セクハラ放置はテレ朝だけじゃない。「会社に言っても飛ばされるだけ」と女性記者

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 女性記者に対するセクハラ発言疑惑を『週刊新潮』(4月19日号)に報じられ、18日、辞任に追い込まれた福田淳一財務事務次官。「抱きしめていい?」「胸触っていい?」などと話す音声が同誌によって公開されても、セクハラを否認し続けている。

 一方、財務省が被害にあったとされる女性に対し名乗り出るよう要請したことを受けて、その女性記者が所属するテレビ朝日が行った会見の内容にも注目が集まっている。女性記者はセクハラの事実を報じるべきではないかと上司に相談していたのだ。しかし、被害者が特定されることによる二次被害の心配を理由に「報道は難しい」と言われた女性記者は、仕方なく『週刊新潮』に情報を流した。

 引っかかるのは、テレビ朝日がその女性記者の対応について「取材活動で得た情報を第三者に渡したことは、報道機関として不適切な行為であり、遺憾」と非難したことだ。では、この女性記者はどうすればよかったのか。そもそもテレビ朝日内できちんと対応していれば、彼女はそんな行為に走らなかったのではないだろうか。

◆“大切なネタモト”だから会社もセクハラを放置

「基本的にマスコミってセクハラがあっても、『とりあえず異動させてあげるから頼むから黙っていてね』というスタンスの会社が多いと思います」

 そう話すのはとある全国紙経済部の男性記者Aさん。

「実際に私が地方支局に勤務していた時、後輩である女性記者は取材先とセクハラ問題でトラブルになりました。相手は警察官。しかしその人は長年、われわれの会社だけに捜査情報を漏らしてくれている、大切なネタモト(ネタをくれる人)でもありました。

ただ、そういう人に限って『おたくにはいつもネタを流しているんだから』と横柄な態度をとったりする」

 後輩の女性記者はネタモトから執拗に飲み会に誘われ、体に触られることもあったという。

「彼女は支局長に相談しました。が、結局、警察担当を外されただけでした。相手は長年付き合ってきた大切なネタモトですし、なにより面倒に巻き込まれたくなったのでしょう。

というか、その支局長自身も、女性記者たちをやたらと飲みに誘ったり、ジロジロと見ていたり、完全にウザがられていました。結局、今のマスコミの管理職世代にはびこる男尊女卑って根深くて、とくに人数の少ない地方支局とかだと身近に相談できる人が少ないんですよね」

◆会社に相談しても飛ばされるだけ…女性記者たちの苦悩

 数多くのスクープを書いてきた、大手新聞社会部の女性記者Bさんもこう話す。

「週刊新潮の記事を読んで『私がこれまで受けてきセクハラだ』と思いました。労働組合に相談してみたのですが、ボーナス闘争に忙しいのか相手にしてもらえず、使いものになりませんでした。

とはいえ、会社に直接相談して大ごとにしてしまったら、希望しない部署に飛ばされる可能性もあるし、それは嫌でした。結局自分に残された選択は『泣き寝入り』しかなかったんです」

 今はフリーランスで働いている女性記者Cさんもかつてレイプまがいの行為を取材先から受けたと明かす。あまりのショックで長い期間、周囲にそのことを話せなかったという。

「こういう被害を受けた記者は私だけではないです。知り合いには、取材先から押し倒され逃げてきたけど、結局いまもそのことを会社には黙っている記者がいます。女性にとって告発することって本当に勇気がいることなのです」

 テレビ朝日は今回の件で財務省に抗議した。でもそれは被害を受けた女性記者が報道機関においてご法度ともいえる、“ネタの横流し”をしなかったら起こり得なかったことだろう。週刊誌に音声データを渡した時、彼女はクビ覚悟だったのではないだろうか。

 ひたすら財務省の批判ばかりしている媒体が目立つが、すべてのマスコミ男性幹部には、自社の体質についても改めて見つめ直してほしいものだ。

<TEXT/森聖子>