読みたい本が山積み! 速読って本当にできるのか聞いてきた

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部屋の隅には、いつか読みたいと思って山積みになってしまった本たち。時間がなくて、なかなか読書の時間を作れない……そんな人に提案したいのが、「速読」という読書法。「達人しかできないのでは?」と思いがちですが、実は練習を積めば誰でも実践できるのだそう。SP速読学院の学院長・橘遵先生にお話を伺いました。


■そもそも速読って?





──速読は普通の読書と何が異なるのでしょうか?

「文字通り『速く読む』ことですが、速く読むためには『視野を広げること』『目を素早く動かすこと』『情報を高速で処理すること』が必要です。また、読書速度が遅くなる要因である、既読文章を読み直す『返り読み』の癖を解消するため、知識量を増やす必要があります。いずれも、根気良くトレーニングを続けていけば身に付けられます」

──速く読む=飛ばし読みをしているということですか?

「そういうことではありません。一般的に、速読は飛ばし読みを指すのですが、当学院では速く読むと同時に、すべての文字を認識する読み方を重視しています。本は読めても頭に残らなければ意味がありませんからね」

──速読にはどのようなメリットがありますか?

「限られた時間を有効活用できる点ですね。読みたい本がどんどん読めて教養が深まったり、会社の資料に目を通す時間が半分になって残業が減ったり、効率的に資格試験の勉強ができたりと、さまざまなメリットがありますよ」


■速読トレーニングにチャレンジ!



速読習得には地道な訓練が必要ですが、短時間で集中的にトレーニングすることで、一時的な効果が期待できるそうです。さまざまなトレーニング法を教えていただき、筆者も速読に挑戦します。


■まずは通常の読書速度を測定





トレーニング前後の伸び率を見るために、最初に普段の読書速度を1分間測ります。読んだ行数と、本の1行あたりの文字数をかけると、1分間に読んだ文字数が出てきます。

測定の結果、筆者は800字ほど。日本人平均が約500〜700字とのことで、まずまずの出だしです。


■目のストレッチ運動でウォーミングアップ



速読は相当目を使うので、まずは目の筋肉をほぐすストレッチから。親指を上下左右に動かして目で追っていきます。




両手親指を左右に持っていき、視界の端で視認できる位置にセット。




顔を動かさずに、目だけで左右の親指を、それぞれ20秒〜1分ほど見ます。初心者は視線と一緒に顔が動いてしまいがちなので、片手で顎を押さえてもOKです。




左右が終わったら、親指を上下にセット。こちらも一度に視認できる位置に固定し、目だけを動かして、上下の指をそれぞれ20秒〜1分ほど見ます。


■視野を広げるトレーニング



次に、一目で理解できる文字数「リーディングスパン」を増やすトレーニング。一般的な人は5〜10字ほどで、この文字数が増えるほど、一度に読める量が増えるのだそう。




トレーニング前に現在のリーディングスパンを計測。目を動かさずに文字の固まりをどこまで理解できるかをチェックします。筆者は9字ほど。




続けて、文字を読まずに記号として認識するトレーニング。文字列を両手で囲い、両手の真ん中を広く見るようにします。筆者はどうしても文字として認識してしまったので、本をひっくり返すなど、記号に見えるよう試行錯誤し、最終的にリーディングスパンは12字くらいにアップ。

「目は文字を見る時、一か所に集中していますが、景色を眺める時は広範囲を見ています。景色を眺めるように文字を見て、視野を広げることが狙いです」(橘先生)


■脳を高速化するトレーニング



さらに、パソコン画面上に文節ごとに点滅して現れる文章を見て、速読の速度に慣れるトレーニングです。




最初は信号の点滅くらいの速度でしたが、速読の速さに加速すると、凄まじいスピードで文字が現れては消えていきました。ここでは文字を読む必要はなく、ただ眺めるだけで良いとのこと。

加速しきったところで徐々に速度を落としていくと、最初に読んだ時よりもスピードは速いはずなのに、なぜか遅く感じることに気付きます。

「車で高速道路を走った後、一般道に戻ると遅く感じますよね。その『インターチェンジ効果』を利用して、高速情報処理に脳を慣れさせていくんです」(橘先生)

同じ効果を活用した別のトレーニングでは、指で文章を指しながら、「ピッ」という機械音に合わせて1〜2秒で1行を読む方法も実践。こちらも速読のスピードから落としていくと、通常より速い速度なのに遅く感じました。




他にも、知識量不足による返り読みをなくすためにビジネス用語を流し見するなど、多彩な習得法をレクチャーしていただきました。


■トレーニング結果は、いかに……!?





30分ほどのトレーニングを経て、最初に読んだ本で改めて1分間の文字数を計測。すると、なんと約1,400字にまでアップ! およそ2倍弱の文字量です。しかし、これは速読のスピードを体感した直後だからこそ出た、一時的な結果なのだそう。

「この速度を定着させるには、継続的な訓練が必要です。毎日5分の目のストレッチ運動と、週1日約80分のトレーニングを2週間続ければ、十分効果が期待できるでしょう。また、さまざまな本を速読するには知識も必要ですので、速読以外の幅広い読書にも役立ちますよ」

上級者になると1分に1万字ほど読んでしまうのだとか。時間を有効活用したい多忙な人は、ぜひチャレンジしてみては?

(五十嵐綾子+ノオト)


<取材協力> SP速読学院