DaiGo『ストレスを操るメンタル強化術』(KADOKAWA)

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ストレスとどう付き合うべきか。メンタリストのDaiGoさんは、「ストレスが害になるか、プラスにはたらくかは、その人の考え方次第。うまく活用すれば、自分の成長に役立てることもできる」と説きます。ストレスを味方につけるために必要な考え方とは――。

※本稿は、DaiGo『ストレスを操るメンタル強化術』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

■ストレスは本当に悪者なのか?

今ではなんとなく、「心にも体にも悪いもの」とみなされているストレスですが、どう悪影響を及ぼすのか、どの程度悪いものなのか、そもそもストレスとはなんなのか……についてはよくわからないのではないでしょうか。

とはいえ、これまでの研究成果にもとづいて、はっきりしてきたことはあります。それは、「ストレスは必ずしも悪いものではない。考え方次第で、ストレスは悪い影響を与えることも、いい影響をもたらすこともある」ということです。

そう、ストレスは必ずしも悪者ではない、というのが現在の定説なのです。

たとえば、スタンフォード大学の心理学者、ケリー・マクゴニガルは「ストレスは人を賢く、強くし、成功へと導きます」(『スタンフォードのストレスを力に変える教科書』大和書房)と断言しています。

考え方を変えれば、大きなストレスを受けたときに、それが成長につながることもある、というのです。

だとすれば、ストレスはメンタルが弱い人にとって必ずしも敵ではないことがわかるでしょう。それどころか、メンタル強化の味方につけることさえできるのです。

■「ストレスは成長をもたらす」と考える

では、ストレスの質を変え、メンタル強化のための味方にするにはどうしたらいいのでしょうか。その答えは実にシンプルです。

ストレスをメンタル強化のための味方にするには、「ストレスは心や体に害があるもの」と考えるのではなく、「ストレスが自分に成長をもたらしてくれる」と考えることなのです。

「えっ、そんなことでいいの?」と拍子抜けするかもしれません。しかし、こうした考え方──心理学でいう「マインドセット」を変えることで、ストレスの質が変わっていくことは、科学的に証明されています。

■ストレスを味方につける超シンプルな方法

ストレスに関するマインドセットについて、アメリカで約3万人の成人を対象に行われた調査で興味深い結果が出ています。

強度のストレスを感じている人たちのうち、「ストレスが体に悪い」と思っている人たちは、そうでない人たちに比べて死亡リスクが43パーセントも上昇することがわかったのです。

これまでの常識では、ストレスは神経症や胃潰瘍、あるいはがん等の病気のリスクを高め、ともすれば致命的なダメージを心身に与える恐ろしいものと考えられていました。つまり、強度のストレスはそれ自体が悪いものとされていたのです。

ところが、この調査の結果によれば、同じく強いストレスを受けていても、「ストレスは体に悪い」というマインドセットを持つか否かが、死亡リスクを左右していることがわかったわけです。

これが、マインドセットの力です。

■「ストレスがない」と思い込むのは間違い

ただし、ここで注意してほしいことがあります。

ストレスは悪いものというマインドセットを変えるのはいいのですが、「ストレスがない」と思い込むのは間違いだということです。ストレスがないと思い込む人は、ストレスから目を背けているだけです。それでは意味がありません。ストレスを味方につけるためには、自分がストレスを受けていると認めることが第一歩です。ストレスから目を背けるのではなく、直視することが必要なのです。

スイスのチューリッヒ大学で行われた実験では、期末試験と冬休みという1年の中でも特にストレスが多い時期が過ぎたあとに、学生のストレス対応度を調べています。その結果、集中力や体力、自制心の低下が最も著しかったのは、「ストレスを避けたい」という思いが強い学生たちでした。

また、退役軍人を対象にした調査でも、ストレスの対処法について「できるだけ避けるようにしている」と答えたグループにうつ病が多いという結果が出ています。

ストレスは、避けようと思えば思うほど、悪い影響をもたらすというわけです。

■ストレスは解消するよりも活用する

ストレスを避けようとする傾向は、ストレスをうまく味方につけられない人たち、ストレスをうまく使えない人たちに共通して見られる特徴です。

ストレスが害になると考えている人は、ストレスと向き合わないようにしたり、見て見ぬふりをしたりします。あるいは、ストレスの原因となっている問題の解決には向かわず、買い物をしたり、甘い物を食べたり、お酒に逃げたり、一時的な「ストレス解消」に逃避します。

もちろん、これで本当にストレスが解消されることはありませんし、ましてストレスを活かすことなどできるはずもありません。

まずは、ストレスは活かせる、味方にできると考えること。その上で、自分にストレスがかかっている事実を受けとめること。そこで初めて、そのストレスの原因にどう対処するのかということが考えられます。

