中国メディアは、「中国のアニメは地球を救うだの家族を守るだのの繰り返しで、想像力も創造力もない。硬直化した国民思想教育によって紋切り型の思考形態ができあがってしまっている」と、中国でアニメ産業が発展しない理由を考察した。(イメージ写真提供:123RF)

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 中国メディア・東方網は15日、「日本のアニメはどうして世界を征服することができたのか」とする記事を掲載した。

 記事は、「みんなどうして日本のアニメを見て、中国のアニメは見ないのだろうか。世界一の人口大国で国土面積も世界3位、科学技術も世界最先端を走るのに、どうして中国のアニメは低品質のレッテルから脱却できないのか」としたうえで、中国のアニメが抱える問題点を4つ挙げている。

 1つ目は、「アニメが子どもの思想教育向けとして考えられていること」だ。「中国のアニメは地球を救うだの家族を守るだのの繰り返しで、想像力も創造力もない。硬直化した国民思想教育によって紋切り型の思考形態ができあがってしまっている。アニメの現状を変えたいのなら、われわれの思考方式を変えなければならない」とした。

 2つ目の問題点は、「アニメ作品の内容が人間の日常生活から遠い」だという。「中国アニメの主人公はネコやらイヌやらで、われわれの生活から少々遠い所にある。一方日本アニメの多くは人間が主人公で、より生活に近い。日常生活に近いアニメこそ感情移入がしやすいのである」と論じている。

 3つ目は、「細かい部分の作りが雑である」とした。その例として記事は「日本アニメは、登場キャラクターがしゃべる時の口の動きが発音と一致するのだが、中国のものは単に口を動かすだけにとどまっているのだ」と説明した。

 4つ目は、「アニメ制作にかける経費の少なさ」を挙げている。記事によれば、制作にかける費用の差が直接アニメの質の差につながっているほか、アニメを見る側もお金を使いたがらず、無料動画サイトで視聴し、フィギュアやポスターなどといった派生品にも興味を示さないとのことである。

 4つ挙げた要因のなかで、記事が最も強調したのは「思想の問題」だった。思想の制限があることにより、作品の創造性が制限されるばかりでなく、制作者のモチベーションも上らず、さらには人材不足につながっているとの考えのようだ。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)