大きな盛り上がりを見せた17番の「ザ・ギャラリーホール」(撮影:村上航)

写真拡大

国内2戦目となった男子ツアー「パナソニックオープン」は最高の盛り上がりを見せた。外国人選手が優勝した試合を幾度も見ているが、日本人選手、外国人選手問わず、これほど分け隔てなく均等に応援の声が飛び、大会を盛り上げたのは大阪という地の影響もあっただろう。大阪中心部から電車でも数十分。駅からもすぐと立地の良さもあったが、大会は連日、大熱狂に包まれた。その熱狂を生み出したのは立地もそうだが、コースの持つ「素晴らしさに選手が応えたから」と、JGTOのコースセッティング・アドバイザーを務めた田島創志は語る。
【写真】パナソニックオープンの様子を写真で振り返る
■熱狂を演出したコースセッティングの妙
日本とアジアンツアーの共同主管大会となっている「パナソニックオープン」。日亜の強豪がぶつかり合う大会にふさわしいコースができあがったと自信を見せた田島。「コースの持つ素晴らしさもあって、セッティングのやりがいを感じました」(田島)。飛距離や正確性ももちろん攻略には必要な部分だが、セッティングで最も重点を置いたのが、特徴のあるグリーン。いかに選手に攻めさせるかというポイントを考えた。
「茨木カンツリー倶楽部はグリーンのアンジュレーションがきつく、いろんなところに傾斜があります。ターゲットがすごく狭いのです」と、グリーンを狙わせるショット、ひいては、そのショットを打つために適したポイントをティショットの段階から見極める力が試された。「米国のツアーを見据えて、外国でも戦えるための技術が必要とされるセッティングを目指しました。乗せる面の見極めと、はずしてはいけない場所の見極めが大事」という田島の思いをいち早く理解した選手がスコアを伸ばした。
「パーオンしてもいいわけではない。乗せる場所によっては3パットが増える」とは大会前の石川遼。「いいショットに対してはご褒美がもらえるコース」(石川)と、むやみやたらにというわけでなく、緻密な攻撃が要求された。「いろんなホールでギャラリーの方が楽しんでいた」と田島も話すとおり、選手の攻撃の意図が見ているほうにも伝わり、それが盛り上がりへとつながった。
■コースセッティングと興行の融合に成功した例
グリーンの難易度が上がれば、グリーンを外したときの難易度も当然上がる。最終日こそスコアを落としたが、百戦錬磨、技を駆使して攻める片山晋呉や、アジアンツアーの決してコンディションの良くないグリーンで腕をみがいた選手が上位をにぎわせた。「アプローチ巧者が上位で戦っていましたし、乗せるエリアの判断を間違えないことも大事でしたイマジネーションをいかに働かせられるか」と、田島。「海外のコースは圧倒的にこういうコースが多いです。うねっていて、狭いエリアを攻めなければいけない。攻めてダメなら、リカバリーしないといけない。とりあえずセンターというマネジメントはあまりないと思います」と、海外勢の活躍にはコース面での優位性もあったという。
今大会はコース、コースセッティングの妙に加え、「興行的な部分とコースセッティングをどう融合させるかに腐心しました」という田島。主催のパナソニックは、オリンピックのオフィシャルスポンサーも務めるグローバル企業。「パナソニックさんはアジアでも試合をしているようにゴルフにも力を注いでくださっているので、男子ゴルフ界としてもしっかりと試合を見せないといけない」という理念で動いたのが、週末に設けられた「ザ・ギャラリーホール」などのギャラリー盛り上げ策だ。
17番パー3は予選ラウンドでは200ヤードを超える距離に設定されたが、週末は140ヤードほど。ショートアイアンで狙えるため、ホールインワンやバーディの期待が高まった。DJのあおりで選手もギャラリーも盛り上げる。その上で、「最終日はあとわすかでホールインワンというショットも出ましたが、傾斜を利用すればカップに近づいて、『ここに止まる』という位置にカップを切りました。パーフェクトでした」と田島。ボールがカップに近づくたびに、500人収容のギャラリースタンドとその周辺の観客の大歓声に包まれた。パー5を除いては最多の13バーディを演出。選手の攻撃性を興行に変換させた取り組みは今後も期待が持てそうだ。
■若手有望株の顔色が変わってきた男子ツアー
コースセッティングの妙を理解し、攻撃的にプレーする。「これから育っていく選手たちのためにどういうセッティングにしたらいいのかというのを考えました」という田島の言葉を裏付けるのが、若手の台頭。初日飛び出した星野陸也は、「無理な攻めはしない。チャンスにできそうなところでバーディを取りに行く」と、コースとの戦いに勝利して、7アンダーをたたき出した。そんな星野でも3日目には、攻めのタイミングが合わずスコアを落とすなど、今大会での戦いでは学ぶことも多かった。
最終的に日本勢の最上位は4位タイの今平周吾と川村昌弘。20代中盤の選手たちだった。10位タイには前出の星野と稲森佑貴と、20代前半の選手も入った。そんな若手の台頭のなかでも、「雰囲気が出てきた」とプロ目線で注目するのが20位タイに入った堀川未来夢。「勝ちたいという雰囲気を醸し出しています」と、プロ4年目に期待を寄せる。
「最近は石川選手、宮里選手、小平選手、池田選手ら、実力者の雰囲気が出てきています。これだけ素晴らしい選手がいれば盛り上がらないことはないと思っています」と、男子ツアー人気低迷が叫ばれるなか、プレーでも興行としても見せることができれば、今回のようにファンはついてくると田島はいう。コースの持つ妙、セッティングの妙、そして“雰囲気”が出てきた男子ツアー。石川選手会長を中心として、さらに盛り上がりを見せそうだ。
解説・田島創志(たじま・そうし)/1976年9月25日生まれ。ツアー通算1勝。2000年にプロ転向し、03年『久光製薬KBCオーガスタ』で初日から首位を守り、完全優勝。青木功JGTO(日本ゴルフツアー機構)体制では、トーナメント管理委員会 コースセッティング・アドバイザーを務める

<ゴルフ情報ALBA.Net>

【記者の目】“石川遼改革”の初戦は何点? ギャラリー数&満足度はどう変わったか
ガンジーさんが日本初優勝!夢をかなえ「寒い予選会を回避できてうれしい」
【WITB】好きなのは日本製のウーロンハイだけじゃない ラヒル・ガンジーの優勝ギア