マリナーズ・イチロー【写真:Getty Images】

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地元メディアが戦力外の可能性も報じる中…右打者のエレディアがマイナーへ

 マリナーズイチロー外野手は22日(日本時間23日)、敵地レンジャーズ戦に「6番・右翼」で出場して3打数2安打2四球と活躍したが、マリナーズは4-7で敗戦。イチローは今季3度目のマルチ安打を含む4打席で出塁も、9回の好機では空振り三振に倒れた。マリナーズはこの日、同じ外野手のギレルモ・エレディアをマイナーに降格させたが、地元メディアから戦力外の可能性についても報じられていたイチローを残した理由として、ジェリー・ディポトGMはクラブハウスでの存在感の大きさなどを挙げている。MLB公式サイトが報じている。

 5試合ぶりのスタメン出場となったイチローは、今季初めて“定位置“のライトで出場し、バットで存在感を見せた。0-0で迎えた2回無死一、二塁の場面で一塁内野安打。さらに、1点を追う4回1死走者なしの場面では遊撃手が弾いて二塁手が捕球する内野安打。いずれも得点にはつながらなかったが、2打席連続安打とした。

 6、7回は連続四球。しかし、3点差となって迎えた9回は、1死二、三塁の好機で右腕ケラの前に空振り三振。チームは敗れたが、イチローは4打席出塁という結果を残し、打率.250とした。今季は左腕相手にわずかに4打席しか立っていなかったが、これで6打数4安打2四球に。メジャー通算では歴代21位の3089安打として、同20位のデーブ・ウィンフィールド(3110安打)まで21本とした。

 マリナーズはこの日、先発のラミレスを登録するため、イチローと同じ外野の控えで、打率.310と好調だった27歳の右打者エレディアをマイナーに降格させた。一部の地元メディアが、試合前まで打率.212だったイチローの戦力外を予想する中での決断だった。MLB公式サイトは「『複雑だった』:ディポトがエレディアの降格について語る」と見出しを立て、「GMはこの決定が今後のマッチアップ、イチローのクラブハウスでの貢献に基づくものだと語った」と伝えた。

GMが語るイチローの価値「ベテランたちにもインパクト」

 記事内には「ディポトGMはベテランのイチローをロースターにキープし、エレディアを3Aに降格するという決断に対し、多くのファンからネガティブな反応が出ることを理解している」という一文も。その上で「しかし、この段階でイチローをキープすることは決してPRのためではなく、トリッキーなシナリオに対応するため可能な限りベストの25人ロースターを形成するためと語った」と指摘している。同GMはチームの力を最大限に発揮するメンバー構成を考え、エレディアの降格を決断。「プレー以外の面におけるイチローの貢献を考慮しているため、現時点で彼を戦力外とはしなかった」と説明している。

 ディポトGMは記事の中で、現在のチームにおけるイチローの存在の大きさを以下のように語っている。

「時として、25人ロースターをやりくりするのは、外部から見るよりも難しいことなんだ。イチローがこの1か月半の間に若手選手たちだけでなく、クラブハウスで彼を非常に慕うベテランたちにもインパクトを与えていることについて、人々は理解していないと思う」

 さらには、マリナーズのスケジュールを見た上での判断であったとも語っている。「今日から向こう10日間は左投手と当たらない。つまりエレディアは試合終盤の守備固め以外では出番が限られるということだ。(降格で)エレディアは定期的にプレーする機会を得られることにもなるし、私は彼を10日で戻す予定でいる」とし、エレディアが最短10日後にはメジャー復帰することを予告。それまでマイナーで試合に出し続け、試合感覚を維持させることも今回の措置の目的の1つだという。

 つまり、このメンバー構成は一時的なものとの見解だ。同GMは取材に対して「簡単な決断ではなかった。ギレルモはこのチームにおける重要な要素の1つだ。シーズン通してチームに貢献してくれると思っている」と説明。そして、「フィールドで目にする内容だけで決断を下すのではなく、バランスを見なければいけない。また、これはエレディアの価値を否定するということでもない。簡単な決断ではなかったが、恒久的な決断というわけでもない。ロースターに関して現時点でのベストを尽くすということだ」とも話している。

 地区3位につけるマリナーズがこの先、どのようにチームを構成していくのか。1つ1つの決断に大きな注目が集まる。(Full-Count編集部)