西武・高木勇人【画像:(C)PLM】

写真拡大

ウルフは15日の楽天戦で右肘に違和感を訴え登録を抹消

 西武のブライアン・ウルフ投手が、先発登板した15日の楽天戦で右肘に違和感を覚え、翌16日に出場選手登録を抹消された。それまでの2試合でいずれもクオリティスタートを達成していたベテラン右腕の離脱は、開幕から好調を維持して首位を走るチームにとって大きな痛手となりそうだ。

 ウルフを除いた西武の先発ローテーションは菊池雄星、多和田真三郎、十亀剣、ファビオ・カスティーヨとなっており、そこに開幕直前にトレード加入した榎田大樹が加わろうとしているのが現状だ。先発投手の枚数は不足気味であり、このタイミングで台頭を見せる投手が出てくればチームにとっても大きいはずだ。

 そんな中で期待される存在の一人が、そのウルフの代役として22日のロッテ戦での先発登板が予定されている高木勇人だ。巨人からの移籍初年度となる今季はここまで中継ぎとして5試合に登板して防御率8.53と苦しんでいるが、先述の楽天戦では3番手として登板して4イニングスを投げた。最初のイニングに2ランを含むヒット3本を浴びたものの、2イニングス目以降は一人の走者も許さない投球を見せた。

 この結果からも、現在の高木勇は長いイニングを投げてこそ本領が発揮されると見ることができるかもしれない。これまではチーム事情からブルペンに回っていたが、オープン戦では2試合に先発して防御率1.50とスターターとして結果を残していた。今回の配置転換によってその能力をフルに発揮し、人的保障での獲得を決めた首脳陣の期待に応えることができるか。注目されるポイントのひとつだ。

榎田、武隈、本田、斎藤、相内…先発ローテを争う投手陣

 また、今シーズン中継ぎとして7試合に登板して4ホールドを記録している武隈祥太も、先発陣の穴を埋める候補の一人となるかもしれない。エースの菊池以外は手薄だった先発左腕を補強すべく、トレードで榎田を獲得した西武だが、同様の理由で開幕前には武隈投手に先発としての調整も行わせていた。

 あくまでも「有事への備え」という位置づけだったが、2月には実際に韓国・斗山との練習試合に先発登板し、4回無失点の好投。仮に今後、先発投手陣が「有事」と呼べるほどの苦境に陥った場合には、抜群の汎用性を誇る鉄腕が働きの場をさらに広げていく可能性もあるはずだ。

 また、2軍で出色の投球を見せている本田圭佑にも注目だ。ここまでイースタンでは3試合に登板して20イニングスを投げ、防御率1.35という素晴らしい数字を残している。4月3日の楽天戦では8回2失点、4月13日の巨人戦では8回無失点と好投を続けており、このピッチングを続けていけば1軍から声がかかる日もそう遠くはないはずだ。

「本田圭佑」という名前ゆえに、ドラフトで指名を受けた当時から同姓同名のサッカー選手と絡めて話題にされることが多かった本田。過去2年間で7試合の登板にとどまっている24歳の若き右腕が奇しくもワールドカップイヤーとなる2018年に大きな飛躍を遂げ、「プロ野球選手の本田圭佑」という存在を日本中のファンに広く知らしめることになるかもしれない。

 さらに昨年のドラフト1位左腕の齊藤大将、登録名を本名に戻して飛躍を期す相内誠といった潜在能力の高い選手たちも2軍で一定の成績を残しており、いずれは彼らがメットライフドームで躍動する姿も見られるはずだ。

 先発ローテーションが手薄になっている現状は、言い換えれば他の選手たちにとってはチャンスでもある。ウルフも2016年途中に先発不足に悩まされていた西武に入団後、4試合の登板で4連勝をマークし、救世主的な存在となって復活の足掛かりをつかんだ経験の持ち主だ。そのウルフが不在の間に新たな救世主が生まれるかどうかは、シーズン全体を占う重要なポイントの一つとなる。(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)

(記事提供:パ・リーグ インサイト)