メタボ気味だからと、脂っこいものを控えて肉より魚、野菜を中心の食事にーーそう考えている人は少なくないはず。だが「中高年にとっては、そんなステレオタイプの考え方こそが危険」と指摘する研究者がいる。

 東京都健康長寿医療センター研究所の熊谷修氏は「むしろ50歳を過ぎたら肉を毎日食べるべき」だと言う。

「私たちは老化にともない、体から骨と筋肉が減って栄養失調になっていきます。この誰も逃れられない体の弱体化で、病気のリスクが高くなります。メタボだ、ダイエットだと言ってる場合ではありません。肉を食べ、老化を遅らせることがなにより大事なんです」

 良質なたんぱく質と脂質を同時に摂取できるのが肉だという。

「魚に含まれる多価不飽和脂肪酸は、人の体内ではエネルギーになりにくいのに対し、肉に含まれている飽和脂肪酸という脂質は、エネルギーに転換されやすいのです。

 食事で摂ったたんぱく質を体の組織に同化変換するためには、多くのエネルギーを必要とします。食事の量が減るシニア世代にとって、より効率的に体の組織を作ることができるのが、肉食です。

 また肉食には、抑うつと認知機能低下の予防効果があることがわかっています」

 長寿大国といわれる日本だが、ここまで平均寿命が延びた理由は、戦後の「食事の変化」にあったという。

「戦後の45年間で、日本人の平均寿命は約30歳、延びました。医療の進歩だけでは、ここまで延ばすことはできません。それまでの日本人の食事に肉が加わったこと、つまり『適度に欧米化した、多様性に富んだ日本食』になったことこそが、日本人の長寿化の基盤なのです」

 要介護になるリスクの高い人とそうでない人、その差はどこから生まれてくるのかを、熊谷氏は実際に多くのシニアと接して研究してきた。

 そのなかで見えてきた欠かせない食事の基本様式をもとに、図のようなチェックシートを提案している。

「肉さえ食べればいいのではないんです。肉も魚も、脂も野菜も摂りましょうということ。多様性のある食事が肉食の効用を上げてくれます。

 目安がチェックシートの食品群。これらを毎日、摂ることで、栄養素が体内で効率よく活用されます。メタボやコレステロールの値を気にするよりも、『正しい肉食』で老化を遅らせることのほうが、健康寿命にはより有効なんです」

 粗食より肉食、が正しいセオリーなのだ。

(週刊FLASH 2018年3月13日号)