永峰咲希ツアー初勝利のカギは「ドライバーへの自信」にあった(撮影:上山敬太)

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国内女子ツアー第8戦「フジサンケイレディス」はトータル10アンダーでホールアウトした永峰咲希、菊地絵理香のプレーオフに突入し、永峰が2ホール目に競り勝ち、待望のツアー初勝利。2日目を終えて、首位と3打差のトータル5アンダー・5位から5つスコアを伸ばしての逆転勝利だった。永峰の勝利の要因をプロコーチの辻村明志氏に分析してもらった。
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■堂々とした落ち着きはドライバーへの自信…テークバックがゆったりで心もテンポもブレない
試合後にカギになったクラブを「ドライバーですね。ティショットが安定していたからこそ、バーディチャンスを作れた」と語った永峰。最終日のフェアウェイキープは14回中11度。外した場面でも"曲げた"という印象は一切なく、ティショットの安定が18分の17という高いパーオン率につながった。
「序盤から中盤にかけて順調にスコアを伸ばしましたが、彼女は未勝利の立場。"終盤にかけて勝負どころはここから"と思いながら戦況を見ていましたが、まったく焦りがありませんでした。緊張によりテンポが狂うことも一切ない。終盤に差しかかる15番のセカンドショットの場面。残り184ヤードでアゲインスト。握ったクラブは5番ユーティリティでしたが、ピンの根元までつっこんできたので、安全にいきたい状況でも攻める姿勢を感じました。安定したティショットを続けていたことでショット全体にリズムに自信を持っていたのだと思います」(辻村氏)。
永峰のスイングの特徴は、スイング全体がゆったりであり、テークバックがポイント。肝はアドレスからテークバックにうつる際に、ほんの少しヘッドを浮かせる動作。ソールが地面と接着した状態に比べ、すっとヘッドを浮かせることで、つねに体とクラブが一体化する意識を強めている。
「もともとドライバーの上手い選手ですが、昨年はときおりテンポを乱して、曲がってしまう場面も見受けられました。2月に教え子たちと宮崎合宿をおこなっていた時に、永峰さんの練習風景をみかけましたが、しっかりと打ち込みをしてから、夕方にラウンドに出ていくルーティンを繰り返していました。打ち込み数を2倍に増やしたと語っていましたが、養った部分は"緊張する場面でもブレないテンポ"だと思います。加えて、自分のやってきたことを貫く姿勢です。よくあるケースですが、緊張して"ティショットを曲げたくない…"と思い始めると、本人が無意識のうちにどんどんティが低くなっていきます。ティを高くできなければ、ヘッドを浮かせてテークバックできませんが、永峰さんは最後のプレーオフ2ホール目まで自身のスタイルを貫いた。オフの充実ぶりの証拠だと思います」
一方、敗れた菊地も、最終日のフェアウェイキープ率は14回中13度、パーオン率は18分の13。ショットメーカーらしさを見せて、7バーディ・1ボギーと猛烈な勢いでスコアを伸ばしたが、プレーオフ2ホール目で勝負をわけたのは、ティショットをラフにいれてしまったことに尽きるという。
「プレーオフ2ホール目の2打目は、永峰さんはフェアウェイ、菊地さんはラフからでした。ここが勝負のあやです。川奈の18番で、ピン位置がグリーン右サイド手前であった場合、打ち上げとなる2打目は、手前にこぼせばピンに近いバンカーショット、奥にいけば、ものすごく速い下りのアプローチを強いられます。加えてグリーンは横長で縦幅は短い。グリーンセンターを狙うにしても、ライの良いラフからでもなかなか止めることができませんから」
■パット好調の菊地絵理香が試合後に行うパター練習とは?
惜しくも今季初優勝を逃した菊地だが、「ヤマハレディースオープン葛城」に続く2位。これまでの3勝はすべて3〜4月でやはり"春に強い"という印象が強まるが、その理由はオフの調整の上手さにある。
「宮崎での合宿中、菊地さんの様子も見る場面がありましたが、昨年は腰の怪我を抱えた状態でプレーしていただけあって、コンディショニングを非常に重視していました。ショット練習よりも、地味なトレーニングとパッティングに多く時間を割いていましたね。春に強いのは、オフの調整が上手い証拠。今季はパッティングも非常に調子がいい」
ショットメーカーとしての印象が強い菊地だが、今季ここまでの平均パット数(パーオンホール)は5位。これは継続しているパターの打点管理ドリルが要因と辻村氏は見る。
「菊地さんはパターヘッドのトゥとヒールの2点から5mmくらい離した箇所にティペグを挿して、ヘッドの通り道を作る練習をまずおこないます。試合を重ねることで芯に当てる感覚は徐々にずれてくるので、試合中の調整で必ずこのドリルをおこなっています。フェース左右の打点管理だけでなく、ボール右側面に沿ってティペグをグッと地面に挿して(10円玉2枚くらいの高さ)、フェース上下の打点管理もします。ショットメーカーの彼女はアイアンでも"スコアライン2本目で捉える"など精度を突きつめていますが、パターでも芯に当てる精度にこだわっているんです」
解説・辻村明志(つじむら・はるゆき)/1975年9月27日生まれ、福岡県出身。ツアープレーヤーとしてチャレンジツアー最高位2位などの成績を残し、2001年のアジアツアーQTでは3位に入り、翌年のアジアツアーにフル参戦した。転身後はツアー帯同コーチとして上田桃子、比嘉真美子、藤崎莉歩、小祝さくらなどを指導。様々な女子プロのスイングの特徴を分析し、コーチングに活かしている。プロゴルファーの辻村明須香は実妹。ツアー会場の愛称は“おにぃ”。
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永峰咲希 プロフィール
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