先輩たちが教える「いざというときに役立つのでかばんに入れておいたほうがいい」グッズとは (写真:freeangle / PIXTA)

一昔前よりビジネスパーソンの「かばんの中身」は軽くなっているに違いない。何せ、最新のニュースや自分のスケジュールは手元のスマホでいつでもチェックできるし、街中にあふれたコンビニに飛び込めば、いつでもどこでもほとんどのモノが購入できる。


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ようするに、会話のネタを仕入れるための雑誌や新聞、あるいはパンパンに膨らんだシステム手帳などを、どっさりとかばんに入れて持ち歩く必要はなくなっているからだ。ITリテラシーも高く、モノへの執着も少ないといわれる若手社員の方々ならなおさらだろう。

だからこそ、営業先や移動中、または接待の席で「アレを持っていれば……」と悔やむ瞬間が、ままあるものだ。裏を返せば、かばんの中に潜ませておけば、周囲から「準備がいいね」「なかなかやるねえ」と感心されるような“お役立ちビジネスグッズ”はまだまだあるわけだ。

そこで先輩社員たちにリサーチ。若手社員に教えたい「かばんの中に潜ませておくと、いざというときに、本気で“使える“グッズ」を紹介したい。

名刺入れはもう1つ持っていたほうがいい

1.スペア名刺入れ

言うまでもなく、「名刺入れ」は社会人の必須グッズだ。しかし先輩方、特に営業系の人から多く聞こえてきたのが「名刺入れは2つ持つ」という意見だった。なぜか?

「若い頃、バッグの中に入れっぱなしなので安心していたら、営業先で見つからない。『あ、オフィスの机に置いてきちゃった』という失敗が何度かあって……。そこでメインとなる名刺入れとともに予備の名刺入れをつねに用意するように。かばんの奥のポケットに忍ばせておくようにしている」(情報・男性・44歳)

「名刺入れを忘れることはあまりないのですが、営業なので『配りすぎて肝心の名刺がなくなった!』という事態がけっこう起きる。そこで普段遣いとはまた別の名刺入れを、補充用として持ち歩くのはオススメです」(販売・男性・39歳)

いわば「スペア」「リザーブ」「控え」である。極めて安価なものでいいので、「名刺がない!」という事態を避けるためのバックアップ用に、「2つ目の名刺入れ」は持っておいて損はなさそうだ。

名刺に関しては、上級者になると、こんなツワモノもいた。

「以前、クライアント先で名刺入れを忘れたことに気づいたとき。先方が部屋に入る前に、すっと先輩がスペアの名刺入れを貸してくれたことがありました。驚いたのは、そこに先輩の名刺はもちろん、後輩の私や上司の名刺までが入っていたこと。どこまで準備がいいのか、と感動しました」(士業・男性・34歳)

そこまでいくと、少し怖い気もするが、いずれにしてもつねに名刺を切らさないための工夫をしておくのはよさそうだ。

充電変換コネクターで“気が利く系“をアピール

2.靴べら

営業系の中でも、保険業や不動産販売など、「一般家庭にあがる可能性の高い」先輩社員の中には「携帯用の靴べら」をすすめる声がチラホラあった。理由は靴を脱いで家にあがった後、スマートに靴を履くためだが、「新人時代、上客の家で靴べらをお借りした際に、入れる角度が悪かったのかボキッと折ってしまって……。それ以来、持ち歩いています」(金融・男性・34歳)という理由で、靴べらを持ち歩き始めた、という人もいた。


靴を脱ぐことが多い社員は、携帯用の靴べらを持っておくといい (筆者撮影)

3.ばんそうこう

自分自身の備えにもなるうえ、同僚などの助けにもなる。いわば一石二鳥のグッズ類を推す人も目立った。そんな「気が利く系」のグッズの代表が「ばんそうこう」だ。特に女性からの意見が多かったのは、こんな理由からだった。

「新品やヒールの高い靴を履いて長めに歩かなければならないとき、靴ずれがけっこうおきやすい。そんなときのために、ばんそうこうを持ち歩いています。また、社内で誰かがちょっとケガをしたときなどに『ばんそうこう持っている?』などと言われることがたまにあって、『さすが!』と多少持ち上げられるメリットもある。実のところ、自分のため、なんですけど」(IT・女性・35歳)

4.充電コネクター

「持っている?」「貸してくれない?」。そう聞かれがちなモノといえば、ケータイ充電器も定番だ。自分用の充電器を持ち歩いている人は多いだろうが、機種が異なれば、貸し借りできない。しかし、そんなときのために“備えている”と豪語する先輩もいた。

「年に数回だけですが、飲み会の席などで『iPhoneの充電器ある?』と言われることがあったので、iPhone用の変換コネクターもつねに持ち歩くようにしています。僕のスマホ、アンドロイドなんですけどね」(情報・男性・44歳)。