そこから、ストレスの原因を取り去る努力が始まります。その過程でも困難な状況はたくさん訪れるはずですが、ここでも「これをクリアすることによって、自分は成長できるんだ」と考えてさらに行動する。

どんなサポートやアドバイスが必要なのかを真剣に考え、本を読んだり先達の話を聞いたりといった情報収集をし、さらに実際の具体的な行動にとりかかって自分を変えていく。こうした実践によって、ストレスを上手に使えるようになっていくわけです。

■ストレスからポジティブな感情を引き出そう

ストレスが害になるか、プラスにはたらくかは、その人の考え方次第です。大事なことは、ストレスを味方につけるために、「ストレスから学ぼう」という姿勢を持つことです。

それに加えて大事なのは、感情です。ストレスを感じて、筋肉が緊張したり、手に汗を握ったり、心臓がドキドキしたりといった体の変化を感じたとしましょう。そんなとき、今までだったら、「やばい、ドキドキしている! どうしよう」と思ったかもしれません。

そして、この「どうしよう」という危機感で、さらに心拍数が上がって、気がつけば呼吸もまともにできていない……なんて経験が、あなたにもあるのではないでしょうか。

けれども、「ストレスはポジティブな役割をする」というマインドセットによって、それまでとはまったく違う感じ方ができるはずです。「やばい、ドキドキしている! どうしよう」ではなく、

「心臓が今、一生懸命体中にエネルギーを送っているんだ。このストレスのおかげで自分はいい結果が出せるんだ」
「よし、問題にチャレンジするためのスイッチが入ったぞ」

というように、ストレス反応からポジティブな感情を引き出せるようになるはずです。ストレスをメンタル強化に活用する第一歩は、そこからなのです。

ただし、このようなマインドセットができるようになるためには、多少の時間がかかります。

ですから、「マインドセットできるまでのストレスの対処法が知りたい」という方のために、今すぐにできる、目の前のストレスへの簡単な対処法を2つ、紹介しておきましょう。

【エモーショナル・ディスクロージャー】

まず1つ目は、心理学で「エモーショナル・ディスクロージャー」と呼ばれる手法です。

これは、ストレスを感じるようなイヤなこと、つらいことが起きたら、自分の感情をありのままに吐き出すというものです。

誰かに愚痴を聞いてもらうのでもいいですが、そうすると相手に自分をよく見せたくなって嘘をついてしまうことがあります。ですから、1人でできる、感情をそのまま紙に書き出すのがおすすめです。

「いきなり課長に仕事を振られて、残業するはめになった。早く帰ってサッカーの試合を観るつもりだったのに、ものすごく腹が立った」
「顧客からのクレーム電話で罵倒され、殺意さえ感じた」
「彼女とケンカして、つい感情的になってひどいことを言ってしまった。猛烈な自己嫌悪」

このように、どんなにネガティブなことでもいいので、包み隠さずに書き出してみましょう。紙に書く以外にも、スマホのメモ帳、ブログやツイッターに書くのでもいいでしょう。

エモーショナル・ディスクロージャーは、ネガティブな感情を吐き出すだけの、いたって簡単な方法ですが、ストレスへの対応を改善し、うつになりにくくなる効果が認められています。紙とペン、あるいはスマホさえ手元にあればすぐに実践できる方法ですから、さっそく試してみてください。

【他人への怒りを成長のエネルギーに変える】

もう1つ、どうしても避けられないのがストレスを与えてくる他人への対応です。特に仕事をしているときなど、理不尽な扱いを受けて、自分の権利を侵害されるような場面はよくあります。

先ほどもあげた理不尽な残業やクレームなどは典型的な例ですし、「有給休暇を取りたかったのに、上司にダメだと言われた」とか「自分は悪くないのにミスの責任を押しつけられた」といったこともあるでしょう。

こうした扱いを受けたときに、直接相手に怒りをぶつけるのは得策ではありません。しかし、ただ単に耐えるだけでは、つらくなるばかりです。

そこで、「いつか見返してやる」と考えて、怒りを成長のエネルギーに変えるようにしましょう。そのために、具体的なイメージをすることです。

怒りの量に合わせて、自分の中にある燃料タンクの残量ゲージが上昇する。あるいは、タンクの中にガソリンが注ぎ込まれる様子をイメージするのです。このイメージを持つことによって、ストレスを与えてくる他者を、行動のためのエネルギーに変換し、怒りや屈辱といった感情にとらわれることがなくなります。

ストレスを成長に活用するための第一歩として、まずはこのように日々のストレスに対処していくことから始めてみましょう。

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DaiGo(だいご)
メンタリスト
ジェネシスヘルスケア株式会社顧問。新潟リハビリテーション大学特任教授。慶應義塾大学理工学部物理情報工学科卒業。幅広いジャンルで人間心理をテーマにした著書は累計200万部を超える。

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(メンタリスト DaiGo 写真=iStock.com)