料理上手になりたい! そんな目標を持つ人も多いのでは。冷蔵庫にあるものをパッと見て献立を決めて、ささっと作る。それが迷いなくできるようになる根本的な料理力の上げ方を、料理研究家・渡辺有子さんに教えてもらいます。

臨機応変に料理を考える“献立力”はなかなか身につきにくい。

「レシピを優先して献立を考えてしまうからです。レシピに合わせて作ろうとすると、値段の高い食材や使いきれない量を買ってしまい、料理のハードルが上がります」(料理研究家・渡辺有子さん)

それより“今”自分が食べたいと思う食材や、美味しさと栄養がピークの状態にある“旬”の素材を優先して、食材ありきで献立を考えていく力を身につけるべき。

「料理で大事なのは想像力です。自分が美味しく食べていることが想像できる食材を選ぶと、どう食べたいかイメージが湧きやすくなります。また、食べたい食材を優先して調理法を決めれば、体が喜ぶ美味しい料理になるものです」

そこで、渡辺さんが献立を決める際の秘訣を、買い物の仕方や、同じ食材を違う料理に展開する工夫などから学んでいこう。

献立力1:買い物の仕方から変える。

食材ありきで料理を発想する力が身につく買い物の仕方は…。

「スーパーに行ったらまず野菜売り場を見て、旬のものや自分の体が欲するのが何かチェックします。その野菜をイメージしながら魚売り場に行き、野菜と合う素材があったらカゴに入れる。なければ肉売り場に行って同じことをして、最後に野菜売り場に戻り、必要なものを買うようにしています」

こうすることで、どんな調理をしようかという想像力が鍛えられ、無駄な買い物もしなくて済む。

献立力2:「旬」を意識する。

食材から献立を決めるために、やはり“旬”のものは外せない。

「メインのおかずも副菜も、旬の食材を活かせば、おなじみの調理法でも季節感が出ます」

時季のものは栄養価の高さも魅力。撮影用に渡辺さんが選んだのは、春人参やトマトなど。

「春人参は柔らかくて甘さがあるし、トマトはとても瑞々しい。私は旬の野菜を主役に献立を考えることが多いですが、彩りが鮮やかになって気分が華やぐだけでなく、口にすることで体も喜ぶんです」

献立力3:「食感」で楽しさをプラスする。

献立が決まったら、さらに“食感”などを考えて、食事をする際の楽しさを加えていく。

「柔らかい卵料理を食べているときに、カリカリした食感や違う風味が加わったら楽しいだろうなとイメージするんです。そこで、炒ったアーモンドを加えてみたり」

定番料理も、プラスαでいつもと違うアレンジになる。

「唐揚げにミントをのせると爽やかさが増します。特別な料理でなくても、ほんの少しの違いで味の印象は変わるものです」

献立力4:味のバランスを俯瞰する。

料理に慣れないうちは、ひとつひとつのおかずの味に囚われがち。

「しょっぱい系が1品あったら、もう一品は酸味のある味付けにするなど、味を偏らせずに献立全体のバランスを考えましょう」

そのとき参考になるのが、日本人の味覚の基本といわれる五味。

「甘味、酸味、塩味、苦味、旨味を献立に反映させるとバランスがとれます。また、調理法も『生』『煮る』『焼く』『揚げる』などをバラけさせれば、食べ続けることが楽しい献立になりますよ」

献立力5:展開力を身につける。

買ってきた食材を、様々な調理法に展開できれば料理上級者。

「例えばレタスはサラダ、といった具合にパターン化してしまうと、料理がマンネリになって、料理する楽しみも食べる楽しみも減ってしまいます。レタスを煮たらどうだろう、スープに入れるなら何と組み合わせると美味しくなるかな、など、どう食べたいかを想像してみると、レシピに頼らずに献立を考えられる力がつきますよ」

今回は、鶏もも肉、インゲン、人参、卵というおなじみの食材を使った献立を考案。

渡辺有子さん 料理教室「FOOD FOR THOUGHT」を主宰。同名で、暮らしを楽しむセレクトショップもディレクションしている。

※『anan』2018年4月25日号より。写真・馬場わかな 料理&スタイリング・渡辺有子 取材、文・板倉ミキコ

(by anan編集部)