いくらなんでもスマートすぎでは?という気もするが、変換コネクターは100円ショップなどでも売っているので、「気が利く」と思われるには、費用対効果が高いともいえるだろう。


折り畳みキーボードは、コンパクトなうえにスマホでちょっとした作業をするときにも使える (編集部撮影)

5.折り畳みキーボード

ガジェット(小型電子機器)系では、充電池だけでなく、ブルートゥース対応の折り畳みキーボードを持ち歩いているという先輩社員もいた。外出先で長文のメールをスマホから打ち込む必要に迫られた際に活用しているという。

また、簡単な報告書もスマホで作成できるので、キーボードがあれば効率的に作業ができる。ただ、フリック入力のほうがキーボード入力よりも速い若手社員にとっては不要かもしれない。

6.二日酔い用市販薬

飲み会に備え、アルコールの分解を助ける市販薬をコンビニで買って、かばんの中に常備している人はけっこういる。お酒を飲む前に飲んでおけば、二日酔いを防げるうえ、同席する先輩や上司に「よろしければどうぞ!」と渡しておけば、悪酔いやからまれるリスクも下げられるかもしれない。気を利かすふりして、目端を利かせたい。

エチケット系のダークホースは「コンビニ袋」

7.歯ブラシ

「身だしなみやエチケットなどに使える」として先輩社員がすすめるグッズ類もあまたある。「歯ブラシ」はその代表。携帯用の歯ブラシをバッグインバッグなどの中に入れておくのは、歯の健康面からも、口臭予防からもオススメだ。

「出先での打ち合わせ前のランチが、思いのほかスパイシーだった場合、フリスク以上に歯磨きは効果的!」(団体職員・男性・42歳)

8.携帯用消臭スプレー

「ファブリーズ」「リセッシュ」などの消臭芳香剤にはコンパクトな携帯用もあるので、それを常備している、という人もいた。飲み会で焼き肉などを食べたあと、あるいは汗をかく夏などに、自分はもちろん、周囲の人に一吹きすれば、気が利く系グッズの効能も期待できる。

9.レジ袋

またエチケット系でいうと、コンビニやスーパーのレジ袋も「かなり使える」という意見があった。宴会などで気持ちが悪くなったときに、自己防衛につながるのはもちろん、周囲の人がヤバそうになったときに差し出せば、事故を未然に防ぐことができる。「もちろん、仕事帰りにスーパーに寄ったときはエコバッグとして使えるし、雨のときは濡れた折り畳み傘をしまう袋としても使える。バッグの中にしまっても濡れずに済むので、1枚は入れておきたい」(広告・男性・39歳)

10.高級ペン

「意識高い系」を自負する若手社員の方ならば、あえてのアナロググッズを持つというのは、妙手のようだ。

「スケジュール管理もグーグルだし、なるべくモノは持たない主義ですが、仕事で使うペンだけはウォーターマンの結構高めのものを選んで使っています。仕事柄、取引先に見られたときに『そういう細かいところにも目配りしてこだわって仕事するんだな』という印象を与えられる。あと、意外と女性ウケもいいので」(広告・男性・36歳)

11.耳栓

「出張が多い」という人なら、「耳栓をぜひ」という意見もあった。

「新幹線や飛行機などの移動時間を、資料作りや資料を読むことに使う人は多いと思いますが、意外と集中できない。そんなときに耳栓をすると周囲の物音はもちろん、エンジン音や走行音もシャットアウトされて、集中できるとともに疲労も軽減させる効果がある。多少高めでも、いい耳栓をバッグに入れておくと、結果、生産性が上がると思います」(サービス・男性・45歳)

“意識高い系“はあえてアナログを求める?

12.メモ帳

そして、最も意識が高く若手社員にオススメしたい「かばんに入れておくと意外に役立つグッズ」がこれだ。

「僕は今も入社したばかりの頃に使っていた小さなメモ帳を、もうボロボロですけど持ち歩いています。当時、自分を成長させたいと思って『仕事をするうえで大切なこと』『将来、プロフェッショナルとしてこうありたい』という言葉に出会ったら、とにかくメモっていました。もう書くことはないし、書くページも残ってない。今読むと『青くさいな』とも思う(笑)。

しかし、忙殺されてそうした初心を忘れがちになった今こそ、持ち歩いて、たまに見返しています。若手社員の方は、メモを持ち歩いて書き留めておくと、将来、必ず財産になるんじゃないですかね」(広告・男性・35歳)

いってしまえば、持つべきものは、「初心の頃の仕事に対するモチベーション」。小さなメモ帳かもしないが、そうした気持ちと一緒に持ち続けることこそが、最も大切なのかもしれない。コンビニでも売っていないし。