しい衝撃を受けて動き回ったために顔と上半身にかかった硫酸は下半身にも流れ、体の広範囲に重度の火傷を負った。

下着姿で通りに飛び出し助けを求めようと叫ぶマークさんを目撃した住民は、あまりの火傷の酷さから全身が泥に覆われているのかと思ったという。1人の住民がマークさんを助けシャワーを浴びせて999通報し、サウスミード病院へと搬送された。

マークさんは体の83%に重度の火傷を負い、左目を失明、右目もほぼ視力を失ってしまった。さらに左脚の下部の切断も余儀なくされた。長期入院の間も舌以外を動かすことができず、後に話す力は戻ったものの首から下が完全に麻痺状態となってしまった。変わり果てた姿になってしまったマークさんは、病院でも医師らに「こんな姿で生きて行かなければならないのなら、死んだ方がマシだ」と叫ぶこともあったという。そして15か月間の入院の末、限界を感じたマークさんはベルギーでの安楽死を選んだ。

3人のコンサルタントによる検査では、最大の医療サポートがありながらも心身ともに耐え難い苦痛を背負っていることが確認され、2017年1月2日にマークさんは家族が住むベルギーの安楽死クリニックにて心臓にカテーテルを挿入され安楽死を遂げた。

このほどブリストル刑事法院で行われた裁判で、ウォレスは「グラスに入った水をマークに浴びせたのだと思った」と言い逃れをしたが、検察官は「被害者が負った傷はグロテスクで酷いものであった。酸攻撃を受け、生きていくことに絶えられないと被害者に思わせ、死に導いた時点で被告の罪は殺人罪に値する」と糾弾した。するとウォレスは腐食性液体を浴びせたことを認めたものの、それが意図的な行為によるものではないこと、殺人目的ではないことを主張し罪状を否認した。法廷ではウォレスもマークさんから虐待を受け、過去に警察に通報したこともあることが明かされ「この事件には二重のストーリー性がある」と指摘されたが、今やマークさんは帰らぬ人となっており真実を確認することは不可能だ。今後もウォレスの公判は続く予定である。

イギリスでは2016年7月に嫉妬に狂った年上の女が寝室で寝ていた恋人の男性に酸を浴びせたが昨年、この女に終身刑の判決が下された。

画像は『Metro 2018年4月19日付「Man died at euthanasia clinic after ‘jealous girlfriend threw acid at him’」(Picture: SWNS)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)